医療法人  ひらの内科クリニック

A CLINIC for INTERNAL DISEASES

HIRANO CL since 2006~ Let's stay healthy by smiling!!

  • HOME
  • >
  • おはなし
  • >
  • 病気のおはなし
Last updated 2019-02-09 

2019.11〜最新記事

2020.2.13

 
現在、世界中の関心が新型コロナウイルスに集中しています。2019年12月以降、中国内陸部の武漢市を中心に感染が拡大し、日本でも感染者が増えています。メディアは感染者数や感染者の状況、感染者への対応など毎日ニュースを更新しています。まだ分かっていないことも多く情報過多な状況ですが、2月2日現在までに分かっていることをおはなししていこうと思います。
 
 《新型コロナウイルスの特徴》
 コロナウイルスとはいわゆる風邪を引き起こすウイルスです。感染しても発症しないことや、軽症例も多数みられることがわかっています。世界で1万4380人の感染者が報告され、大半は中国で報告されています。
中国、ベトナム、日本、台湾、ドイツで人から人への感染が確認されています。日本では20人の感染者が報告されています。(2月2日現在)
・  感染力は1.4〜2.5(この数字は罹患者が他の人を感染させる平均人数のこと。SARSは2〜4、風疹が5〜7、インフルエンザは1,4〜4)
・  致死率は約2%(1月30日現在のデータ。今のところ、ほとんどが中高年と持病がある人)
・  潜伏期間は2日から最大14日間
・  主な症状は 咳、のどの痛み、高熱、呼吸困難、息切れ、全身倦怠感、頭痛(熱がなく、無症状の症例もあり)
 
現在、新型コロナウイルス感染症に有効なワクチンはなく、治療についての臨床研究が行われているようですが、新型コロナウイルス感染症に有効な薬はまだありません。いわゆる対症療法という、解熱剤などで熱を下げたり、鼻水・咳などの症状を抑える治療を行い、自らの免疫による治癒を待つ治療となります。今私たちができることは、感染を予防することです。
 
 《新型コロナウイルスの感染予防》
・咳やくしゃみなどの飛沫感染を防ぐため、外出時はマスクを着用する。
・手など触ったところからウイルスが広がり感染する可能性があるため、石鹸、流水にてこまめな手洗いを行う。
・アルコールによる手指消毒をする。
 
 《新型コロナウイルスの疑いがある方》
 発熱や咳、息切れがあり14日以内に新型コロナウイルス感染症の流行地域から帰国したか、または新型コロナウイルス感染症の人と濃厚接触があった方は必ず事前に最寄りの保健所または医療機関に電話で相談し、指示を受けるようにしてください。(M.M)
 
 

2019.11.2

 
 
インフルエンザワクチンは、A型2種類・B型2種類が混合された4価ワクチンです。
ワクチンの接種量は、6ヵ月~2歳0.25ml・3歳以上0.5mlです。
 
接種期間と接種回数
 生後6ヵ月~13歳未満は2回接種します。13歳以上は、通常1回接種です。
また、生後6ヵ月~13歳未満の方は1回では抗体がつかない場合もあるので2回接種が必要です。
1回目は10月~11月中、2回目は2~4週間(できれば4週間)あけて11月下旬~12月上旬には予防接種を受けておくことをお勧めします。
 
個人差はありますが、インフルエンザワクチンは接種後に抗体ができるまで通常約2週間程度かかります。
その後、抗体の働きは約5ヵ月~6ヵ月程持続すると言われています。
 インフルエンザが流行るのは、12月下旬~3月頃です。
遅くても、11月下旬~12月上旬には予防接種を受けておくことが望ましいです。
 
副反応
 接種した場所の発赤・腫脹・疼痛が起こる場合がありますが、通常2~3日で消失します。
全身症状としては、発熱・頭痛・悪寒・倦怠感などが見られますがこれらも2~3日で消失します。
接種を受けられた方の5~15%に起こる可能性があります。
帰宅後に異常が認められた場合は、医療機関に連絡して下さい。
 
ワクチンの効果
 インフルエンザ予防だけでなく、脳炎や脳症・肺炎などの重症化のリスクを減らせます。
高齢者や乳幼児・基礎疾患を持っている方など、入院や死亡など重篤な状態になるのを防ぐのに有効です。
 
当院でインフルエンザワクチン接種が出来ます。
 大人(高1に該当する年齢以上)       3600円
 小児(1歳~中3まで)           3000円
 小児(2回接種分・事前予約)         5000円
 各務原市在住65歳以上の方          1500円
 市外の65歳以上の方         該当自治体の自己負担になります。
 
 受験など、特別な理由がない限り13歳以上の方は原則1回接種でお願いします。
 
本年度よりネット予約も開始しております。

接種希望の方は、受付で予約をし早めの接種をお勧めします。(T.S)

 

 

2018.2〜2019.6

2019.6.5

 
 昨年から今年にかけて、大阪府や東京都、愛知県を中心に、風疹に罹患された方が多数みえました。それは、子供の頃に予防接種をされていない年代の方が多くみられたのです。また、それに伴い、予防接種を希望される方も多く、クリニックにも問い合わせが多数ありました。
 以前から“風疹は女性の方のみ予防接種を行っていれば大丈夫である”というような風潮にありますが、性別・年齢を問わず、皆さんが罹患します。また、妊娠中の方が罹患された場合、赤ちゃんへの影響がものすごく高いのです。
 
 現在、国や都道府県・市町村の事業の1つに、風しん抗体検査事業や風しんワクチン接種事業があることをご存知でしょうか?
今年度、一部改正した点もございますので、紹介させていただきます。
 

  • 岐阜県風しん抗体委託検査事業(平成26年5月より開始した事業です)

  • 岐阜県HP

期間:平成3141日~令和2331
対象:①妊娠を希望している女性
   ②妊娠を希望している女性の夫または同居者
   ③妊婦(風しん抗体価低値)の夫または同居者
岐阜県内に住所がある方(但し、岐阜市内は対象外)であれば可能です。
費用は無料です。
指定の検査方法で検査を行い、基準値以下の方は、各市町村で風しんワクチンを接種する必要があります。
 

  • 各務原市風しんワクチン接種促進対策事業

  • 各務原市HP

期間:平成3141日~令和2331
各務原市に住民登録があり、妊娠を希望している女性と、抗体価が低値の妊婦の夫または同居者であって、ご自身の検査抗体価が基準値以下の方が対象となります。費用は無料です。
 
注意として・・・
★岐阜県風しん抗体委託検査事業で検査を受けられた方で、各務原市以外の方も当院で風しんワクチンを接種することは可能ですが、この上記事業の対象ではありませんので、有料となってしまいます。
★妊娠中の方は、ワクチン接種が出来ません。
 また、妊娠を希望される方がワクチンを希望される際には、接種前1ヶ月と接種後2ヶ月は避妊をされるようお願いいたします.
 

  • 風しん抗体追加対策事業

  • 風しん第5期定期予防接種   (両方とも国の事業です)

  • 厚労省HP

厚生労働省が、国内に住民登録のある、昭和 3742日~昭和 5441日生まれの男性を対象に、 2019年度~ 2021年度末までの 3年間に、風しん抗体検査と風しんワクチン接種を希望される方に無料で行えます。
この対象年齢の男性の方は、風しん抗体保有率が低いため、ワクチンを接種することで、 90%まで引き上げることを目標としています。
 
今年度は、昭和 4742日~昭和 5441日生まれの方を対象に、各市町村より無料クーポン券が送付されます。そのクーポン券をお持ちの上、クリニックへ来院してください。
指定の検査方法で検査を行い、基準値以下であれば、クーポン券を利用して風しんワクチン接種を行います。
 
 
詳しいことは、各省庁ホームページに掲載されています。
岐阜県HP

厚労省HP
各務原市HP
 
また、当クリニックにお問い合わせをいただけたら幸いです。
この機会を是非ご利用ください。(K.S)
 
 

2019.2.17

 
某アイドルグループの握手会での集団感染など、ニュースで久しぶりに麻疹という言葉を耳にした方も多いと思います。
麻疹は麻疹ウイルスを原因とする急性熱性発疹性の感染症です。
別名「はしか」と言われているので、風疹の別名である「三日はしか」と混同されている方もいらっしゃるかもしれません。比較しながらお話していきます。
 
 

感染経路

風疹が飛沫感染に対して、麻疹は、
空気感染、飛沫感染、接触感染があり、感染力は非常に強いと言われています。
インフルエンザの10倍程度の感染力があり、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。
 
 

潜伏期間と症状

麻疹ウイルスが体内に侵入してもすぐに症状は出ません。

約10日後に発熱、咳、鼻水などの症状が出て、2~3日熱が続いた後に38℃以上の高熱と全身に発疹が現れます。
発疹が現れる前から頬の内側に粘膜疹(コプリック斑と呼ばれる周りが赤く中心が白い粘膜疹)が出ることが特徴です。粘膜疹が出た翌日頃から発疹が出ます。
通常は10日ほどで回復しますが、麻疹ウイルスは免疫細胞に感染するため免疫力が低下した状態が約1カ月続くことが珍しくありません。
 
 
 

合併症について

・流産や早産
妊娠中に麻疹にかかると流産や早産になる可能性があります。
・肺炎
麻疹の合併症は30%ほどあり、肺炎はその約半数と言われています。
・脳炎
1000人に1人の割合で発症と頻度は少ないですが、死に至ることもあります。
 
 
 

予防する方法

麻疹に対する特効薬は無く、マスク・手洗い・うがいでは予防できません。
2回の予防接種が最も有効な予防法です。
子どもの場合
風疹と同様に、現在は1歳の時と小学校に入学前1年間、計2回ワクチンを打つことで予防することが出来ます。
大人の場合
風疹と同様に、女性だけではなく、男性も妊娠する可能性がある配偶者に感染させないように予防接種を受けましょう。また、麻疹ワクチンを打ってから2カ月は避妊しましょう。
現在は定期接種が2回行われていますが、年代によって予防接種を受けている回数が異なります。
麻疹に対する抗体を持っているかどうかは、血液検査で確認できます。(R.K)

2019.1.8

 

風疹とは、風疹ウイルスを原因とし発熱・リンパ節の腫れを主症状とする感染症です。
別名「三日はしか」の名前でも知られています。
麻疹より短い期間で治癒することを意味しています。
 
 風疹は、麻疹よりも軽い症状で経過しますが、妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると、赤ちゃんに「先天性風疹症候群」という重篤な合併症が生じることが知られています。
 
 
感染経路
 飛沫感染です。
風疹ウイルスは、インフルエンザウイルスよりも感染力が強いとも言われています。
 
 
潜伏期間
 風疹ウイルスが体の中に侵入してもすぐに症状は出ません。
風疹ウイルスが増殖し全身に症状が出るまで、約2~3週間かかります。
最初は、倦怠感・微熱・リンパ節の腫れなどの症状が出ます。
特に耳の後ろ、頭の後ろが腫れるのが特徴とも言われています。
その症状が現れ数日後に発疹が出てきます。
発疹は、顔から全身に広がります。
ですが、別名「三日はしか」と呼ばれているように発疹は数日で治っていきます。
 
 
合併症について
 ・先天性風疹症候群
 特に妊娠初期に風疹にかかってしまうと、赤ちゃんの心臓や耳・目などに重い合併症を起こすことがあります。
 ・脳炎
 稀ではありますが、脳にまで炎症を起こしてしまうことがあります。
軽い時は、頭痛・嘔吐などの症状で済みますが、重症化すると痙攣や意識障害を起こすことがあります。
 
 
予防する方法
 風疹に対する特効薬はありません。
 ・マスク・手洗い・うがいをしましょう。
  子供の場合
 1歳の時と、小学校に入学前1年間、計2回ワクチンを打つことで風疹を予防することが出来ます。
  大人の場合
 女性だけではなく、男性も妊娠する可能性がある自分の配偶者に感染させないように予防接種を受けましょう。
また、風疹ワクチンを打ってから2ヵ月は避妊しましょう。
 風疹に対する抗体を持っているかどうかは、血液検査で確認できます。(S.T)
 

2018.11.16

“緩和ケア”と聞くと、“ホスピス”や“がん末期”というイメージがほとんどでしたが、最近、循環器疾患に対しての緩和ケアが注目されていることを知り、前回に続いてお話をしてみたいと思います。
 
厚生労働省で進めてきた、がん以外の疾患の緩和ケアについて、2018年4月に『循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方』に関する報告が公表されています。
その中には、疾患の経過の相違点や、心不全患者に対する緩和ケアの必要性が書かれています。
 
 その前に、まず、心不全という病気について、簡単にお話をします。
 心不全とは、心臓疾患(心筋梗塞・心筋症・心臓弁膜症・高血圧性心疾患・先天性心疾患・不整脈性心疾患など)の最後に行き着く末期の病態であることとされています。
なんらかの心臓の機能障害により、息切れや体のだるさ、浮腫みが出現し、徐々に生命を縮めてしまう病気です。
日本では、循環器疾患による死亡者数は、がんに次いで、第2位であり、心不全による5年生存率は50%と予後は決して良くありません。
高齢者の増加に伴い、心不全罹患率が急速に増加しており、今後はさらに拍車がかかると予測されています。
 

がんと循環器疾患の経過や患者層の違い

 
〈疾患の経過〉
 
がん…機能の維持期間は比較的に長く、最期の2ヶ月程で急速な機能低下がみられる。
 
心不全などの臓器不全…終末期を迎える経過が比較的に緩やかであり、増悪と軽快を繰り返す。急激な増悪がみられても治療を行うことで機能が改善・回復することがあり、経過の予測が困難である。“DNAR:心肺停止時に蘇生処置を行わないこと”の判断が難しくなります。また、人工呼吸器の装着や補助人工心臓、血液透析などの治療が奏功することもあり、延命治療をどの時点で中止するのか難しい判断となります。
 
〈患者層〉
がんに比べ、心疾患の患者さんは年齢層が高く、慢性心不全では、さらにその傾向が強くなり
ます。がんは、がん診療連携拠点病院などの基幹病院で治療を受けている患者さんが多いのに対し
慢性疾患である心疾患では、患者さんが中小病院や診療所などの地域の病院で治療を受けて
いるのが特徴的です。
 

心不全患者さんに必要な緩和ケア

 
 “がん対策基本法”の中で、緩和ケアを「がん、その他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的もしくは精神的な苦痛、又は社会生活上の不安を緩和することにより、その療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療・看護、その他の行為をいう」と定義されています。しかし、緩和ケアはがんを対策としているケースが多く、その他の疾患については整備が進んでいないのが現状です。
心不全は患者さんの約70%が75歳以上の高齢者で、その多くが、身体的もしくは精神的苦痛、社会生活における不安を抱えています。
 

〈心不全患者さんの緩和ケア〉

 
身体的苦痛呼吸困難(息切れなど)、体のだるやめ、浮腫みなど体液貯留、心拍数低下など➔医療用麻薬や非麻薬性鎮痛剤に加えて、心不全の治療に使われる利尿薬や血管を拡げる薬、強心薬などの薬物治療、NIPPUなどの呼吸器の使用が必要となる。
 
精神的苦痛うつやせん妄、認知症、睡眠時間、コミュニケーション問題、ペースメーカーなどに関連した不安➔精神的な苦痛があることで、患者さんの自己管理が困難になり、心不全が悪化する。身体管理とともに精神的ケアを提供する。
 
社会的苦痛家族や介護、経済的な問題などの社会的不安、療養期間が長く、家族などの状況により療養場所の選定も必要➔訪問看護の活用が重要となるが、介護度が軽度の場合、訪問看護や介護サービスの導入がしにくく、疾病管理の重要性が伝わりにくい。地域間の連携が重要となります。
 
基本的には、患者さんの意思を出来る限り尊重して、希望に沿ったケアを提供することを目的としていますが、認知機能が低下している場合、ケアの目標設定も難しく、また高齢者では、侵襲的治療の適応判断が難しくなることも少なくありません。
比較的に緩やかに病状が変化するため、在宅での介護が必要となるケースが多く、家族やキーパーソン、介護者の負担が大きくなることもあります。
緩和ケアを選択する際は十分に考え、家族や医療機関への相談をし、身近な方で緩和ケアを行っている方がいらっしゃる場合は、お話を聞くなどを行い、決定されると良いでしょう。
当院でも在宅患者様に対し、緩和ケアを行っております。気になられる方はお声を掛けてください(K.S)
 

2018.9.26

前回、尿のおはなし(その1)で、尿量・尿の色・尿の泡立ち・尿のにおいに ついてお話しさせていただきました。今回は、尿が排泄されるまでのしくみ・ 頻尿・排尿痛・尿失禁について、お話させていただきたいと思います。
 
<腎臓から運ばれた尿が体外へ排泄されるまでの仕組み>
 

 
腎臓でろ過された液体は、尿細管を通ります。尿細管を通るうちに利用可能な水分や電解質が再吸収され、最終的に尿になって、腎盂に集められ、尿管へと続きます。
尿管を通って膀胱へと送られていき、おしっことなって体外へ排出されます。
尿意や尿量・排尿回数は個人差も大きく、年齢・気温・体調・水分摂取の状況など 様々な要因で変化があります。
 
尿意の感じ方も個人差があり、トイレの回数も個々で違ってきます。
排尿回数は、個人差が大きいですが、4~6回/日が平均であると言われています。
 

< 頻尿 >

排尿回数が多過ぎるという症状を訴える方
 
日中(起きている間)昼夜頻尿→ 1日8回以上
原因として膀胱容量の減少、多尿、膀胱容量の減少は膀胱自体が萎縮し、残尿が多いために有効に活用できる膀胱容量が減少して排尿量が少なくなる。
 
夜間(寝ている間)夜間頻尿と言われ、夜間に排尿のために1回以上起きなければならない訴えで、その事により困っている状態である。
臨床的に治療の対象になるのは、2回以上である。
 
頻尿の原因には、
排尿を調節する神経の異常(脳神経疾患など)
心理的ストレス
膀胱の蓄積量の低下(加齢・妊娠・前立腺肥大)
カフェインを含む飲料や膀胱への刺激(急性膀胱炎や膀胱結石など)
が考えられます。

< 排尿痛 >

排尿痛は、排尿時に感じる膀胱や尿道のあたりの痛みです。
排尿の始めに痛みを感じ、排尿後に痛むケースなど、障害の原因により、症状の現れ方は、異なります。
残尿感は、トイレで排尿した後も、尿が残っているような不快感が残ります。
膀胱炎・尿路感染で多く症状が現れます。
 

< 尿失禁 >

尿失禁は、自分の意思に反して、尿が漏れてしまう状態です。
膀胱や尿道括約筋に機能が低下している場合に発生しやすく咳・くしゃみ・力を入れた時に発生する腹圧性尿失禁、突然強い尿意に襲われる切迫性尿失禁など、いくつかの種類に分けられます。
膀胱が満たされても、尿意を感じないで、尿が漏れてしまうと言った様々なケースがあります。

< 排尿困難 >

排尿回数が少ないとの訴えには、尿量が少ない場合と尿が出にくい(排尿困難)の場合があります。
排尿困難の最も重要な状態は、自力で排尿できない(尿閉)状態です。
排尿困難の原因には、前立腺肥大症や結石、神経因性膀胱炎(脊髄・脳神経
が損傷し、膀胱機能が障害された状態)などが考えられます。
 
尿量の変化に伴い、診察にて診断につながる症状のサインとして重要なポイントとなる事もあると思います。
話しにくい事もあるかもしれないですが、夜間の排尿回数が多いことで、睡眠が妨げられ、排尿に関して、不快に感じている方もいると思います。
日常生活においても、安心して外出も出来て、快適な日常生活を送っていただきたいです。
心配な事や不安に思っている事柄などありましたら、ご相談ください。必要時は、専門の泌尿器科へ紹介される事もあると思います。今ある症状が少しでも軽減し、毎日の生活が快適に過ごすことが出来ます様願っています。(J.I)
 
 

2018.8.24

熱中症とは、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節機能が働かなかったりして体温の上昇やめまい・けいれん・頭痛などの症状を起こします。
 

熱中症の主な症状
 軽度 →手足のしびれ・めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返り・気分不快・ボーとする
 中等度→頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・力が入らない
 重症 →意識障害・けいれん・体が熱い・真っ直ぐ歩けない・呼びかけの反応が鈍い
 
熱中症の処置・対策
 軽度の場合、風通しの良い日陰や涼しい場所で体を冷やして休み水分・塩分を補給しましょう。
中等度の場合、軽度の処置・対策に加え体を積極的に冷やしましょう。
自分で水分・塩分を摂れないときは病院を受診しましょう。
重症の場合はすぐ病院へ行きましょう。
 
 熱を下げるために効果的な冷やす場所は、「首」「わきの下」「太ももの付け根」です。この場所に、保冷剤や冷えたペットボトル・缶をタオルでくるむなどして集中的に冷やしましょう。
 
熱中症いなりやすい環境
 気圧が高い・湿度が高い・風が弱い・日差しが強い・照り返しが強い・閉め切った屋内・エアコンのない部屋・急に暑くなった時
 
熱中症になりやすい行動
 激しい筋肉運動・慣れない運動・長時間の屋外作業・水分補給が出来ない状況
 
熱中症の予防
・行動・衣服の予防ポイント
 外出の際は日傘や帽子で日よけをし、無理をせず適度に休憩をとる
 体を締め付けない涼しい服装で、襟元はなるべくゆるめて通気する
 吸汗・速乾素材の衣服などを着用
・住まいの予防ポイント
 ブラインドやすだれで日よけをする
 向き合う窓を開けて風通しを良くする
 エアコンや扇風機を利用する
・水分補給の予防ポイント
 汗で失った水分や塩分を適切に補給する
 喉が渇かなくても喉が渇く前にこまめに水分補給をする
 起床時や入浴の前後にも水分補給をする
 尿量がいつもより少なくなったり、尿の色がいつもより濃くなったら注意する
 空調装置使用時は水分損失が多くなるので注意する
 アルコールは利尿作用で脱水症状が進行するので注意する
・体調管理の予防ポイント
 日頃から栄養バランスの良い食事と体力づくりに心がける
 睡眠不足・下痢・熱がある・風邪気味などの時は注意する
 子供は地面の照り返しにより、高い温度にさらされたり汗腺など体温調節機能が未熟なため特に注意する
 高齢者は、体温機能が低下してくるため暑さを感じにくく、自覚がないのに熱中症になる可能性があるので注意する
 
 汗には大切な役割があります。
なぜ暑いときに汗をかくかというと、汗と一緒に体の中の熱を外に出し体温を一定に保つためなのです。
汗はしょっぱいと知っているように、汗の成分には水分だけでなく塩分も含まれてているので、たくさん汗をかいたら水分だけでなく、一緒に塩分も補給することが必票です。
 
体には体温を一定に保とうとする働きが備わっています。暑さによって体温が上がると、
自律神経の働きで汗をかいて体温を下げようとします。
しかし、蒸し暑い環境にいたり自律神経の働きが悪いと汗が出にくくなり、体に熱がたまってしまします。
これが熱中症のさまざまな症状につながります。暑さが続きますので水分、塩分をこまめにしましょう。(S.T)

2018.6.4

前回は、緩和ケアとは何か、緩和ケアを受ける時期について説明をさせていただきました。
 
 緩和ケアは、入院だけでなく、自宅(在宅)でも受けられることを知っていただけたかと思います。
 
 緩和ケアは、治療や疼痛管理などの医療の高度化、さらにはニーズの多様化に対応できるホスピスの充実など、緩和ケアを提供できる環境整備が進んでいます。
 
 2017年4月の厚生労働省の ≪がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況に関する調査≫ によれば、がん治療の約6割が、がん診療連携拠点病院で行われ、がん患者さんの約2割が、がん診療連携拠点病院等で最期を迎えていることが分かっています。
そのため、がん診療連携拠点病院においては、多職種連携によって、診断・通院・入院・緩和ケア・相談支援など多方面からのサポートが必要とされます。
 
 一方で厚生労働省の ≪人生の最終段階における医療に関する意識調査≫ では、『末期がんではあるが、食事はよくとれ、痛みもなく、意識や判断力は健康なときと同様に保たれている場合』には、7割以上が『居宅で終末期を過ごしたい』と回答しています。
 
 がん診療連携拠点病院から在宅まで、終末期をどこで過ごしたいのか、患者さんのニーズにより異なります。地域包括ケアが進む中、終末期の療養場所として在宅のニーズはさらに高まるものとみられます。
患者さん・家族とのコミュニケーションを重ね、患者さんを理解したうえで、ニーズを引き出し
他職種と連携をしながら対応していきます。
患者さん・家族に対して、きめ細やかな心遣い・配慮をすることが、その人らしく最期まで過ごすことの支えになると思います。
 
 岐阜県には、 緩和ケア病院が7か所
 
・岐阜大学医学部付属病院
・岐阜県総合医療センター
・県立多治見病院
・岐阜市民病院
・大垣市民病院
・木澤記念病院
・高山赤十字病院
 
緩和ケア病棟が6か所
 
・県立多治見病院
・久美愛厚生病院
・中濃厚生病院
・岐阜清流病院
・東海中央病院
・岐北厚生病院
 
計13か所あります。

診察・相談の受診をしたり、入院をしたりと様々ですが、自宅でのケアを希望される場合、上記に示した病院より、当院などの診療所・クリニックに紹介状を持参していただけますと、こちらよりご自宅に訪問診療させていただきます。

 
 
 
ここで、在宅ケア(特に終末期)での、良い点と悪い点を紹介したいと思います。
 
≪良い点≫
 残された時間を家族と一緒に過ごせることが最大のメリットです。
自宅でリラックスができるので、本人の精神的・肉体的負担も少なくなります。
病院に比べると費用がかからず、経済的な心配も軽減できます。
家族にとっても、病院で一人にさせて寂しくないか・苦しんでいないか、といった点を心配せずに済みます。
 
≪悪い点≫
 褥瘡ケアや食事・トイレなど、いつも家に居るので、面倒を見る人が必要となります。
 場合によっては、仕事を辞めたり、引っ越ししたり、介護者のその後の人生を大きく変える決断を余儀なくされることもあります。
 介護をしながらの生活は、体力的に厳しく、患者が快適に過ごせる環境づくりへの気遣いなどは精神的に負担がかかります。
 介護者が負担を抱え込んでしまうと、患者と家族の関係に悪影響が出る可能性もあります。
 患者さんの容体が急変した場合には、入院時のようにすぐに医師に診てもらうわけにはいきません。
 
 
 自宅で最期まで看取るということは、それなりの体力と覚悟が必要となってきます。しかし、自分たち家族だけで一生懸命に頑張り過ぎてしまうと、共倒れしてしまいます。家族が介護に対する負担を軽減し患者さん本人と向き合う時間に集中できるよう、訪問診療を行ってくれる医師や看護師に相談をしたり、ソーシャルワーカーやケアマネージャーに相談をしたり、介護サービスを利用して介護生活をサポートしてもらうと良いでしょう。
当院でも、東海中央病院緩和ケア外来より紹介をしていただき、患者さん家族の希望で、在宅ケア・最期の看取りを行っております。
もし、ご自身の身内の方で、在宅ケアを希望される方がお見えでしたら、お声を掛けてください。よろしくお願い致します。(K.S)
 
 
 

2018.2.28

私達は、日々水分・食事をとり、必要な栄養分を得ています。
そして、毎日たくさんの老廃物を作っています。
食事からの老廃物は、腸から便として排泄され、血液中にできた老廃物は腎臓で処理され、尿として排泄されます。
腎臓は、腎臓に流れ込む血液をろ過し、生体に必要な成分( 水分・ミネラル・ ブドウ糖・アミノ酸などの栄養素)を再吸収することで、不要な物質を含む 濃縮された尿が生成されます。
生成された尿は、腎臓から尿管を通り、膀胱で一時的に貯留され、一定量に達すると尿道を通って体外へと排泄されます。
尿量は、水分の摂取量・発汗の程度により変動はありますが、1日の総排尿量は1000~2000ml/日と言われています。
牛乳パックに例えるなら、1本~2本分の量に相当します。
不要な物質の排泄には、最低400~500ml/日の尿量が必要とされています。
膀胱は、3層からなる平滑筋でできた袋状の器官で、平滑筋が収縮し、尿道括約筋が弛緩すると排尿が起こります。
その膀胱に150~250ml(コップ1杯分相当)になると尿意を感じます。
高齢の方などは、120~200ml相当に達すると尿意を感じるそうです。
個人差が大きく、気温や水分摂取の状態・体調などで尿量は変化します。
膀胱に尿がたまる事で、膀胱内の圧力が高まり、その信号が大脳に伝わって、
尿意が起こり、膀胱の筋肉や尿道括約筋が働いて苦痛なく排泄されます。
排尿中枢は脊髄にありますが、内圧の低いうちは、大脳の働きで尿意を抑制できます。
尿道括約筋は、随意的にも収縮させることが可能で、これによって排尿が抑えられます。

< 尿量 >

尿量が400ml/日以下を 乏尿
   100ml/日以下を 無尿 と言います。
 
急激な乏尿(尿量低下)は、急性腎障害が疑われる事もあります。
尿量が概ね2L/日を超えるような場合、多尿とされます。
夜間の頻尿が多尿の初発兆候となる事があります。
多尿には、尿毒症・糖尿病・慢性腎不全なども考えられます。
特に、夜間に尿量が多くなる夜間・多尿の原因として心不全があります。
又、年齢に伴い、膀胱の蓄尿量(膀胱容量の低下)や尿の濃縮能力の低下による事も考えられます。
夜間の頻尿を訴えた場合、生理的変化なのか、病的な変化なのかを見極めるためにも、医師に相談される事をお勧めします。
 
< 尿の色 >
淡黄色から黄褐色です。
尿の色は、摂取した水分の量や季節、体調、薬の副作用などによっても変化します。
尿の混濁は、尿中に溶けない物質(排泄物の結晶や血液・膿・脂肪など)があることを示しています。
尿の酸性度や排泄後の液温低下などにより、溶けていた物質(尿酸など)が析出し、多少混濁する事があります。
女性に多いですが、尿道で分泌される粘液が白い浮遊物として確認される事もあります。
 
< 尿の泡立ち( 気尿 )>
尿の泡立ちは、勢いよく排尿した場合などは誰でも伴う場合がありますが、尿中の気泡が消失しないような場合には異常とされます。
 
< 尿のにおい >
尿の場合も、排尿後時間の経過とともに細菌により尿の成分が分解され、アンモニア臭を放つようになります。
また、摂取した飲料物、薬剤などのにおいがそのまま反映される事もあります。
 
著しく血糖のコントロールが不良な糖尿病の患者さんや糖質の供給が不十分な場合(飢餓状態)では、エネルギー源としてブドウ糖を十分に使用できず、脂肪が利用されます。
このような状態の時に、生成されるケトン体が、尿や汗、吐息などに混ざる事で果実様の甘酸っぱい臭気の原因になります。
 
日々の生活の中で排泄は1日も欠かす事のできない重要な働きがあります。
尿量が極端に少なくなる事や、多すぎる場合なども、診察する事で治療対象となる事もあると思います。
ご相談内容や診察後必要ならば泌尿器へ紹介する事もあると思います。
気になる症状などある様でしたら、お気軽にご相談ください。
 
次回、排尿回数・排尿困難などの症状についてお話したいと思います。(J.I)

2018.2.28


 
 
・2018年 花粉飛散量の傾向
  2018年春の、スギやヒノキの花粉飛散量は、全国的に2017春よりおおくなる見込みです。
 東北地方から関東地方にかけての花粉飛散量は、2017年春の3倍から4倍、その他の地域も
 1.2倍から2倍と多くなる見込みです。
 
・飛散開始時期
 2月上旬に九州や中国、四国、東海、関東の一部から、花粉シーズンが始まる見込みです。
 但し、スギ花粉は飛散開始と認められる前から、わずかな量が飛び始めます。
 
・花粉症はなぜ増加しているのか
1、 スギ花粉の増加
大量植林されたスギが伐採されずに残り、開花適齢期を迎えています。
さらに地球温暖化の影響も受け、春のス花粉飛散量が増えています。
2、 排気ガス、大気汚染
排気ガスなどで汚染された、大気中の多くの微粒子が抗体を生産しやすく、
花粉症の発症を促進します。
3、 食環境の変化、不規則な生活リズム
高タンパクや高脂肪の食生活を続けたり、不規則な生活リズムやストレスの多い
生活なども、アレルギーを起こしやすくしています。
4、 住宅環境の変化
住宅やオフィスの近代化に伴い、通気性の少ないダニ、カビの温床を作り、
アレルギーを起こしやすくしています。
・花粉症を引き起こす植物
1、 スギ花粉
飛散時期は2~4月。飛散量が多く、日本でも最も多い花粉症の原因。
飛散距離が長く、ごくわずかな飛散の北海道、沖縄を除き、全国で発症。
鼻アレルギーの他、目、喉、皮膚の症状も出ることもあります。
2、 ヒノキ花粉
飛散時期はスギより少し遅れて3~5月。杉と同じく飛散距離が長く、広範囲で発症。
3、 イネ花粉
飛散時期は、5~6月。飛散距離は、100メートルほど短いが稲刈りの時、
稲についた花粉が舞い上がることもあるので、秋も注意が必要です。
ススキ・カモガヤ・スズメテッポウなど
4、 ブタクサ花粉
飛散時期は、8~10月。日本ではスギ、ヒノキに次いで多い花粉です。
背が低い草花で、飛散距離は短いです。河川敷や道端に群生していることが多いので、
散歩などで近くを通るときは注意が必要です。
 
・花粉症対策
  スギやヒノキなど春にピークとなる花粉が原因の花粉症には、症状が酷くなる前に、早めの予防が効果的と言われています。
  花粉症の発症につながる原因物質、ヒスタミンなど体内で分泌されるのを防ぐタイプ(抗アレルギー作用)の花粉症薬を早めに使用することが進められています。

☆外出時の注意点

 ・マスクや眼鏡、スカーフなどを着用。
 ・花粉の付着しやすいウールなどの着用は避けましょう。

☆帰宅時の注意点

 ・玄関に入る前に、衣類に付着した花粉を払い落しましょう。
 ・手洗いは洗顔、うがいを行いましょう。

☆室内での注意点等

 ・外に干していた洗濯物などは、付着した花粉払い落してから取り込みましょう。
 ・こまめに換気をしましょう。(1日で花粉の飛散量が一番多い11時~14時の時間帯には、換気することは避けましょう。)
 ・睡眠を十分にとって、体調を万全にしましょう。
 ・ストレスは溜めないように心がけましょう。(S.T)
 
 
 
 

2018.2.7

先日、主人の父親が がんで亡くなりました。病院で息をひきとりましたが、父親の希望は『自宅へ帰りたい…』『自宅で最期を迎えたい…』でした。
自宅でのケア・自宅での看取りは、本人も家族も、ものすごい意志と努力がなければ、とても大変なことだと思います。
自宅での療養には、私たちのようなクリニックから先生が訪問して診療をしてくれたり、看護師や介護士が訪問してお手伝いをしてくれたりします。周囲の方々との連携を上手く行いながら、自宅での生活が成り立っていきます。
しかし、がんと診断・宣告されている患者さんに対し、緩和ケアを利用することも出来ます。
 主人の父親も、自宅での看取りを希望していたので、クリニックからの訪問診療や訪問看護を利用しながら、かつ、父親本人や家族が大変になった時には、緩和ケアをお願いしようと考えていました。
また、私の父親は、実際に緩和ケアを利用し、緩和ケア病院で息をひきとりました。
今回、その緩和ケアについて、お話をしたいと思います。
 
 
緩和ケアとは、“病気に伴う心と体の痛みを和らげること”と言われています。
WHO(世界保健機構)による定義としては、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し和らげることでクオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである とされています。
心と体の苦しい症状を積極的に和らげ、その人が穏やかに、その人らしく、はつらつとした時間が続くような支援を行っていくことです。
 
 がんと診断された患者さんや家族は、今後の治療の経過やあるいは再発・転移が分かった時に、つらさやストレスを感じています。『がんの治療のことではないから…』と相談できずに悩まれる場合や、『症状だけをなくしても、がんが治るわけではない』『気の持ちよう』と症状を和らげることに消極的になる場合があります。
今までは、“がんを治す”ということに関心が向けられ、患者さんの“つらさ”に関心を向けていませんでした。患者さんがどのように生活をしていくのが良いかという“療養生活の質”も“がんを治す”ことと同じように大切であると考えられるようになりました。これが、緩和ケアの考え方であり、少しでも早い時期から取り入れていくことで、患者さんと家族の療養生活の質をより良いものにしていくことができます。
 
≪緩和ケアを受ける時期≫
緩和ケアは、がんが進行してからだけではなく、診断された時から、必要に応じ行われます。
がんと診断されたとき、ショックがひどく落ち込んでしまったり、落ち着かなかったり、不安で眠れないこともあります。また、がんの治療(抗がん剤治療・放射線治療など)では、食欲がなくなる・吐き気をもよおすなどの副作用がみられることがあります。痛みは、がんの早い時期にも進行した時期にもみられます。強い痛みが続くと、治療を受けることもつらくなり、日常生活にも大きな影響を与えてしまいます。
症状・副作用に応じ、適切な時期に緩和ケアのサポートが大切となってきます。
病院にある緩和ケアのみならず、在宅療養中で訪問診療を受けている場合には、その主治医や看護師が、介護保険制度を利用中の方であればケアマネージャーや市町村の担当者がサポートに協力してくれます。
 
 
緩和ケアは、がん治療中かどうか、入院・外来・在宅療養などの場を問わず、いずれの状況でも受けられます。
緩和ケアチーム

全国のがん診療連携拠点病院には、この緩和ケアチームがあります。これらの医療機関では、入院・通院治療を通じて緩和ケアを受けることができます。
医師・看護師に加え、薬剤師・ソーシャルワーカー・心理士・栄養士・理学療法士など、さまざまな職種のメンバーが関与しています。

緩和ケア外来

通院中の患者さんに対し、院内の緩和ケアチームが行う外来です。
入院中に診療を受けていた患者さんも、退院後、引き続き緩和ケア外来を受けられる場合もあります。
定期的にあるいは必要に応じて受診することで苦痛の軽減ができます。

緩和ケア病棟

緩和ケア病棟では、がんの進行などに伴う身体や精神的な症状があり、抗がん剤治療やホルモン療法・放射線療法・手術などが困難となる、あるいは、これらの治療を希望しない方が主な対象となります。

自宅での緩和ケア(在宅緩和ケア)

緩和ケアに関連する治療の多くは、自宅にて入院中と同じように行うことができます。
多くの方は、安心できリラックスすることができる環境は自宅です。
身体の状態が安定していれば、自宅での療養は難しいことではありません。
飲み薬による治療だけでなく、注射のためのポンプや点滴などの処置が必要な場合でも、自宅にて継続することができます。
自宅での緩和ケアでは、在宅療養の知識を持った訪問診療医(かかりつけ医)や訪問看護師・薬剤師・ケアマネージャー・訪問介護士が協力してサポート態勢を整えます。
また、今まで受診や通院をしたことがない初診の患者さんであっても、在宅療養支援診療所などでは、十分な診療体制で対応することができます。
患者さんや家族の生活のペースを守りながら緩和ケアを提供します。
自宅での緩和ケアを選択しても、訪問診療医を通じて、病院担当医や緩和ケアチームとの連携は継続できますし、必要に応じて治療やアドバイスを受けることができます。
訪問診療医や訪問看護師などと療養の目的や希望について十分に話し合いをし、緊急時の対応方法をあらかじめ確認しておき、患者さんと家族の不安を少なくしておくことが大切です。
 
 
簡単に説明をさせていただきましたが、療養の経過・症状別の対応や痛みに対しての対応など、次回に説明をしたいと思います。(K.S)
 

 

2015.11〜2017.12

 

2017.12.1

 
寒い日が続く毎日で、体調を崩されてしまう方が多い季節です。
子供達は、寒い中でも元気に走り回っていますが、汗をかいた後など
急激に体が冷えて、風邪をひいてしまうという事もあると思います。帰宅したら、手洗い、うがい、汗をかいたら着替えを心がける事は、とても大切だと思います。
 
 クリニックでも、胃腸の症状を訴える方が多く見られます。
下痢・嘔吐を伴い、腹痛や嘔気を主症状に頭痛・発熱を伴うことがあります。下痢が主症状で起こることがあり、血便を伴うこともあります。
 感染性腸炎とは、最近・ウイルス・寄生虫などの病原体が腸に感染 して様々な消化器症状を引き起こす病気です。
多くは、食品や飲料水を通して経口的に病原体が体に入り、感染をしますが、1部ペットや人からの感染もあります。
 
 原因としては、細菌・ウイルス・寄生虫が考えられます。
 細菌では、カンピロバクター・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・病原性大腸菌・ブドウ球菌・エルシニアが多いです。
ウイルスでは、成人では、ノロウイルス、小児では、ロタウイルス が多いです。
海外渡米歴(熱帯アフリカ、南アジア、ラテンアメリカなど)がある方など、寄生虫では、赤痢アメーバー、ランゲル鞭毛虫がきかれます。
感染に季節性があり、夏には細菌が、冬には、ウイルスが原因となることが多いです。
感染源としては、カンピロバクターでは、鶏肉が圧倒的に多いと言われています。サルモネラでは、鶏卵によるものが多いと言われています。
腸炎ビブリオでは、魚介類、腸管出血性大腸菌では、牛肉・未殺菌乳が主な感染源です。
ノロウイルスは、冬期の食中毒の原因として最も多い病原体です。
生牡蠣などの二枚貝からの感染によるものとされてきましたが、 最近では、便や吐物からの人から人への二次感染が問題となっております。
 
 軽症例では、自然に治癒しますが、下痢を伴う脱水に対しては、経口摂取困難が顕著な場合には輸液を行います。
 症状の現れ方は個人様々ではあります。発熱を伴った下痢・腹痛・嘔気・嘔吐がある場合や時には、血便もきたす事もあります。
ウイルス性では、嘔気や嘔吐症状が強いのが特徴で発熱はあっても38℃以下の微熱のことが多く、血便はありません。
一部の寄生虫疾患では、下痢が長期に続く場合もあります。
 
 脱水の改善を行うことが大切であり、スポーツ飲料など糖を含んだ電解質溶液の経口投与を行います。
下痢を伴っている際止痢薬を希望される方もいるのですが、止痢薬は利点より副作用も大きく、病態を悪化させることがある為、使用しないほうが良いと思います。
 
 下痢便や吐物を処理するときは、手袋・マスクなどを着用し、飛沫感染予防を行うとよいと思います。
処置をする際は、ハイターなど次亜塩素酸ナトリウムでの消毒をお勧めします。
 
 
<感染を防ぐポイント>

帰宅時や調理を行う前、食事前、トイレ後、流水と石鹸使用にて、指先、指の間、爪の間、親指の周り、手のしわ、手首など
洗い残しがない様に手洗いを実施する。

食事はなるべく火を通したものを食べてください。
特に貝類など二枚貝は、しっかり加熱していれば感染しないのですが、体調の悪い人やお年寄り、子供など生や不十分な加熱
状態で食べると感染してしまう可能性があります。
二枚貝は中心部まで十分加熱(85~90℃で90秒以上)
してください。

熱湯(85℃で1分以上)による加熱・次亜塩素酸ナトリウムでふき取るなどして消毒する。
包丁などの金属製調理器具や食器類はアルコールを使用すると良いと言われています。

手や食器調理器具を清潔にする。ドアノブや手すり・トイレ・イスなど家族皆で使用する共用箇所のウイルス除去は大切です。
ドアノブや家具などの金属部に次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒すると錆が生じてしまう為、注意してください。
消毒後は、十分に薬剤をふき取るか、プラスチックや金属に対する影響が少ないアルコールで消毒するなど注意が必要です。
 
 まだ寒い日が続きますので、体調には気をつけてくださいね。
気になる事がありましたら、お気軽にご相談ください。(J.I)
 
 
 

 

2017.11.2

 
そろそろ、インフルエンザが流行ってくる時期になりました。
大垣市・岐阜市でも学級閉鎖が出たという報告がありました。

[インフルエンザAの特徴・症状]

 インフルエンザA型の症状は、38℃以上の高熱の持続や咳や喉の痛みなど呼吸器系に影響が出ることが特徴で、インフルエンザの中で一番感染力が強く最も流行しやすいです。
たとえ予防接種を受けたとしても、感染する可能性があります。
また、高熱が出たからといってすぐ病院を受診しても初期の段階では、ウイルス量が少ないことから陰性と出てしまうこともあるため高熱が8時間~12時間持続してから受診することをお勧めします。
 
・38℃以上の高熱
・咳や喉の痛み
・頭痛
・寒気
・強い関節痛・筋肉痛など

[インフルエンザB型の特徴・症状]

 
 インフルエンザA型と同様で呼吸器系に影響が出るのが特徴です。
インフルエンザA型と比べると感染力は低めで、そのためインフルエンザB型が大流行するといったことはあまりないですが、A型に感染した後にB型に感染する。あるいはその逆になる場合もあります。
 
・37.5℃~38℃程度
・咳や喉の痛み
・頭痛・寒気・関節痛など
 
 C型インフルエンザもありますが、症状も軽微で臨床的に問題とされていません。
インフルエンザA型・B型と感染経路は、飛沫感染・空気感染・接触感染です。
潜伏期間は2~3日程あります。

[予防接種を受ける時期・効果的な時期]

 通常インフルエンザワクチンを接種した場合、予防効果が現れるのは約2週間程度かかると言われています。
その後は約5~6ヵ月程度は効果が持続するため、インフルエンザが流行する12月~2月に合わせて11月中にはインフルエンザの予防接種を済ませておくのが理想的です。
ワクチンの効果は個人差がありますが、インフルエンザ罹った際に発熱などの症状を抑え合併症の予防など重症化させない効果があります。

[インフルエンザワクチン以外の対処法]

 ・こまめな手洗い
 ・うがいをする
 ・マスクの着用
 ・加湿をする
 ・十分な睡眠
 
インフルエンザ流行時期、しっかりケアして予防対策を心がけましょう。
 
2017/2018冬シーズンのインフルエンザ株は下記のとおりです。
 A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(H1N1)Pdm09
 A/Hong Kong(香港)/4801/2014(H3N2)
 B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
 B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)
 
(S.T)
 
 

 

2017.9.25

 
外来受診される患者さんや、訪問診療先の患者さんから、「最近眠れないの」と話されることがあります。睡眠は、ヒトの生命活動を維持していくうえで不可欠な生命現象です。
睡眠の役割は、“身体を休ませること”、つまり、心身の疲労回復やエネルギーの節約、生理的なリズムや生活リズムを作り出すこと、内分泌機能や免疫機能など心身の調整に大きく貢献していると考えられています。
 
  睡眠障害には、
① 入眠障害(寝つきが悪い)
② 熟睡障害(ぐっすり眠れない)
③ 中途覚醒(熟睡障害・睡眠の持続の障害)
④ 早朝覚醒(睡眠時間の短縮)
⑤ ①から④が複合する睡眠時間の不足         

 
 などに分類されます。
 
  通常は、年齢を重ねるにつれ、総睡眠時間は次第に減少していきます。
高齢者では、寝つきが悪く、浅い睡眠となり、頻回な中途覚醒や早朝覚醒が見られるようになります。また、さまざまな要因がからみ、夜間の睡眠不足から日中も睡眠をとる“多相性睡眠”となることが多いです。
 
 健康な方がしばしば体験する不眠は、“機会性不眠”と呼ばれ、不眠が生じても、翌日よく眠ることで改善されます。しかし、睡眠不足が繰り返されると睡眠に対する欲求が増大し、場所・時間・状況にかかわらず居眠りをするなど、睡眠・覚醒のリズムの崩れを招きます。
また、『眠らなくてはいけない』という焦りや努力・不安などから、不眠を慢性化させる原因となります。イライラ感が募る、集中力・注意力・自発性意欲の低下…といった精神面での不調や頭痛・食欲不振などの身体面への影響も引き起こします。
 
睡眠障害を緩和していくには・・・

☆寝室の環境を調整する

 
明るさ・・・外からの光が入ることで不眠となる場合はカーテンを工夫しましょう。
            間接的なベットランプや足元の証明を活用してみましょう。
温度・湿度・・・外界と部屋の温度差が7℃以上になると、不眠の原因となりやすいです。
         夏:26-28℃   冬:18-20℃
         湿度も50-60%に保つと良いです。
音・・・一般に、連続騒音よりも間欠的な騒音の方が入眠を阻害し眠りを浅くします。
    耳栓の使用、騒音から注意をそらす、マスキング効果としてラジオや音楽を聴く
    (ただし、90分程度のタイマーセットをすると良い)

☆リラクゼーションをすすめる

 
 入眠前の入浴は、心身の緊張を緩和し入眠しやすくさせます。
入浴・・・末梢の血行が良くなって体熱が放散され適度に体温が下がると入眠しやすくなります。
38-40℃のぬるま湯に20分以上ゆっくり浸かると良いでしょう。
また、半身浴は血液循環を促進し、発汗が促進されます。
入浴後、布団に入るのは、身体のほてりが冷めかかる頃が良いでしょう。
シャワー浴・・・しぶきによるマッサージ効果があります。
         ぬるめの湯のシャワーが良く、浴びた後は身体が冷えないように早めに
         寝床へ入りましょう。
手浴・・・洗面器に入浴時よりもやや熱めの湯を張り、そこに10-15分両手をつけます。
     特に精神的緊張の緩和に効果があります。
足浴・・・皮膚温を高め、皮膚温の均一化をはかるとともに、発汗が促されることによる
     リラクゼーション効果があります。
     湯は40±1℃、足を浸す時間は10分程度が良いでしょう。

☆日中の活動性を高める

 
 起床や就寝、食事、休息など、規則正しく生活時間を整えましょう。
 日中に身体を動かして体温上げておくと、夜に体温が下がり入眠しやすくなります。

☆夜間頻尿への対応

 
 就寝前の水分摂取や頻尿は、睡眠中の尿意を促し、中途覚醒の原因となります。外食後の飲水は控えましょう。必要な場合は、頻尿治療薬の使用も行いましょう。

☆空腹感を緩和する

 
 過食は、過剰な胃の蠕動運動を促進し、逆に就寝間際の空腹は、空腹中枢を刺激して眠りを妨げます。
消化の良い少量の軽い軽食や温かい牛乳等は、胃粘膜を刺激して、ほどよく緊張させるので適しています。
冷たいもの、消化の悪い油もの、塩分の多いものは避けましょう。

☆コーヒー・お茶の摂り方に注意する

 
 カフェインの1日摂取量が300mg(コーヒー3杯/日)以上になると、入眠を障害すると言われています。夕食後や寝る前には飲まないようにしましょう。
ココアはカフェインがないので、牛乳と混ぜて飲むことをお勧めします。
日本茶を飲む際は、緑茶よりもタンニンの少ないほうじ茶を選びましょう。

☆睡眠薬を活用する

 
 睡眠障害による心身の疲労が日常生活に支障をきたす場合には、医師と相談の上で睡眠薬を活用しましょう。
睡眠薬には作用時間の長さや自分の睡眠パターンにより内服薬が変わります。
高齢者では、睡眠薬への反応が著しく、投与量によっては急激な嗜眠状態に陥り、重篤化することもあります。また、効果の持ち越しによる日中の覚醒不良で、歩行時にふらついて転倒したり、活動性の低下をまねくことがあります。
必ず、医師と相談をして睡眠薬を使用しましょう。(K.S)
 
 
 

 

2017.7.28

 
暑い日々が続き、暑さでたくさんの汗をかいて、冷たいものを好んで、たくさん摂取してしまう時期です。体温調節もうまくできず、具合が悪くなる事も多くあると思います。
今回は、夏季にみられる症状で、処方される漢方についてお話したいと思います。
 
 漢方治療では、証(体質・症状)に合った処方を選択します。
証の目安として大きく3つに分けられます。
  • 虚証タイプ・・・病原・病因に対する生体反応が弱い状態(抵抗力・体力がない状態)
  •         胃腸の働きが弱い人、胃下垂の方は虚証
  • 中間証  ・・・ふつうである
  • 実証タイプ・・・病気に対する抵抗力・体力が比較的ある状態
  •         病因に対する生体反応が強く、過剰な状態を示す
  •         胃腸の働きが強い人

 
自覚症状と全身的所見に基づいて投与する漢方薬が選択されます。
個人差があり、年齢、性、性格、胃腸の強弱などを考慮されます。
同一病名でも、患者の症状によって用いる漢方薬を変えることがあります。

 
実証(体質が強い)

☆体系

固太り~筋肉質

☆皮膚  

みずみずしく、つやあり

☆皮下脂肪

 厚みがあり弾力的

☆筋肉

弾力的で厚みあり

☆内蔵下垂傾向

なし

☆消化吸収機能

 良好

☆活動性

積極的で疲れにくい

☆体温調節 

高温低温ともに強い 暑がり 多汗傾向

☆その他

動作速く声が力強い


 
虚証(体質が虚弱)

☆体系

水太り

瘦せ型

☆皮膚  

もち肌〜さめ肌

乾燥萎縮傾向

☆皮下脂肪

 厚くても軟弱

うすく萎縮傾向

☆筋肉

しまりがない

うすく、しまりがない

☆内蔵下垂傾向

あり

顕著

☆消化吸収機能

 可

不良

☆活動性

疲れやすい

疲れやすい

☆体温調節 

夏バテ 寒がり 手足冷え 多汗

温度変化に弱い 低体温 発汗しにくい

☆その他

動作遅く声が弱々しい

動作遅く、声が弱々しい

 
★疲労・倦怠感・消化器症状や冷えがある方

新陳代謝が低下して体力虚弱な人で、全身倦怠感や四肢冷感があり、下痢・腹痛など訴える場合に用いる。
 
四肢倦怠感・多汗・夏痩せ・食欲不振のある方

比較的体力の低下した人が、全身倦怠感・食欲不振などを訴える
場合に用いる。(消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい方)
 
★食欲不振・胃腸機能低下

胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすい
貧血性で手足がひえやすい
比較的体力の低下した人が、胃腸機能が低下して、食欲不振、心窩部の膨満感などを訴える場合に用いる。
 
★暑気あたり・下痢・嘔吐

口渇ならびに尿利減少を主目標としている。
浮腫・悪心・嘔吐・頭痛・めまいなどの症状伴う場合に使用します
 
★疲労・倦怠・消化器症状

夏痩せ・全身倦怠・暑気あたり・下痢・食欲不振
比較的体力の低下した人で食欲不振・全身倦怠感を訴える場合に
用います。
1)軟便、尿量減少、自然発汗、手足の熱感などを伴う場合。
2)夏痩せ、夏まけに使います。
 
これから、暑い日が続き、体力的にもつらい日々が続きますが、不調に気づいた際に、いろんな症状を抱えていて、お困りの方もいらっしゃると思います。
漢方薬は、作用がマイルドで適応条件に合うと効果が現れますが、
すぐに効果がでるというわけでもなく、徐々に効果が見られます。
しかし、同じ症状であっても個人差があります。
 効果が見られない場合では、先生と症状をお話しする事で、違ったお薬を使用することもあります。これからの生活が、快適に毎日を過ごしていただきたいと思います。何か心配な事などありましたら、ご気軽にご相談ください。(J.I)
 

 

2017.7.3

 
マイコプラズマ肺炎という名前は、一度は聞いたことあると思いますが肺炎プラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)という細菌によって引き起こされる肺炎のことです。
主に気管支や喉などに感染して炎症を起こします。
 
症状
 4~5日程続く発熱・全身倦怠感・のどの痛み・鼻水・鼻詰まりなどの風邪症状に似た症状が現れます。
また咳は特徴的で痰などを伴わない乾いた咳(乾性咳嗽)が見られます。
乾いた咳は経過とともに強くなり、熱が下がった後も1ヵ月以上続くことが特徴的です。
乾いた咳は、特に夜間や早朝に酷くいつまでもしつこく続きます。
一般に「肺炎」と呼ばれる肺炎球菌が原因の「細菌性肺炎」は、発症して1~2日で症状が重くなりますが、マイコプラズマの場合は感染しても症状の進行は緩やかで発熱もそれほど高くありません。
一般的には、気管支炎程度で済みますが一部の方は肺炎に進行することもあるので経過は十分に注意しましょう。
 
潜伏期間
 感染してから発症するまでの潜伏期間は、通常2~3週間程です。
 
感染経路
 感染経路としては、咳やくしゃみなどのしぶきが飛ぶことで近くにいる人に感染する飛沫感染と感染している人との接触による接触感染があります。
そのため、家族間での感染や学校などの集団生活の場で感染しやすく流行しやすい感染症となっています。
1年を通じてみられる感染症で、風邪やインフルエンザとは異なり流行はまちまちです。
 
治療
 基本的には自然治癒できる病気ですので、通常の風邪と比較すると治療期間はやや長くなりますが、水分や栄養補給に気を付けて安静に過ごすことで症状はおさまり、体力も回復していきます。
抗生剤や症状に応じて薬が処方されますので、用法容量を守って服用しましょう。
 
予防
 風邪やインフルエンザの予防と同じく、普段から手洗いとうがいを徹底し締め切った場所や人ごみの中ではマスクを着用するようにしましょう。(S.T)
 
 

 

2017.5.9

 
クリニックに受診される患者様や往診先の施設利用者様で、『最近、よく転ぶの』『この前、転んじゃって骨折しちゃったの』等、話を聞くことがあります。
 高齢になるにつれ、全身の筋力低下、歩行・移動障害、視空間の認知機能低下、夜間不眠のための睡眠薬の使用等、さまざまな理由が考えられますが、めまいやふらつきにより転倒などの二次被害を助長させてしまう場合があります。
 高齢者のめまい・ふらつき症状は、原因がはっきりしない場合が多いですが、加齢に伴い視覚も衰え、姿勢の動揺を補正する機序がしにくくなります。
また、姿勢変換(臥位➔座位➔立位、あるいは、右側➔左側に向きを変える)の時に、平衡感覚を維持する機能がうまく作動しなくなるため、視覚を頼らざるを得なくなり、補正するのに時間がかかり不安定性が増し転倒に至るのです。
 
 めまい症状の中には、
  • ・内耳疾患(メニエル病・突発性難聴)
  •  ・良性発作性頭位めまい症
  •  ・前庭神経炎
  •  ・脳幹や小脳が原因となるもの               など…

 
さまざまですが、高齢者の方で最も多いのは、“良性発作性頭位めまい症“です。
 
 良性発作性頭位めまい症は、寝返りを打った時、靴ひもを結ぶなど前かがみになった時、洗濯物を干す、あるいは取り込もうとした時、歯科治療時、美容院での洗髪時などに、頭の位置が急激に移動することで起きるめまい症状のことを言います。
 あとは、高齢者の場合、過去から現在に至るまでに多種多様な疾患に対し、さまざまな薬剤を服用されていることが多く、これらの薬剤の副作用の一部として、めまい症状を訴える場合もあります。
 
 めまいに対しての治療薬はありますが、平衡障害によるめまいに対しては、全身状態について配慮しながら比較的軽めの平衡筋力トレーニングなど一種のリハビリテーションを行いながら調整対応をしていくことが良いと思われます。
トレーニングのメニューとしては下記のような内容があります。

  • 平衡訓練としての開眼足踏み(100歩)…立位でも座位でも可能
  • 継ぎ足歩行(開眼で20m程度)
  • 筋力トレーニングとしての片足立ち(何かにつかまること可、左右足それぞれ1分ずつ)
  • 椅子からの立ち上がり、腰かけの繰り返し(5回)

※これらを1セットとして、状態も応じ、1日1~3セットを行うと良い
 
 
 
 短期間で改善を期待するのではなく、長期間をかけてじっくり対応していく姿勢が重要です。
 めまい症状に対して、当院での治療としては、
  ・7%炭酸水素ナトリウム(メイロン)・・・注射となります
  ・アデノシン三リン酸(アデホスコーワ)・・・内服薬となります
  ・ベタヒスミン(メリスロン)・・・内服薬となります                 など…
さまざまな種類があります。症状の種類により治療薬も異なりますので、診察を受けて相談しながら考えていきます。
 
 めまいやふらつき症状がある時には、急激な移動や行動は行わず、ゆっくりと行うことが大切です。また、先ほど紹介したトレーニングも取り入れながら、日常生活の中で常に平衡感覚に慣れておくことも大切です。
 めまい症状を気嫌いせず、上手く向き合い付き合っていけるようにしていきましょう。(K.S)
 
 

 

2017.3.28

 
認知症は、年々増加傾向であるといわれています。認知症は、突然なるのではなく、脳の変化が起こり、徐々に認知症へと移行していきます。
 認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)という認知症予備軍といわれている正常と認知症との間のグレーゾーンの状態があります。 MCIの段階から対応すれば明らかな認知症にならなくて済むかもしれません。現在軽度認知障害(MCI)の方は、約400万人いると言われています。
 MCIの状態になったとしてもその後、認知症とはならず、時間の経過とともに記憶障害が改善し、MCIの状態から脱却した方もいます。
 MCIでは、思考力や判断力は大丈夫なので、物忘れはありますが、日常生活上は、特に支障がありません。そして、自ら(本人)が病状を自覚しています。
 
代表的な主な症状は、
1. 昔から知っている物、人の名前が出てこない。
2. 最近の出来事を忘れることがある。(みんなで体験した共通の出来事を一人だけ忘れている)
例えば、買い物に行き、顔見知りの方に遭遇した際、その方のお名前が出てこないことはあると思います。そんな時、何かヒントやエピソードなどの全体像を思い浮かべているうちに思い出すことができるのは単なるもの忘れです。MCIですと、人の名前も物、名前にしても見たこと、聞いた事、体験した事の記憶が脳の中からすっかり消えてしまい思いだすことが出来ません。そのため、買い物で、買ったことの記憶がすっぽり抜けているので、同じ商品を買ってしまい、家に帰ってきてから気づきます。MCIのもの忘れは、数分前の出来事、昨日、一週間前、一か月前などの近時記憶ができなくなります。買い物で同じ物をかってきてしまう事が多い場合は、買うものを毎回メモしたりして家族の方などと一緒に確認しながら行うと回避できることもあるかと思います。
3. 約束を忘れる(約束の時間、集合場所、日時なども忘れてしまう)
例えば、奥様が朝に洗濯物を干して外出するため、旦那さんに夕方には家の中に洗濯物を取り込む事を約束したとします。その際返事もあり、安心して外出し、帰宅すると取り込んでおらず、旦那さんに確認すると朝にきいた事も忘れています。出来事の記憶がすっぽり抜けてしまっています。
4. 積極性がなくなる。(好きな習い事に行くのを嫌がる、理由をつけて行かなくなる)
5. 雑談をしにくくなる。(友人など話についていない)
6. 普段している調理など段取りなどわるくなり、時間がかかる

 
本人は、症状を自覚しているため、不安や焦燥感を感じ、相手の対応によっては、怒りを感じたりします。
MCIの状態を理解し、対処する事によって、認知症の発症を防ぐ事もできます。約束事を忘れてしまう事が多い場合は、手帳やカレンダーに書いたりして、頻回にチェックすることにより回避できたりします。自ら症状を自覚することができる為、今後の生活について心配な事を最善の策をとることができます。
趣味を楽しんだり、人と話したりして脳を活性化することはとても大切です。食生活の改善や運動不足などライフスタイル全体を見直すこともとても重要な事です。
MCIと診断されてからの生活の心がけや周りの家族の方々の理解や支えがあることにより、認知症への移行を防ぐことができます。
何か心配や不安なことなどあれば、ぜひ主治医の先生にご相談されると良いと思います。何か心配な事などありましたら、気軽に声かけてください。(J.I)
 
 

 

2017.3.2

 
RSウイルス感染症とは
 このウイルスは冬から春にかけて流行し、乳幼児気道感染症の重要なウイルスです。
RSウイルスのRは、Respiratoryの頭文字で「呼吸の」という意味だということからも分かるように呼吸器系に感染するウイルスです。
 RSウイルスの感染力は非常に強く、2歳頃までにほぼ100%の子供がかかります。
一度かかっても免疫が十分に出来ないので何度もかかりますが、繰り返し感染しながら徐々に免疫ができ症状は軽くなります。
また、成人にも感染することがあります。
 感染経路として、飛沫感染・接触感染があります。
飛沫感染では、感染した人の咳やくしゃみで飛散したウイルスを直接吸い込むことによって感染し、鼻や咽頭の粘膜で増殖します。また、接触感染も多く鼻汁や痰に含まれるRSウイルスが皮膚や衣服・玩具、またそれに触れた手指についても4~7時間の間は感染する可能性があり、それが眼瞼や鼻咽頭の粘膜と接触することで感染します。
 
症状
 鼻水から始まり、その後38~39℃の発熱と咳が続きます。多くの場合1~2週間で治ります。
 生後1年以内、特に生後6ヵ月以内の乳児や未熟児・循環器系の疾患を有する幼児では重症化しやすく、呼吸機能の弱い老人や慢性肺疾患患者様・免疫不全患者様においても重症化する傾向があるので注意が必要です。
 潜伏期間は、2~8日で症状が現れる前でも感染することがあります。また、症状が消えてからも1~3週間は感染する力があると言われています。
 
治療
 RSウイルスに抗生物質は効きません。それでも、二次感染のおそれがある時は抗生物質を使うことがあります。多くの場合は、症状を抑える対症療法がほとんどです。
他の風邪と同じく、水分補給・睡眠・保温をし安静にして経過をみることになります。
 
予防
 流行期に、生後6ヵ月未満の乳児を連れて外出する場合には、人ごみを避けるなど注意する必要があります。(RSウイルスはおとなの風邪の原因にもなります。)また、手をよく洗い、マスク着用による防止も有効です。
RSウイルスは消毒薬に弱いので、次亜塩素酸ナトリウム・消毒用アルコール・ポピドンヨード(イソジンなど)が有効です。
 
 咳でなかなか眠れず、ミルクや水分が飲めないということもありますので、こまめに飲ませてあげるようにしてください。
部屋の加湿に気を付けたり、楽な体位などの工夫も大切です。(S.T)
 
 
 

 

2017.1.28

 
この言葉、なんだか聞き慣れないと思いますが、どんなケアだと思われますか???
 ユマニチュード(Humanitude)とは、フランス生まれの新しい認知症ケアの手法で、特別な治療もなく、わずか1分程度で驚くほどの効果をもたらすと注目を集めています。2014年2月に、NHKクローズアップ現代でも特集されました。
 うつ状態や暴力的になったりする人も、ユマニチュードを通すと穏やかになることから、『魔法のよう』と紹介されることも多いようです。もちろん、ユマニチュードの中身は魔法ではなく、具体的な技法に裏付けられた、誰にでも習得できる介護の方法です。
 家族や身内、あるいは地域でのふれあいの中で参考にして頂けたらと思います。

☆ユマニチュードとは・・・

 ユマニチュードは、『ケアをする人とは何者か』という哲学に基づく認知症ケアの手法。今から35年前、体育学を専攻とするふたりのフランス人、イブ・ジネストさんとロゼット・マレスコッティさんによって作り上げられました。
“見る・話す・触れる・立つ”というコミュニケーションの4つの柱を基本とし『見つめながら会話位置へ移動する』『アイコンタクトが成立したら2秒以内に話しかける』といった150の手法を超える技術から成ります。現在フランスでは400を超える医療機関や施設が、ユマニチュードを導入しています。今では、ドイツやカナダなどでも導入され、世界中に広まっており、日本でも2011年から導入されました。
 国内でも多くのメディアで取り上げられ、医療・介護の現場でいまだ注目を集めている認知症ケアです。
 
≪見る≫
 ユマニチュードでも特に大事とされている『見る』。認知症になる人はより視野が狭くなるため、まずは本人の視界に入って存在を認識してもらうことが大切です。
同じ目線の高さで、20cmほどの近距離で、親しみをこめた視線を送ります。
ユマニチュード考案者のジネスト氏曰く、「見ないのはいないのと同じ」。視線を合わせることで、言葉で説明するよりも早く確実に『私はあなたの味方です』ということを伝えられます。
 
≪話しかける≫
 ユマニチュードでは、たとえ反応が返ってこない方に対しても積極的に話しかけ、常にポジティブな言葉を加えます。ケアするときも「今からお口の中を綺麗にしますね」「お口を開きます、さっぱりしますよー」「綺麗になりましたね、気持ちいいですね」と実況するように、ゆっくりと声かけします。
そうすることで、単なる『作業』ではなく心の通った『ケア』になります。
≪触れる≫
 人間関係を親密にさせる上でボディタッチは非常に効果的と言われていますが、ユマニチュードでも触れることを推奨しています。ケアをする時、本人の背中や手を優しく包み込むように手のひらを使って触れることで安心感を与えます。
この時、忙しく無言で触れてしまうと逆効果で、本人に不信感を与えかねません。優しく声を掛けながらそっと触れることが必要です。
 
≪立つ≫
 ユマニチュード考案者のジネスト氏が『自分の足で立つことで人の尊厳を自覚する』と語っている通り、ユマニチュードでは最低1日20分は立つことを目指しています。
立つことで筋力の維持向上や、骨粗鬆症の防止など、身体機能を保つ効果があるのと、他の人と同じ空間にいることを認識することで、『自分は人間なのだ』という実感にもつながります。
 
☆ユマニチュードでNGな行動とは・・・
 ユマニチュードケアで、“やってはいけないこと”として、以下のような行動が挙げられています。
  ・腕などを突然「つかむ」
  ・視界に入りにくい「横や後ろ」から声を掛ける
  ・無理やり立たせようとする
介護する立場からすると何気なく行うことでも、認知症を持つ本人にとっては不安や恐怖をあおる行動として捉えられます。意識をして避ける必要がありそうです。
 
 
フランスの病院では、ユマニチュードを導入した結果、薬の使用を減らせたり、職員の負担が減るなどの効果も出ているそうです。また、治療拒否をしていた人が素直に治療を受けるようになり、職員に対して言葉を荒げていた人が「ありがとう」と言うようになったという報告もあるようです。
ユマニチュードは、時間が掛かる方法のようにも見えますので、業務に追われて忙しい職員や、家事に追われて忙しい家族が、実際にこの方法を使えるのだろうか?と疑問を感じるかもしれません。しかし、ユマニチュードにより、認知症の人と良好なコミュニケーションを取り、人格を大切にしてケアすることで効果が現れると、認知症の人も職員も家族も負担が軽くなるわけです。
一度試してみてはいかがでしょうか。(K.S) (認知症ONLINE記事より抜粋)
 
 

 

2016.12.3

 
毎年、会社や市の健康診断を受けられている方など 様々であると思いますが、自分自身の健康を守ること、 家族や友人などへの感染を防ぐためにも健診を受けることはとても重要な事です。
 
市の健診は、今年度6月より開始され、2月28日まで 実施しています。
 
●ヤング健診    18歳~年度末39歳までの各務原市に 住民登録のある方
 
●特定健診     40~74歳の各務原市国民健康に加入
          されている方
 
●すこやか健診   75歳以上の後期高齢者医療制度に加入されている方
          (又は65歳以上で一定の障害がある方)
 
●大腸がん検診   40歳以上の各務原市に住民登録のある方
 
●前立腺がん検診  50歳以上の各務原市に住民登録のある方
 
●肝炎ウイルス検診 40以上の各務原市に住民登録のある方
 (過去に肝炎ウイルス検診)を受けた事のある方は対象外です。
 
今年は、新たに結核検診が施行されています。
●結核検診  各務原市内に住民登録がある65歳以上の方が 施行できます。
次の方は対象から外れている為、施行することが出来ません。
1、

今年4月以降から胸部エックス線検査を受けた方
2、

肺疾患で現在治療中または、通院中の方
3、

職場などで検診を受ける機会のある方
4、

血痰が6か月以内にあった方
 
結核とは、抗酸菌の一種である結核菌によって起こる病気です。
結核患者さんの咳やくしゃみの中の結核菌を肺の中に吸いこむことにより感染します。
 咳やくしゃみをすると飛沫(しぶき)に含まれる結核菌が空気中で飛び散り(空気感染)それを他の人が吸い込むことにより感染します。
感染しても全員が発症するわけではなく、10人に1人~2人の割合で発病するといわれています。
症状は、咳、痰、発熱等の症状で始まります。 他には、痰に血が混じる、食欲が落ちる、体重が減るなど
2週間以上の咳が続いている際は、医療機関を受診された方が、良いと思います。
健康診断を受けることにより、早期発見・早期治療を行うことができ、健康を維持し、病気を予防することもできる為、重要であると思います。ご自身の体、大切な家族を守ることもできるのも健診であり、体に不調がなかったとしても、毎年健康診断を受けることにより、生活 を改善することもできる為、受けていない方も一度健康診断を受けられると良いかと思います。
寒い日が続きますので、体調管理に気をつけて下さい。
何か気になる事などありましたら、お気軽にご相談ください。(J.I)
 
 

 

2016.11.3

 
麻疹とは「はしか」とも呼ばれ、麻疹ウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹の感染症です。
 
【感染経路】
 飛沫感染・接触感染の他に、空気感染(飛沫核感染)があります。
麻疹ウイルス粒子は、1時間以上感染症を保ちつつ浮遊し吸引することで感染するなどその感染力は強いです。
 
【症状】
 一般的に、病期はカタル期・発疹期・回復期に分けられます。
 
ーーーカタル期ーーー
8~12日の潜伏期間を経て、咳や鼻汁・くしゃみを伴う感冒症状や眼脂を伴う結膜炎症状とともに発症します。
38℃以上の発熱が2~4日続き、全身倦怠感も強いです。

発症後2~3日の間に、口腔内の粘膜面にコプリック斑が出現します。コプリック斑は、周囲を紅に囲まれている紅暈に囲まれている1mm大の白色斑で診断価値は高いとされていますが、発疹期が始まると2日間ほどで消失します。

 
ーーー発疹期ーーー

麻疹に特徴的な発疹が、一般的には耳後部から始まり顔面・頸部・体幹・四肢末端にかけて2~3日で一気に広がります。

発疹期は、最初は扁平な紅斑ですがまもなく隆起し不整形な斑状丘疹となります。

発疹とともにカタル期にみられていた感冒症状や結膜炎症状は増悪します。

体温はカタル期から1℃下がった後、発疹の出現とともに40℃にまで達する程の高熱になります。発疹が全身に広がるまで3~4日の発熱は続き、その後症状は改善します。

 
ーーー回復期ーーー

回復期に入ると解熱し、発疹は暗赤色にかわり色素沈着をしばらく残しますが次第に退色します。落屑を伴うこともあります。

合併症がない限り7~10日後には回復し、逆に持続的に発熱が続く場合には細菌感染症の二次感染を考慮します。
 
【治療法・予防法】
麻疹は、特効薬はありません。基本的に高熱や症状などへの対症療法を行います。
麻疹を予防するためには、2回の予防接種が必要です。

 
 
【対処法】
1 水分を十分にとる。
特に麻疹では、発熱によって大量の汗が出るのでこまめに水分を補給しましょう。
また赤ちゃんは発熱があると、機嫌が悪くなって飲まなくなり脱水症症状を引き起こすこともあります。
 こまめに飲ませて十分な補給を心がけましょう。
 
2 発熱時には、頭部を冷やす
 
熱がある時は、氷枕や冷却ジェルなどで頭を冷やすと楽になります。発熱で体力を消耗しますから入浴は控え、かわりに蒸しタオルで顔や身体を拭くとスッキリとして気分もよくなります。
 
3 暑すぎない程度に保温し保湿する
 室温は25~27℃くらいにして、時々換気をするようにしましょう。加湿器や濡れタオルで室内の空気を保湿することも大切です。
 
4 病院で診察を受ける
 発疹や発熱など、麻疹と思われる症状があらわれたら内科や小児科を受診しましょう。
 
《学校保健安全法施行規則より》
 登校・外出については、解熱後3日を経過するまでは自宅療養をしましょう。(S.T)
 
 
 
 
 
 
 

 

2016.9.8

 
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時の呼吸中枢の異常、気道の狭窄・閉塞により、夜間のいびき・無呼吸を生じ、低酸素血症を生じることで睡眠の質を低下させてしまう病気です。
もちろん、体重減少(減量)や禁煙、節酒、仰臥位(仰向け寝)ではなく側臥位(横向き寝)睡眠など、直すための生活習慣の見直しも必要ですが、現在、欧米や日本で最も普及している治療法の一つに  ≪CPAP:経鼻的持続陽圧呼吸療法≫  があります。
CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開放させておく・・・というものになります。CPAP装置からエアチューブを伝い鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込んでいきます。
『鼻にマスクをつけて、空気が送られてくる状況で眠れるものなのか???』と思われるかも知れませんが、医療機関で適切に設定された機器を使い、鼻マスクを正しく装着できているかどうかが重要ポイントです。そのため、医療機関に一泊入院をして、適した機器設定を行う(タイトレーション)場合もあります。
 
当院では、CPAP治療前の検査や診断に関しては、岐阜市、県庁近くにある ≪岐阜メイツ睡眠障害治療クリニック≫ に紹介をさせていただいております。
その後のCPAP治療を開始・継続に関しては、当クリニックでも対応させていただいております。
医療機器メーカー(テイジンさん・メディシスさん)と協力のもと、患者様に合った治療方法を検討させていただいております。CPAP装置は、医療保険制度にてレンタル使用するのが一般的です。

☆CPAP治療を始めたら・・・☆

<医師と相談をして、より快適な治療を行いましょう>
治療を始めて不安に思うこと・困ったことは、早めに医師に相談をしましょう。
鼻マスクがつけにくい・CPAP装置から送られてくる空気の圧力に上手く慣れることができない 等、マスクのフィッティングをやり直したり、種類やCAPA設定を変えたりすることで改善が期待できます。
 
<定期的に医療機関を受診しましょう>
医療保険でCAPA治療を受けるためには、定期的な受診が必要となります。
体調の変化や治療状況とその効果を医師と確認をすることが、その後の治療継続にも役立つのです。
 
<CPAP装置は清潔に保ちましょう>
毎日使うものだからこそ、いつも清潔にしておきたいものです。特に顔まわりに直接触れる鼻マスクはこまめなお手入れが大切です。
取扱い説明書に沿って、CPAP装置・マスク・エアチューブの適切なお手入れを。

☆CPAP治療の影響として・・・☆

<使用感として・・・>

  • ・CPAP装置から送られてくる空気の圧力になかなか慣れない。息を吐くときも空気が送られてくるため違和感を感じる。
  • ・無意識に空気を飲み込んでしまうことでお腹が張ったようになることがある。おならが出やすくなる。
  • ・マスクが当たる鼻の周りがかぶれたり赤くなったりする。

 <鼻・喉・目・口の症状として・・・

  • ・アレルギーや花粉症などで鼻の通りが悪くなっている場合は、薬でコントロールすることで改善する場合あり
  • ・乾燥する場合は、加湿器などで湿度調整をしたり、口を閉じて眠るためのバンドの使用
  • ・マスク周囲からの空気漏れで乾いてしまう。フィッティングの見直しを検討

 <耳の症状として・・・

  • ・耳と鼻は直接つながっているため、圧力のかかった空気が耳に抜けて不快に感じたり耳鳴りがすることがある。

 
CPAP治療を行うことで、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる状況に陥るリスクを抑えることができます。いかに健康に長生きするか・・・という視点で考えると、重症の睡眠時無呼吸症候群を放置しておくことは健康寿命へも影響を与えかねないのです。ご自身やご家族など、身近な方で悩んでいらっしゃるようでしたら、一度ご相談ください。(K.S)
 
 
 

 

2016.8.9

 
梅雨もあけ、暑い日々が続く季節がやってきました。日々ニュースでも熱中症で倒れて搬送されたということを耳にすることも多くなってきました。
私たちは、脳の視床下部にある体温調節中枢の働きにより、体温調節をしています。
 からだの温度の上昇を感知すると、発汗や皮膚血流を増加させて熱を放散するように働きかけます。発汗は、全身の皮膚にある汗腺から汗を分泌します。
発汗は、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚表面の状態を正常に保つ役割をしています。
また、汗の蒸発の際の気化熱で、体熱の放散をはかり、体温を調節する役割もしています。
 室内、屋外に関わらず、暑さがひどく特に人の体温以上の温度になった時におこります。体温を下げようと汗をかいても間にあわない状態です。その際に水分も取れず、体温が上がり続ければ、体温調節のメカニズムも崩れてしまいます。
体温が40度以上に達してしまうと、脳の温度も上昇し体温中枢の障害を伴い、発汗などの生理的な反応が停止し、さらに温度が上昇すれば、体の成分であるたんぱく質も壊れ、腎臓の機能が悪化することで、尿が出なくなり、危険な状態に陥ってしまうことも考えられるため、注意が必要です。
 特に5歳以下の幼児、65歳以上高齢者、肥満者、暑さに慣れていない者、飲酒の翌日などで、下痢や脱水状態の者、睡眠不足の者、食事を抜いている者に起こりやすいと言われています。高温の環境での身体活動では、皮膚の血流増加と発汗が促されます。高温・多湿な環境で水と電解質が失われます。血中のナトリウム濃度が低下すると、四肢の筋けいれん(熱けいれん)生じます。血圧低下や脱水で脳血流量が減少すると、めまい、失神、疲労感、頭痛、嘔吐を生じます。
 
 
もし、身近な場所で倒れてしまった方に遭遇した場合、まずどうしたらよいかと考えてしまうと思います。
 まずは、風通しのよい涼しい場所(日陰など)に移動し、可能であれば、服を脱衣させて着替えてください。ボタンなどの服であれば、ボタンをはずし、着衣を緩めてあげてください。体表面を水(タオルなどを使って)で濡らして冷風を送り、(うちわなどであおぐ)ナトリウム入りの飲料を飲ませてあげてください。アルコール綿などがあれば、体の表面にぬると、気化熱を利用して体温を下げてくれます。
太い血管のある首、両脇、足の付け根を冷やし、足を挙上し、手足を末梢から中心部にむけてマッサージをして、血流を良くします。
自力で水分接種不可能なときや異常な言動がある際は、経過を知る方と病院受診してください。緊急の場合救急搬送してください。
 
暑い日が続きますので、暑さ対策をして過ごしてください。
☆室内でも暑い日は、エアコンや扇風機を回して部屋の温度に気をつけてください。
☆遮光カーテン、すだれ、打ち水などにより、室内に侵入する熱を軽減する。
☆屋外(外出時)では、日傘、帽子を利用し、日よけをしてください。
☆一番暑くなる時間帯の外出を避ける。
☆保冷剤、水、冷たいタオルで体をひやす。
☆室内、屋外でものどの渇きを感じなくても、こまめに水分補給をしてください。
 暑い中での作業などをする際は、食塩補給源(食塩を含んでいる飴、梅昆布茶、味噌汁、梅干しなど塩分含んだ食べ物)をとりながら、水分補給をしてください。
 
しばらくは暑い日々が続きますので、体調には気をつけてください。十分な睡眠
をとり、運動される方は、運動する前からナトリウム入りの飲料を飲んで、
運動前に睡眠不足や、下痢や発熱など体調不良がないかなどの確認して下さい
前日の過度の飲酒、朝食の未摂取は避けてくださいね。(J.I)
 
 

 

2016.7.22

 
プール熱とは、アデノウイルスによる感染症で夏季に幼児・学童に好発します。
感染経路は、飛沫感染・接触感染ですがプールでは直接接触や水を介して結膜から直接、あるいは経口的にも感染し感染力が強いです。

 
症状・潜伏期間

 潜伏期間は、5~7日間
突然39~40℃の高熱・頭痛・食欲不振で発病し、咽頭痛・結膜充血・眼痛・羞明・眼脂・下痢などを伴います。
発熱は、2~3日持続します。
眼症状は、片眼から始まり対側にも進展し眼球結膜充血は3~5日間持続します。
咽頭は発赤し、滲出性扁桃炎・頸部リンパ節腫脹も伴います。
流行時期は、6月頃から徐々に増加しはじめ7~8月頃ピークに達し10月頃まで流行が見られます。
アデノウイルスは、1年中活動していますので夏以外にも流行することがあります。

予防方法・ケア

 アデノウイルスは、感染力が非常に強く手指や飛沫を介して感染するので、手洗い・手指消毒やうがい、身の回りの消毒を行うことが大切です。
 症状が始まった後も、咽頭からは1~2週間、便からは1ヵ月程度はウイルスを排出し続けることがあります。
この為、二次感染にも注意が必要です。
 
・プールから上がったらシャワーを浴び、目をよく洗いましょう。
・タオルや洗面器などの共用は避けましょう。
・目やにや涙を拭き取る場合は、ティッシュペーパーや清浄綿を使い、目を直接手で触れないように気を付けましょう。
・ドアノブや手すり、おもちゃなどは出来るだけこまめに薄めた次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
・便にもウイルスがいますので、子供の排泄後はしっかり手洗い、手指消毒をするように指導しましょう。
赤ちゃんのおむつ交換時、プラスティック手袋などをして行うのも良いかとおもいます。
・家族や身内の方が感染した場合は、出来るだけ密接な接触は避けこまめに手洗い・手指消毒・うがいを行いましょう。
 
 プール熱は、学校保健では伝染病に指定されています。
主要症状が消失後、2日を経過すれば登園・登校は可能です。ただし、症状により医師が感染の恐れがないと認めたときはこの限りではないです。
 

消毒用次亜塩酸ナトリウムの作り方

 家庭用漂白剤と500mlのペットボトルを用意します。
ペットボトル半分に水をいれておき、そこに5ml(キャップ1/4)の漂白剤を入れ最後にペットボトル1杯(500ml)になるように水を加えれば、消毒用次亜塩酸ナトリウムが出来ます。(S.T)
 

 

2016.6.1

 
 
飛行機で長時間旅行をしたあと、飛行機を降りて歩き始めたとたん、急に呼吸困難やショックを起こし、ときには亡くなることもある……これが ≪エコノミークラス症候群≫ と呼ばれる病気の典型的なケースです。 最近テレビや新聞などで、これまで健康だった人が突然死を起こす病気の一つとして時々取り上げられていますので、この病気の名前を聞いたことがある方も多いと思います。
 
 今年4月14日・16日に、熊本県を中心とした大規模な地震が起き、多くの方が建物の下敷きや、山林の流れてきた土砂などにより命を落とされました。被害に合われた方の中でも、多くの命が助かっているのも、また現実にあります。 助かった方々は、避難所での生活や自家用車内での生活をされていますが、特に高齢の方は、動かれることが少なく長時間座りっぱなしが多くみられ、このエコノミークラス症候群で亡くなられてしまったケースも多々ありました。

★≪急性肺血栓塞栓症≫とはどんな病気??

 飛行機のエコノミークラスで旅行をすると、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられる事が多く、足の血液の流れが悪くなり、更に脱水をベースに、静脈の中に血の塊(静脈血栓)ができることがあります。この静脈血栓は歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を閉塞してしまいます。これがエコノミークラス症候群です。
この病気は、エコノミークラスの乗客だけでなく、ビジネスクラス以上の乗客や、車の長距離運転手などにも発症することが知られてきましたので、≪旅行者血栓症≫とも呼ばれています。

★≪急性肺血栓塞栓症≫の原因は??

①静脈の血管が傷ついた場合
 血液は異物に触れると固まる性質を持っています。血管の内側は血管内皮という特殊な細胞で覆われており、血液が異物と接触するのを防いでいます。このため血液が自然に固まることはありません。しかし、何らかの原因で傷がつくと、血管内皮の膜が壊れ血液が異物と接触して血栓ができるのです。
 
②静脈の血液の流れがよどんでいる場合
 足の筋肉、特にふくらはぎ(腓腹筋)は『第2のポンプ』といわれ、筋肉の収縮・弛緩を繰り返すことで足の静脈の流れを促進します。だから、歩行などの運動をすれば血液の循環が良くなります。しかし、病気で長期の安静が必要になったり、脳卒中後の麻痺で足が動かなくなったりした場合は、足の静脈の流れが滞り血栓ができやすくなります。長時間椅子に座って動かさない場合も状況は同じです。
 
③血液が固まりやすい体質を持っている場合
 血液が普通の人と比較して固まりやすい体質の方があります。これには生まれつきの場合(先天性血栓性要因)と何らかの病気によってそのような素因を持ってしまう場合(後天性血栓性素因)があります。

★≪急性肺血栓塞栓症≫の症状は??

 症状の出方は、どの程度の大きさの静脈血栓が飛んできたかによります。
比較的小さい血栓の場合はまったく無症状のことも多いといわれています。
しかし、ある程度以上の大きさの血栓が肺動脈を閉塞すると、突然、呼吸困難が生じます。肺の大切な役割は、≪ガス交換≫といって、体の外から酸素を取り込み二酸化炭素(炭酸ガス)を体の外へ吐き出す働きです。肺の血管が詰まると、呼吸によって肺の中まで入ってきた酸素が血液中に十分取り込まれなくなります。この結果、血液の酸素の濃度が低下します。呼吸をしていても、実は窒息状態となっているのです。
非常に大きな血栓が肺動脈に詰まると、血液はまったく流れなくなります。この場合は、失神やショックを起こしてしまいます。
急性肺血栓塞栓症の患者さんの80%程度は、主な症状が突発性の呼吸困難です。呼吸困難の発作は、一回だけのこともありますが、数回発作が生じ、その度に状態が悪化する場合もあります。また、約半数の方が胸の痛み、10~30%で失神発作を経験されています。全身倦怠感・不安感・動悸・冷や汗などの症状が出現することもあります。

★≪急性肺血栓塞栓症≫はどのように治療するのでしょうか??

 詰まった血栓を内科的に薬を投与して溶かすか、外科的に直接取り除き、肺の血液の流れを回復させることにあります。
 
A)抗凝固療法
 肺は血栓を溶かす機能が高い臓器といわれ、肺に飛んできた血栓は小さければ数週間~数か月で自然に溶けてしまいます。急性肺血栓塞栓症は、飛んできた血栓があまり大きくない可能性がありますので、血栓がこれ以上できないようにする薬を用いて経過をみる≪抗凝固療法≫という方法が採用されます。
病気が発症した直後はヘパリンという薬を点滴投与し、一週間程経過をみて血栓が自然に溶けてきているようなら、ワーファリンという経口薬に切り替えます。
3~6か月間続けた後に中止されることもありますが、血液が固まりやすい体質の方やがん治療中の方、肺の血管が狭くなり肺動脈の血圧に上昇した肺高血圧症がある方などでは、一生続けるほうが良いとされています。
また、新規抗凝固薬(リクシアナ・プラザキサ・イクザレルト・エリキュース)という経口薬が発売され注目されています。ワーファリンに比べて安全性は高いですが、新薬のため価格が高いことが難点です。
 
B)血栓溶解療法
 急性肺血栓塞栓症で詰まった血管が広範囲の場合は、体の中の酸素量が極端に低くなったり、低血圧やショック・失神したりする重症の方がおられます。このような場合は、抗凝固療法だけですと致命的となる危険性があり、詰まった血栓を積極的に溶かす血栓溶解療法を行う場合もあります。
 
C)カテーテル治療・肺動脈血栓摘除術
 心停止の状態や、症状が極めて重く内科的治療を行う余裕がない場合には、直接血栓を取り除く治療が必要です。

★≪急性肺血栓塞栓症≫はどう予防すれば良いのでしょうか??

 ①航空機で長時間の旅行中、十分な水分を摂取する一方、脱水を招くアルコールやコーヒーを控えること
 ②足を上下に動かす等、適度な運動を行うこと
とされています。席から出にくく、トイレに立つのも億劫になりやすい窓側よりは、すぐに立って歩ける通路側の席にするのも予防のコツです。
また、弾性ストッキングの着用による圧迫療法も効果的です。(K.S)
 
 
 

 

2016.4.26

 
私たちは、食べ物を食べると、食道、胃、小腸を通り、大腸まで、様々な器官を通り、消化吸収され、約2時間~6時間かけてドロドロの状態で通っていきます。
 大腸は、約1,6メートルあると言われています。
 小腸で吸収されなかった食物残渣は、大腸を通過中に水・電解質・ビタミンなどが吸収されたあと、固められて肛門から排出します。
 食物内容物は、食後約18時間で直腸に達し、直腸に移動してきた糞便が直腸壁を刺激して、内肛門括約筋が弛緩され、随意的に調節できる外肛門括約筋も弛緩されて、排便がおこります。24時間から48時間にて排泄されます。
 しかし、個人差があり、大腸内に便が長時間とどまり、排便がスムーズに行われない状態が続き、悩んでいる方も多いと思います。通常一日一回の排便習慣がないと、直腸の便はしだいに固くなり、便秘をおこして、腹痛や排便時の痛みの原因にもなります。便の回数や量には、個人差があり、毎日排便がなくても苦痛や残便感、生活習慣、生活環境の変化、食事の嗜好、食物繊維の摂取量などにより便秘をひきおこしてしまうこともあります。

 便秘には、いくつか種類があります。
食事性便秘・・・小食や、繊維の少ない偏った食事、食べる量が極端に少ないと腹壁に適当な刺激がおこりにくいことにより便秘となります。
* 習慣性便秘・・・トイレを我慢していて、直腸の感受性が弱くなり、便意が起こりにくくなります。便は、直腸まで到達しているもトイレを我慢したりしていることが多いと便意が伝わりにくく便秘となります。女性や子供に多いと言われています。
*弛緩性便秘・・・運動不足などによる腹筋力の低下などから便の押し出す力が足りないことが、原因といわれています。高齢者や長期臥床者に多いと言われています。
けいれん性便秘・・・ストレスが多い場合。ストレスや疲労などが原因で、大腸の働きを調節する自律神経がバランスを崩すことでおきます。便秘、下痢を交互に起こし、コロコロとした硬い便が出るのも特徴です。

 
 機能的な便秘に対しては、日常生活で気を付けることがあります。
  食事は、朝・昼・夜を規則正しく摂ることです。
  食物繊維をとることを心がけ、水分摂取もとるようすすめます。
  ストレスを溜め込まず、しっかり睡眠をとります。
  排便習慣の改善では、特に朝に時間的な余裕をもち、トイレを急がずゆっくり行く。
  運動不足が考えられる方は、体を動かしてみてください。
  腹筋を鍛えることも腸の排便機能を強くすることを期待できると思います。
 
 便秘による苦痛を緩和するため、薬が処方される場合もあります。
 ビタミン剤の服用とマグネシウム剤の服用により便秘を改善します。
 センノシド製剤(アローゼン)は、大腸粘膜に作用して大腸の蠕動運動を促進し、水分の吸収を抑制して、便通を促してくれます。内服薬や座薬を用いたりすることにより便秘を改善します。
 便秘には、個人差があり、症状・回数・硬さなど様々であり、薬の作用なども違うため、よく先生と今ある症状についてお話ししてみてください。症状にあった薬の処方もしてくださると思いますので、便秘で悩んでる方は、一度ご相談ください。
 
 苦痛のない生活を送られることが何よりもうれしいです。
気になる事がありましたらいつでもご相談ください。(J.I)


 
 
 

 

2016.3.29

 
下痢や嘔吐を引き起こす症状と言ったら、胃腸炎が思い浮かびます。
胃腸炎になる原因は数多くありますが、中でも夏の暑い時期に起こりやすいのが食中毒代表される細菌性胃腸炎であり、冬の時期に流行するのが強力な感染戦力を持つウイルスによるウイルス性胃腸炎です。
 
 ウイルス性胃腸炎とは、ウイルスが原因によって引き起こされる胃腸炎です。
ウイルス性胃腸炎は感染性胃腸炎の中の一つで、感染性胃腸炎には細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎があり、どちらも発症から短時間で症状が悪化することから急性胃腸炎とも言われています。
そして、11月~3月の冬になると流行するノロウイルスはウイルス性胃腸炎の一種です。
このため、ウイルス性胃腸炎とノロウイルスは種類で区別するものではなく、ウイルス性胃腸炎の中の一つとしてノロウイルスがあると言えます。

 
 ウイルス性胃腸炎の中には、ノロウイルスの他にロタウイルスやアデノウイルスがあり症状や潜伏期間に違いはあります。
 ノロウイルスの潜伏期間は18~48時間
 ロタウイルスの潜伏期間は1~3日程
 アデノウイルスの潜伏期間は7~8日程
また、下痢や嘔吐・発熱といった症状はどれも同じですが、ロタウイルスに感染すると米のとぎ汁のような水様便が出てアデノウイルスでは便の酸臭が強いとされています。
 
 感染性胃腸炎に対する抗ウイルス剤はありません。
その為、病院ではそれぞれの症状に対する対症療法で治療するだけで感染性胃腸炎自体を治す術は、自分の体力でしかないということになります。
基本的には家で安静にして、下痢や嘔吐で体内にあるウイルスが出切ってしまうのを待ちます。
 最も注意することは、気付かない間に進行する脱水症状です。
下痢・嘔吐が続くので、水分補給しているつもりでも間に合っていないという事もありますのでこまめな水分補給を心がけて下さい。
食事がとれる様であれば、消化の良いものをとるようにしましょう。
 
 もし、嘔吐物や便が手についてしまったら流水で石鹸を使って指の間や指先・爪の間もしっかりと念入りに洗い、手洗い後はアルコール消毒しましょう。
 嘔吐物が付いた服やシーツ等の布物は、乾燥するとウイルスが飛び散りやすくなるので早めに汚れを落として他の洗濯物と分けて洗濯し、塩素系の漂白剤で消毒します。捨てる物はビニール袋に入れてウイルスが飛び散らないように袋の口をしっかり縛りましょう。
 
 消毒液の作り方
  家庭用塩素系漂白剤と500mlのペットボトルを用意
 ペットボトルに水を半分くらい入れておき、そこにペットボトルのキャップ2杯(約10ml)の家庭用塩素系漂白剤を入れます。
最後に、ペットボトル1杯(500ml)になるように水を加えれば50倍希釈となり0.1%の消毒液が出来ます。
この手作り消毒液は、時間が経つにつれて効果がなくなりますので作り置きをせず使うときに必要な量だけを作りましょう。
 
 

2016.2.8

心臓の検査には、レントゲン検査・心電図検査・胸部CT検査・胸部MRI検査・心筋シンチ検査などさまざまです。
当クリニックにて行っている検査(行える検査)は、レントゲン検査・心電図検査・24時間心電図検査(ホルター心電図)とこの超音波検査があります。
『超音波検査』と聞くと、どんな検査?と思われるかもしれません。『エコー検査』という言葉はなじみがあるかも知れませんが、同じ検査のことを言います。
 
 超音波検査の仕組みは、魚群探知機を想像していただければ理解がしやすいと思います。この探知機は、超音波を海中に向かって発射をし、魚にあたってはね返った超音波を受信することにより魚のいる位置を確認します。
 心臓でも同じように、胸の上にあてた探触子と呼ばれる小型の装置から超音波を出し、心臓の筋肉や弁にあたってはね返ってきた超音波を受信することで、それらの場所を知ることができ、さらには動いている心臓の像をつくることもできるのです。
絶えず働いている心臓の動きを実際にみることができる検査はそう多くありません。
心臓の超音波検査は、音波の中でも、人間の耳には聞こえないくらいの高い周波数の超音波を利用し心臓の動きをみます。この超音波は、人体には無害であり痛みを伴うこともありません。
 
 この検査では何が分かるのか? もう少しだけ詳しく説明をしたいと思います。

心臓病の中には、心臓のサイズが大きくなる場合・小さくなる場合などいろいろありますが、一般的には、心臓が大きくなったときは心臓が弱っていることが多く、大きさを評価することは大変重要です。心臓が弱ってくると、心臓の形もしだいにボールのように丸くなってくることも知られています。また、心臓の壁の厚さを調べることで心肥大があるかどうかもわかるのです。
心臓の動き方が調べられるのも大切な点で、例えば、心筋梗塞の場合は梗塞が起こり、収縮活動をしない心筋の場所や範囲がわかりますし、さらに心臓全体の機能の良しあしも数字で客観的に評価することができます。

  血液の流れる速度や方向は、弁疾患の診断になくてはならない情報です。
心臓は四つの小部屋からなり、正常な心臓では部屋の中を血液が一方向に流れています。血液が一方向に流れるように部屋と部屋の間に4つの弁がついているのです。
もし、弁がうまく機能しなくなって血液が逆流する場合は『弁逆流』、弁が開きにくくなって血液がスムーズに流れなくなったときは『弁狭窄』と診断します。このように、弁がうまく機能しない病気を『弁膜症』と呼んでいます。
『弁逆流』の場合は、弁のところで逆向きに流れる血流を検出することによって診断がつきます。
『弁狭窄』のときは、開きにくくなった弁のところで加速され、速くなった血液の速度を測ることによって診断がつきます。
カラードプラー法を使用することで、流れる速度や方向に応じて色分け表示されます。
さらに、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症などのように、生まれつき心臓の壁に孔があいているような病気の場合も、そこを通る異常な血液を検出することによって診断ができます。
 
 学校健診や職場健診など、心雑音の指摘を受けた方、また、心臓の症状(脈が遅い・不整脈・胸が苦しい・痛い)など感じられる方は、一度診察を受けられてみてはいかがでしょうか???(K.S)
 
 

2015.12.27

 
寒くなる時期になり、インフルエンザなどの感染症を心配される方が多くなってきました。この時期はインフルエンザを接種される方が多いですが、
小学校入学前の子(年長児)     MR(麻疹・風疹)ワクチン
中学校入学前の子(小学6年生)   DT(ジフテリア・破傷風)二種混合ワクチン
日本脳炎ワクチンなど接種される方々も多くみえると思います。
 
中学入学前に接種するDTワクチンのジフテリア・破傷風とはどんな病気なのでしょうか。
 ジフテリアとは、ジフテリア菌という芽胞や運動能を有しないグラム陽性桿菌で、 鼻・咽頭・喉頭などに存在します。感染経路は、咳嗽による飛沫感染によるものです。 鼻ジフテリアは乳児に多く、咽頭痛があり、発熱は38℃前後出るといわれています。喉頭ジフテリアは乳児に多く、嗄声、犬吠様咳嗽・呼吸困難が特徴です。 また心筋炎を合併する可能性があります。
 破傷風とは、土壌中に生息する嫌気性グラム陽性桿菌の破傷風菌が創傷部に感染し、口唇や手足のしびれ、味覚異常が初期に認められ、その後に開口困難や全身けいれん等の神経症状を引き起こすといわれています。
 
DT(ジフテリア・破傷風)ワクチンの接種は、11歳に達した時から12歳に至る 小学校6年生の時期です。回数は1回です。接種量は 0.1ml です。
10歳以上の人にジフテリアトキソイドを接種すると、時に激しい局所反応や全身反応を起こすことがあるため、0,1mlを接種します。
 予防接種をすることで、接種した多くの人が、予防接種を受けた疾病に対して免疫を獲得しますが、免疫効果は100%ではありません。
ワクチンの種類にもよりますが、免疫(抗体)獲得率は異なります。
予防接種をすればその病気にかかることはないと思っている方もいると思いますが、感染することはあります。しかし、感染した際、その後の重症化を防ぐという効果を 得ることができます。
妊娠前の女性が接種することにより、妊娠中の妊婦自身の発症予防、重症化予防、胎児への影響を予防することを目的に行う予防接種があります。
 
 風疹や水痘の予防接種を妊娠前に行うことで、胎児の先天異常、周産期感染を予防します。
 水痘は、妊娠中に発症すると妊婦自身の重症化率が高いだけでなく、出産前5日~出産後2日に妊婦が水痘を発症すると児が重症の新生児水痘を発症するといわれています。
麻疹の予防接種をすることで、妊婦の麻疹発症に伴う流産・早産を予防します。
水痘ワクチンや麻疹風疹ワクチンを希望する女性が接種する場合、あらかじめ約1か月間、避妊した後、ワクチン接種後約2か月間は、妊娠しないよう注意が必要です。
 
ワクチンには、生ワクチン・不活化ワクチンに大別されます。
生ワクチンを接種した後は、27日以上あけて別の種類の不活化ワクチン・生ワクチンを接種します。
不活化ワクチン・トキソイドを接種した後は、6日以上あけて別の種類の不活化ワクチン・生ワクチンを接種します。6日以上の間隔をあけるということは、例えば月曜日に接種をしたら、6日以上の間隔を空ければよいので、次の週の月曜以降にいつでも接種可能となります。
27日以上も同様に4週後の月曜以降に接種することが、可能です。

生ワクチンは

 麻疹 風疹 BCG おたふくかぜ 水痘 黄熱 MR(麻疹、風疹混合ワクチン)
 ロタウイルス(1価、5価)
 
次に予防接種する場合は、27日以上あける必要があります。

不活化ワクチンは

 DPT-IPV(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風) DT(ジフテリア・破傷風)
ジフテリア  破傷風  日本脳炎  B型肝炎ウイルス  狂犬病
肺炎球菌   肺炎球菌(23価多糖体・13価結合型・10価結合型)
ヒトパピローマウイルス(2価・4価)
ポリオ(IPV) 髄膜炎菌
 
次に予防接種を受ける場合は、6日以上空ける必要があります。
 
予防接種を受ける際何か不明な点がある場合は、先生と相談したうえで接種してください。風邪などをひいている際予防接種をしても良いのでしょうか?と聞かれる方もいます。
風邪などひいていても症状が軽減してきていて、急性期の症状でなければ予防接種は可能です。明らかな発熱は37,5℃以上の事を言います。
37℃代の熱でも症状がなく元気であれば予防接種される方もいます。
 
発熱は、いろいろな疾患の前駆症状である場合もあり、状態によっては、予防接種を中止したほうがよい時もあります。そのため、接種を受ける際、問診はとても重要です。予防接種を中止した方がよい時もあります。
予防接種を受けられる前には、市町村から配布された予防接種の説明書を読んで、
気になる事があれば、接種される前に先生に聞いたりしてください。
問診も安全に予防接種を受けるうえで、重要ですので、不明な点があれば、先生にご相談ください。予防接種について分からない事などございましたらいつでもお声をかけてください。(J.I)
 

 

2015.11.30

溶連菌感染症とは、 正式には、溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、主に「のど」に感染して、咽頭炎や扁桃腺炎、それに小さく赤い発疹を伴う猩紅熱といった病気を引き起こします。

感染経路

 溶連菌は、咳やくしゃみなど近くの人に飛沫感染します。
あるいは、排出された細菌が手などを介して口に入ることによって感染することもあります。
 溶連菌には、潜伏期間があり感染してから2~4日で症状がでます。

症状

咽頭炎・扁桃腺炎・発熱(38~39℃)喉の痛みがみられます
喉は真っ赤に腫れあがり見るからに痛そうな感じがします。
いチゴ舌:イチゴのようなブツブツの舌になります
全身発疹:顔~全身にボツボツとした痒みを伴う赤い発疹が多数見られます
皮膚落屑:上記の症状が消えた後に、手や足の指先から皮膚がむけることがありますが自然に治ります

風邪と違って、咳や鼻水はほとんどないのも特徴です。

治療法

 水分補給を十分に行うこと、有効な抗生物質をきちんと飲むことが大切です。
薬を飲み始めると、2~3日で熱が下がりのどの痛みもやわらいできます。
症状が治まっても、処方された抗生物質は飲みきって下さい。
食事は「熱い」「辛い」「すっぱい」といった、のどに刺激の強いものは避けて下さい。
なるべくのどごしが良く、消化の良い食べ物にしましょう。
 <例>ゼリー・ヨーグルト・ババロア・プリン・ポタージュスープ
    お粥・パン粥・うどん・豆腐・茶碗蒸し・煮た野菜など
入浴は、熱が下がれば入っても特に問題ありません。

予防

 予防接種はありません。
他の感染症と同じく、手洗い・うがいを徹底しましょう。
飛沫感染を予防するためには、マスクも有効です。
学校登園や登校について
 いつ頃から、幼稚園や学校に行ってよいかは定められていません。
熱が下がり、症状から周りに感染する可能性がないと判断されれば幼稚園や学校に行ってもよいでしょう。
 
溶連菌は、日本では4~5種類ほどと言われています。
何度か感染する可能性がありますので予防を心がけましょう。(S.T)

 

 

2013.12〜2015.10

2015.10.5

今シーズン 2015-2016年の季節性インフルエンザワクチンに、4種類のウイルス株が含まれた“4価ワクチン“の導入をする と厚生労働省より発表されました。
 
 インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、大きく分けて、A型・B型・C型が存在します。
A型は、ヒト、トリ、ブタ、ウマ等の間で感染をし(2009年に世界的な大流行:パンデミックを起こした新型インフルエンザは、このA型のひとつです)B型・C型はヒトの間でのみ感染すると言われていて、毎年インフルエンザシーズンに流行するのは、A型とB型です。
インフルエンザワクチンは、毎年そのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されています。
国内では、厚生労働省の依頼によって、国立感染症研究所での検討会議が開催されます。
国内の流行状況や国内分離ウイルス株の抗原分析と遺伝子解析、住民の抗体保有状況調査の結果、世界各地の情報等に基づいて流行を予測。さらに発育鶏卵(有精卵)でのワクチン製造株として適格性、世界保健機関(WHO)によるワクチン推奨情報など、総合的に検討してワクチン株を選定。これに基づいて厚生労働省が決定・通達をしています。

☆何が変わったの???

 
これまでは3価(A型2株・B型1株)であったワクチンが、4価(A型2株・B型2株)になります。
 



<A型株>

 

A/カリフォルニア/7/2009 (X-179A)(H1N1)pdm09

A/スイス/9715293/2013 (N1B-88)(H3N2)

<B型株>

B/プーケット/3073/2013  (山形系統)

B/テキサス/2/2013  (ビクトリア系統)



 
 主に流行するB型インフルエンザは、『山形系統』か『ビクトリア系統』と呼ばれる2つのタイプです。これまでは、両方が同時に流行することが少なかったため、シーズン前にどちらが流行するのかを予測して一方だけをワクチンに入れていました。
しかし、今シーズンからは両方が入っているワクチンとなるため、どちらのB型インフルエンザが流行しても、もし両方が流行をしたとしても、十分に予防効果を発揮することができるようになります。

☆4価とはどういうこと???

 『そのワクチンを使うことで、何種類かのういるすや細菌に対して免疫を獲得することができるのか』を、“価”と表現しています。
 ウイルスや細菌もヒトと同じように様々に異なる遺伝子を持ち、色々な特徴を持っています。ヒトの免疫は、“指名手配書”を使って犯人を検挙するように、外敵のデータベースを基に働きます。ワクチン接種は、この外敵のデータベースに新しいウイルスや細菌の情報を追加することを意味します。
そして、『4価のワクチン』とは、4種類の指名手配犯をデータベースに追加できるワクチン・・・ということです。
 
アメリカでは、日本に先立って2013-2014シーズンから4価のワクチンを導入し、A型B型インフルエンザを予防する際に有効であることを報告しています。
 
インフルエンザワクチン接種には、発症予防や、万が一、発症しても重症化を防ぐ効果があります。
小さな子供の場合、ワクチンを接種しておくことで、“インフルエンザ脳症”を防ぐことができるとされています。
また、“高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015”においても、ワクチン接種が推奨されています。1回接種をすることにより、高齢者のインフルエンザを発症阻止効果は34~55%、インフルエンザを契機とした死亡阻止効果は82%であることが示されています。
更に、近年では抗ウイルス薬に耐性を持ったインフルエンザウイルスが出現しています。
2014-2015シーズンには、日本で“タミフル”や“ラピアクタ”に耐性を持ったウイルスが検出されています。
こうした状況からも、インフルエンザワクチン接種を受けることをお勧めします。
2014-2015シーズンは、インフルエンザの流行開始時期が11月下旬で、平年より2週間程度早い立ち上がりでした。ですから、11月上旬には1回目の接種をお勧めします。

 
 今年は、ワクチン株が3価から4価へとなりましたので、昨年よりは料金が値上がりしておりますのでご了承ください。
料金は、大人:3500円 子供(中3まで):1回 2800円、2回5000円  です。
中学生未満の方は2回接種をお勧めしています。
なお、各務原市在住の65歳以上の高齢の方は、市の助成対象となりますので、自己負担金1500円で接種が出来ます。
分からない事がありましたら、当クリニックへお尋ねください。(K.S)

2015.8.8

リンゴ病とは、伝染性紅斑という病名で、風邪症状があった後、両頬部に紅斑が見られるのが特徴で「ほっぺが赤い」とおっしゃられる方が多いですが、発疹はやや盛り上がったように強く赤いのが特徴です。
 
頬の紅斑と同時かやや遅れて上肢に数㎜~2cmほどの紅斑が出現します。その後、下肢にも拡がり、四肢の紅斑は融合した後2~3日で、中心から退色し、特徴的な網目状紅斑、レース状発疹が出現します。
発疹は、7日~10日前後で消失するといわれていますが、日光に当たること(日光照射)や機械的刺激により発疹が再出現することもあります。
 
伝染性紅斑(リンゴ病)は、ヒトパルボウイルスB19が病原体です。飛沫感染または接触感染により伝染します。17日~18日で特有の発疹を認めます。感染力が最も強いのは、発疹の出現する約一週間前が高いといわれています。集団生活を送る園児から小学生に好発します。
 
発疹期は、ウイルス排泄はほとんどないと考えられているので、感染力はほとんど消失していると考えられるため、全身状態のよい方は登校可能といわれています。
伝染性紅斑のヒトパルボウイルスB19ウイルス感染により、一時的に赤血球系の造血が止められてしまいます。(ウイルスは、骨髄の赤芽球系細胞の中で増殖するので)赤血球寿命が約120日あり、抵抗力のある健常者ではほとんど影響を受けません。
しかし、赤血球がこわれやすく、末梢血中の赤血球数が減少し、赤血球の寿命が短くなっておこる溶血性貧血という疾患の中にある遺伝性溶血性貧血では、通常120日ある赤血球の寿命より短く、赤血球崩壊により重度の貧血となります。
妊婦さんが感染し、さらに胎内に移行し、免疫力の不十分な胎児に感染すると貧血を生じます。貧血が重症な場合、胎児水腫が起こることがあります。
 
伝染性紅斑自体は、皮膚にかゆみを生じることはありますが、軽く通常は自然経過で良いと言われています。かゆみが強い場合は、対症療法として抗ヒスタミン薬を処方されることがあります。風邪症状がある場合は、その症状に見合った治療を行います。
 
最近、リンゴ病が流行っているということもあり、心配される方も見えると思いますが、症状は軽く、特別な治療法はないので、様子観察となることがほとんどです。
関節炎や血小板減少性紫斑病などの合併もまれに報告されています。
発熱に対しては解熱剤の使用をします。
発疹が出現した時点をピークに血中ウイルス量は急速に減少して感染力を失うので、登園・登校の停止にはなりません。発疹のみで、全身状態がよくなれば問題ありません。
 
何か分からない事など心配な事がありましたら、ご相談ください。(J.I)

2015.7.18

「肝細胞の30%以上に脂肪がたまっています。」

 
脂肪肝とは、肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態です。
肝臓では、エネルギー源として脂肪を作り肝細胞の中にためています。しかし、使うエネルギーよりも作られた脂肪の方が多いと肝細胞に脂肪がどんどんたまっていきます。
肥満指数(BMI)25以上の人は、体中のあちこちの皮下組織に余分な脂肪をため込んでいますが、この皮下脂肪が肝臓にまでついてしまったということです。

 「症状はほとんどありません。」

 
肝臓は沈黙の臓器と称されるように、ほとんど自覚症状がでません。しかし仮に診断されたとすれば、脂肪がたまって肝臓の働きが悪くなっているということです。

 「アルコールの飲み過ぎが原因の1つです。」

 
アルコールが原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」といいます。
通常、身体の中に入ったアルコールのほとんどは肝臓で解毒され、体の外へ排出されています。
しかし、解毒の途中で肝臓の働きに異常が生じることにより、肝臓の中に脂肪が蓄積されてしまいます。

 「肥満・糖尿病の人もなりやすいです。」

 
アルコールが原因でない脂肪肝を「非アルコール脂肪肝」といいます。
原因は、肥満や糖尿病・脂質異常症などによるものです。
軽度の脂肪肝は、肥満体型ではない人にもみられます。
運動不足とファーストフードなどによる不規則な食事で、たった2~3㎏体重が増えただけで肝臓への脂肪がたまる可能性もあります。

「脂肪肝かな?と思ったら・・・」

 
一方診断の方法として、血液検査・画像解析で調べます。
 「超音波(エコー)CTなどの画像解析と血液検査と合わせて診断」
血液検査で異常が見られなくても、画像検査によって脂肪肝が認められることもあります。
 
脂肪肝の治療は、ライフスタイルを見直せば改善できます。
 「軽い脂肪肝であれば比較的早くに改善します。」
原因が飲酒であれば、量を減らすか禁酒をしたり、肥満が原因であればカロリー制限をしたり、運動をして減量に努めます。
適度な運動は、治療効果を高めるので是非取り入れて下さい。
 
☆生活習慣の改善

  •  1バランスの良い食事
  •  2定期的に適度な運動(有酸素運動)
  •  3十分な休養と睡眠

 
☆生活チェック表「1つでもチェック項目があれば生活を見直しましょう」

  •  ①毎日お酒を飲んでいる
  •  ②太っている(特に20才の時より10㎏以上増えている人)
  •  ③夜食をとる習慣がある
  •  ④早食い・大食い・まとめ食いをする
  •  ⑤好き嫌いがある(偏食をしている)
  •  ⑥甘い物や脂っこい物・こってりした物が好き
  •  ⑦カロリーを摂り過ぎている
  •  ⑧塩分を摂り過ぎている
  •  ⑨適度な運動をしていない
  •  ⑩不規則な生活をしている

 
肥満となる指標

BMI=体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
正常 18.5≦BMI<25
肥満 >25
理想 BMI=22

 
適度な運動量   出来れば毎日30~40分の徒歩(8000~1万歩)を目標にしましょう。(S.T)
 
 
 
 
 

2015.6.20

 6月になり、だんだんと蒸し暑くなりいよいよ梅雨本番といった感じですね。
みなさんに、梅雨の時期から夏にかけて特に注意して頂きたいのが [食中毒] です。
 この、食中毒ですが年間を通して発生している事をご存じですか?
 
1月から3月頃の冬場にかけて多く発生するのは [ウイルス性食中毒] です。
代表的なものに「ノロウイルス」が原因の食中毒が多く発生します。そして、6月から9月頃の高温多湿となるこれからの時期多く発生するのは [細菌性食中毒] です。
 このように、食中毒にはウイルス性食中毒や細菌性食中毒といった様にいくつかの種類がありますので簡単にご説明します。 
 
食中毒の種類
代表的な
食中毒菌
主な原因食品
細菌性食中毒 カンピロバクター

肉(特に鶏肉から検出されやすい)、鶏卵、生乳、レバ刺しなど

腸炎ビブリオ

夏期に沿岸で獲れた魚介類、刺身など

病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌0-157,0-111など) 牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次感染によりあらゆる食品が原因となる可能性があります

サルモネラ 食肉(特に鶏肉)、鶏卵、うなぎなど
黄色ブドウ球菌 おにぎり、サンドイッチ、弁当調理パン、穀物加工品(チャーハンなど)
ウイルス性食中毒 ノロウイルス 二次感染された食品、二枚貝(カキ、ハマグリなど)

自然毒食中毒

①植物性食中毒

  トリカブト、毒キノコ、ジャガイモなど
②動物性食中毒   ふぐ、貝など
化学性食中毒  

洗剤、漂白剤、農薬、食品添加物(ホルムアルデヒド、ヒ素など)

寄生虫食中毒   肉やイカ、サバ、ヒラメの刺身や生水など

 
今回はこの中から梅雨の時期から夏場にかけて多く発生するといわれている [細菌性食中毒] についてお話しさせていただきます。
 
細菌性食中毒が6月から9月頃に多く発生する原因は2つ考えられます。
 一つには、細菌の多くは人の体温程度の温度で最も増殖しやすく、加えてジメジメとした湿気も細菌が増殖しやすいと考えられます。
二つめには、春から夏にかけて急な気温の上昇に体が慣れず、抵抗力が低下しやすくなっていたりします。更に、普段の健康な時であれば少量の細菌を食品と一緒に摂取してしまっても、胃液により菌は殺菌され食中毒は発病されにくいのですが、蒸し暑くなるこれからの時期、水分摂取量も多くなりそのため水分で胃酸が薄まってしまい胃酸の分泌が抑えられてしまうため菌が十分に殺菌されず食中毒になりやすいと考えられています。
 
食中毒の症状や発症するまでの期間は細菌によって違いがあります。
まとめてみますと…
 
代表的な
食中毒

発症までの
時間
主な症状
腸炎ビブリオ 8〜24時間

下痢、嘔吐、腹痛、発熱など

カンピロバクター 2〜7日
(平均2〜3日)

腹痛、下痢、(水様便で血便、粘液便を伴うこともある)頭痛、悪寒、倦怠感など

サルモネラ 5〜72時間
下痢、腹痛、嘔吐、発熱など

病原性大腸菌(0-157,0-111など) 12時間〜8日間 下痢 腹痛 吐き気 発熱 嘔吐 (下痢は水様便や血便などの症状もある)など
黄色ブドウ球菌 1-5時間

嘔吐、吐き気、下痢など



 
食中毒の原因菌は身近な所に潜んでいます。しかし、食中毒はご家庭で予防
することができます。[食中毒予防の3原則]と[食中毒予防の6つのポイント]
がありますのでご紹介します。
① つけない…手にはいろいろな雑菌が付着しています。調理を始める前、生肉や生魚を取り扱う前後、おむつ交換の後や動物に触れた後などは手洗いを十分に行い菌をつけないようにしてください。
② 増やさない…細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になります。食品や食材はなるべく早く冷蔵や冷凍保存してください。
③ やっつける…ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅しますので、ハンバーグなどのお肉料理は中心部を75℃以上の状態で1分以上加熱してください。
① 食品の購入
•肉や野菜などの生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
•表示のある食品は消費期限などを確認し購入しましょう。
•購入した食品は、肉汁や魚の水分がもれないようにビニール袋などに分けて持ち帰りましょう。
•生鮮食品などの冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は買い物の最後にし、購入したら寄り道はせずまっすぐに持ち帰るようにしましょう。
② 家庭での保存
•冷蔵や冷凍の必要な食品は持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
•冷蔵庫や冷蔵庫の詰めすぎに注意しましょう。冷蔵庫の容量の約7割程度がよいでしょう。
•冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下を維持しましょう。細菌の多くは10℃以下では増殖がゆっくりとなり、−15℃では増殖は停止するといわれています。しかし、細菌が死滅する訳ではないので早めに使い切るようにしましょう。
•肉や魚、卵などを取り扱う時は、前後に必ず手洗いをしましょう。石けんを使い流水で十分に洗い流す事が大切です。
•食品を流し台の下に保存する場合は、水漏れなどに注意しましょう。食材を直接床に置くことは避けましょう。
③ 下準備
•調理を開始する前には必ず手洗いをしましょう
•肉や魚などの汁がサラダや果物など生で食べる物や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
•包丁やまな板は野菜用、肉や魚用と別々に使い分けて使用すると良いでしょう。一つの調理器具を使う時は、野菜や果物などを先に調理し、肉や魚などは後から調理するようにしましょう。また、洗剤で調理器具を洗った後に熱湯消毒をすることも効果的です。
•冷凍食品など凍結している食品を室温で解凍する事は避けましょう。室温で解凍すると食中毒菌が増える危険があります。冷蔵庫の中や電子レンジでの解凍をおすすめします。また、水を使って解凍する時は気密性のある容器に入れ流水で解凍しましょう。また、一度解凍した食品を再冷凍することは避けましょう。
•調理器具やまな板、ふきんなどは洗った後、熱湯をかけたり漂白剤につけると消毒効果があります。こまめに行いましょう。
•井戸水を使用しているご家庭は水質に十分注意してください。
④ 調理
•調理を始める前には必ず手洗いをしましょう。
•タオルやふきんなどは乾いて清潔なものを使いましょう。
•加熱調理は中心部を75℃以上で1分以上を目安に行いましょう
•お味噌汁やカレーなどの残りを長時間室温で保存することは避け、温度がある程度下がったら必ず冷蔵庫で保存しましょう。
⑤ 食事
•食事の前に手洗いをしましょう。
•温かい料理は温かいうちに、冷たい料理は冷たいうちに食べましょう。
•調理後の食品を室温に長く放置する事は避けましょう。(例えばO157などは室温で15分から20分ほどで菌は2倍に増えるといわれています。)
⑥ 残った食品
•残った食品は清潔な器具や容器を使って保存しましょう。
•残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
•残った食品を温め直す時は十分に加熱しましょう。目安は75℃以上です。お味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。

 
 
最後に…
食中毒の症状でほぼ共通して起こる下痢症状ですが、これは腸の中で増殖している菌を外に排出しとうとしているために起こります。何度も繰り返す下痢症状はとても辛いですが、むやみに下痢を止めることは避けた方が良いでしょう。(下痢を止めてしまうことで腸の中に菌が留まってしまい、さらに症状を悪化させてしまうといわれています。)
また、「水分を取るとまた下痢をしてしまうから…」と言って水分を制限されてしまう方もみえますが、下痢によって体の中の多くの水分がすでに失われていると考えられます。脱水症状を防ぐためにも水分は十分に補給してください。一番水分吸収が早いといわれているのはスポーツドリンクですが、必ずしもスポーツドリンクでなくても、お水やお茶でも良いですよ。
 
食中毒は日々の予防がとても大切です。
[食中毒予防の3原則]と[食中毒予防の6つのポイント]を参考にしていただき、梅雨を元気に乗り越えてださい。(K.H)
 
 
 
 
 

2015.5.25

骨粗鬆症とは、骨量が減少し骨がもろくなり、骨折をきたしやすくなる全身性の疾患です。自覚症状がないまま進行することが多く、“沈黙の疾患”とも言われています。
 軽度の場合は、立ち上がる時の腰背部痛がみられ、重度の場合は、寝込んでしまう程の腰痛や腰背部の曲り、身長の低下が目立つ・・・などがみられますが、ほとんどの場合は骨折をしなければ骨粗鬆症であることには気が付かないそうです。
 急速な高齢化が進む日本では、骨粗鬆症の患者数は増加傾向にあり、総人口の約10%に当たる1280万人(男性300万人・女性980万人)が骨粗鬆症であると推計されています。また、骨粗鬆症患者の約8割が治療を受けていないという実情があります。
 
 では、なぜ骨粗鬆症になるのでしょうか???
 
 骨は、生涯にわたり骨吸収(骨をこわす過程)と骨形成(骨を作る過程)の『骨リモデリング』と呼ばれる新陳代謝を繰り返しています。ところが、閉経や加齢・運動不足などの要因があると、この『骨リモデリング』のバランスが崩れます。その結果、骨量が減り、骨強度が低下するため骨粗鬆症となるのです。
骨強度の評価は、みなさんがよく知っている『骨密度』が重要な手掛かりとなります。
しかし、それ以外に『骨質』も合わせて骨強度が規定されることになっています。
骨強度の関する割合は、『骨密度:骨質=70%:30%』とされています。また、様々な骨折の危険因子も考慮した上で骨強度を評価しています。
 
もちろん、骨密度の低下が主な原因と考えられますが、加齢や喫煙・飲酒・ステロイド剤の使用も骨粗鬆症の要因と言われており、脆弱性骨折(立位の高さからの転倒による骨折)の既往も重要なポイントとされています。
また、一度骨折を経験した場合、再度骨折をするリスクが高まり繰り返されることが多いです。そのため、骨粗鬆症の治療はとても重要となってきます。
 
 薬物治療としては、
①カルシウム製剤 
②ビタミンD製剤 
③ビスフォスフォネート製剤 
④その他(ビタミンK製剤など)

があります。
 
それぞれ効能が異なり、

①カルシウム製剤は、閉経後の女性に有効で、血液中のカルシウムを低下させる・骨吸収を抑制し骨量を増加させる作用があります。
②④のビタミンD製剤・ビタミンK製剤は、腸管内でのカルシウムの吸収を促す・骨形成を促進させる作用があります。
③ビスフォスフォネート製剤は、骨吸収を抑制させる・鎮痛・骨強度を増加させる作用があります。

 
それぞれ、服用時間・飲み方が異なるため、説明を受ける必要があります。また、内服薬のみではなく注射薬もあり、毎日・週1回・月1回など様々です。
 
 食事療法としては、

骨のもとになるカルシウム(乳製品・魚・緑黄色野菜など・・・)
吸収率をUPしカルシウムを骨にくっつける役目のビタミンD(きのこ類・魚)ビタミンK(納豆・緑黄色野菜など・・・)

これらを積極的に取り入れるようにしましょう。
 
 糖尿病をはじめ、CKD(慢性腎臓病)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの生活習慣病を患っている場合、骨粗鬆症あるいは骨折のリスクが高いと言われています。
できるだけ早期に、積極的に骨粗鬆症の健診を受けていただくこと、骨粗鬆症と診断を受けたら治療を開始し、骨折の予防に努めていくことが重要です。
近年の高齢化に伴い、“平均寿命”は上昇傾向にありますが、自立した生活を送ることができる期間、いわゆる“健康寿命”が上昇するように健康に気をつけていきたいものですね。(K.S)
 
 

2015.4.1

「頭痛」に悩んだ経験がある方は、きっといらっしゃると思います。私も生理前後など頭痛を伴うことがあり、困ることがあります。
 頭痛は、人それぞれ症状など異なっており、痛みが続く時間、強さ、痛くなる場所など、様々な要因により、引き起こると言われています。「頭痛」といってもタイプは様々であり、放置することにより生命をおびやかされる危険な頭痛もひそんでいることもあります。頭痛のタイプによって治療薬も異なってくるので、適切な薬を内服することにより、頭痛が軽減され、快適な毎日を過ごすことができると思います。
 
 頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛が一般的ですが、中には、薬物の過剰な服用になる薬物乱用頭痛や、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎、慢性硬膜下血腫、高血圧などにより、頭痛が引き起こされている場合もあります。放置することで悪化し、生命にかかわる重大な状態をひきおこしてしまう事も考えられるため、今までに経験したことのない頭痛、原因不明の高熱、嘔気、嘔吐を伴っている頭痛、「字が読みにくく、書きにくい」などの神経症状を伴っている頭痛など、いつもとは違う激しい頭痛、症状がある場合は、医療機関にすぐ受診とされることをお勧めします。
 
 
<片頭痛>といわれる頭痛は、原因はいろんな誘因により起こりますが、脳の血管が過度に拡張することが関係しているといわれています。ズキンズキンと脈を打つような拍動性の痛みがあり、歩行や階段昇降などの日常活動動作により、増悪するため、ちょっとした動作でも頭痛があり、ひどくなることで寝込んでしまう事もあります。
若年~中年の女性に多く、家族歴が多いということもあり、家庭内で母と娘が片頭痛という遺伝的な体質が関与しているともいわれています。
生理に関係して(月経の間、前後)頭が痛くなることが多く、ひどい方では、嘔気、嘔吐などを伴い、音や光に過敏になることがあります。
ストレスや心理的・身体的から開放されたほっとした時(週末)などに起こる事があります。
月に一回から週に数回起こるとも言われています。人によっては、頭痛が始まる前に(前ぶれ)を感じる方もいます。
チカチカしたまぶしい光やギザギザ模様の線が、徐々に視界にあらわれるなどの症状が起こったりすることがあります。
又、食べ物では、アルコール類、チョコレート、ワインの多量の摂取や女性ホルモンの変化を引き起こすホルモン補充療法や経口避妊薬(ピル)の服用などによっても頭痛を引き起こしてしまう事があります。
 
<緊張型頭痛>といわれる頭痛は、軽度~中等度の圧迫感で我慢できる痛みで家事や仕事などは、なんとかできる強さです。30歳から50歳代に多いと言われています。締め付けられる様な痛みを訴えることが多く、後頚部から首筋、こめかみにかけて痛む事が多いです。
精神的・身体的ストレス・不安などが原因となり起こると言われています。
持続的に1週間から10日以上続く場合があり、日中~特に夕方に強く起こることもあります。
 
<群発頭痛>といわれる頭痛は、一定の期間(1~2か月ぐらい)ほとんど毎日続き、一回の頭痛は、20分から90分ほど起こる事があると言われています。夜間(睡眠後)、明け方など一定の時間に起こる頭痛です。
その他、目が充血したり、涙がでたり、鼻がつまるなど自律神経症状を伴うことがあります。男性に多いと言われていて、飲酒が誘因となり起こることも少なくないそうです。
頭痛の原因は、様々ありますが、ストレスをためすぎない様、規則正しい睡眠や日頃から運動(ストレッチ)を心がけ、仕事などで長時間座りっぱなし、立ちっぱなしの方なども休憩の際に軽い体操を行ったり、マッサージするなどリラックスできる時間をもつことでも少しは軽減することもあります。
 
頭痛が起きた際きちんと病院にて診察を受けていれば、症状に合った薬を処方していただけるので、痛みが軽減され、日々の痛みから解放されると思います。頭痛で悩んでいる方は結構多いと思いますが、一度気になる方は、相談してみてください。
 
軽度~中等度の片頭痛では、アセトアミノフェン(カロナールなど)、アスピリン(バファリンなど)、ナプロキサン(ナイキサン)などの非ステロイド性
抗炎症薬(NSAIDS)を使用する。
NSAIDSが無効な場合、中等度~高度の片頭痛では、
 トリプタン(イミグラン・ゾーミック、レルパックス、マクサルト
アマージ)などを使用する。
 
嘔気、嘔吐に対しては制吐薬を使用したりします。
 
薬によって、飲み方なども違うため、自分の症状に合ったお薬を使用することで、今ある頭痛が軽減され、快適な日々を過ごすことができると思います。受診される際は、いつ、どんな風に症状がおこり、続く時間、何かをしたとき痛みが強くなるか、痛くなる場所はどこで、痛み強さ、どんな痛みなのかなどを
お伝えするといいと思います。また、飲んだ薬があれば、その薬の種類も必ずお伝えください。皆さんの頭痛が少しでも軽減されるといいです。何か気になる事があればご相談ください。(J.I)
 
 
 
 
 

2015.3.13
花粉症の舞う季節がやってきました。

花粉症の人にとって、この時期をいかに過ごすか毎年悩ましい思いをしているのではないでしょうか。
今年は、年明けから気温が高かったので例年より早い2月上旬からスギ花粉の飛散が始まりました。
病院等で、適切な処方を受けることも大事ですがで出来ることを少しずつ始めて症状の軽減を図ってみてはいかがでしょうか。
 
☆雨上がりや気温の高い日・風の強い日は要注意
 花粉が多く飛散する日は・・・晴れて気温の高い日
               空気が乾燥して風が強い日
               雨上がりの次の日や、気温の高い日が2,3日続いた後
 飛散数の多い時間帯は・・・・昼前後・夕方です
この時期に、しっかりセルフケアを行えば花粉症の軽減が期待できます。

☆セルフケア

 花粉症の症状が出るのは、主に目と鼻です。症状の出方は人によってまちまちですが、早め早めにケアをしてなるべく体内に花粉を入れないことが大切です。

<マスクとメガネ>

 基本中の基本ですが、マスクを着用するだけで1/3~1/6の花粉をカットし症状を軽減する効果があります。
 マスク内に、小さなガーゼをあてると更に鼻に入る花粉を減らすことが出来るので特に飛散の多い時間帯の外出では、しっかり保護することが大切です。

<服装の注意>

 最も花粉が付着しやすいのは、ウール類・ウールコートの付着はかなり高いので出来るだけ綿やポリエステルのジャケットを着用した方がいいでしょう。
帰宅後は、玄関に入る前に衣類についた花粉を落としてから家に入りましょう。

<掃除と換気>

 昼前後の最も花粉が多い時間に換気をすることはとても危険。
3LDKのマンションで1時間換気をした場合、約1000万個の花粉が屋内に入ったという実験結果もあります。窓の開閉は出来るだけ少なく、朝のうちに掃除を済ませておく方が良さそうです。

<手洗い・うがい>

 帰宅後の手・顔・目・鼻を洗い、うがいをする。(目は、流水の中でパチパチまばたきをして洗うと効果的)

<2週間前から始める予防法>

 花粉症の症状が出る前に抗アレルギー剤を予防目的に用いる方法があります。
花粉が飛び始める2週間ほど前から、あらかじめ用いておくことで症状を軽くすることが出来ます。
この方法は、シーズン中の薬の効果を高めるための助走と考えて下さい。
病院で診察を受け、医師の指導と薬の処方に従って使用します。
 
 花粉症は、予防のためのセルフケアがとても大事です。
すでに、発症している方も予備軍の方も日々の花粉情報をしっかり把握して、この季節を共に乗り越えていきましょう。(S.T)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2015.2.14

今、インフルエンザや胃腸風邪、また子供さんにはアデノウイルスによる咽頭炎など、いわゆる“風邪“が流行しつつあり、毎日のようにニュースなどで耳にするようになりました。みなさんは、手洗いやうがい、マスクの使用といった予防対策はしてみえますか??
 空気の乾燥もあり、風邪に感染しやすい環境ですので、加湿器の使用、こまめな水分補給も大切となってきます。
 
 病院では、風邪症状がありますと、咳に対しては咳止め(鎮咳剤)を、鼻水に対してはアレルギー剤を、痰に対しては痰を出しやすくする(去痰剤)を、咽頭痛に対しては抗炎症剤を処方します。また、場合により抗生物質を処方することもあります。
 
 しかし、妊娠中である・または妊娠している可能性がある・・・という場合に、赤ちゃんへの影響を心配されると思いますので、その時には、漢方薬での治療が有効となることがあります。
また、咽頭症状や頭痛など、主となる症状がなくなんとなく体がだるい(倦怠感)場合にも、漢方薬が有効となります。
 
 当クリニックでも、漢方薬を処方させていただくことがありますので、どのような時に、どのお薬を処方しているのか、また漢方薬には番号がありますのでその番号も一緒に、一部ですがご紹介をさせていただきたいと思います。

咽頭症状(咳・鼻水・咽頭痛)なし、頭痛・発熱・関節痛がある。発汗しない。

      ➔ 27番  麻黄湯(マオウトウ)

 

咽頭症状なし、頭痛・発熱・首の後ろ~肩にかけてのコリがある。発汗しない。

      ➔ 1番  葛根湯(カッコントウ)

 

咽頭症状なし、悪寒(寒気)が強い、全身の痛みがある

      ➔ 127番  麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)

 

咽頭症状(鼻水・くしゃみ・鼻閉・水様痰・咳)がある。頭痛・発熱・関節痛なし

      ➔ 19番  小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

 

咽頭症状(特に空咳、咳き込みがひどい・痰・鼻水)がある

      ➔ 29番  麦門冬湯(バクモントウドウ)

 

咽頭症状なし、全身倦怠感・食欲低下がある

      ➔ 41番 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

 
 
 
 麻黄湯はインフルエンザ初期症状の時に服用すると効果があります。
また、高齢者の方には麻黄附子細辛湯が有効だそうです。高齢者の方は、成人に比べて体力や免疫力が低下している事が多いので、漢方薬はおすすめです。
 
 漢方薬の多くは粉末(顆粒状)であること、またイメージとして苦味があること・・・など、皆様も抵抗を感じるようです。(錠剤のものもありますが、当クリニックでは多くは粉末となります)
種類により甘味を感じる漢方薬があります。
『少量の微温湯に溶かす』『はちみつなどを混ぜて服用する』と、苦味を感じにくく飲みやすくなります。
 
 私も、初めて服用した漢方薬が風邪のときで、咳症状が強かったので『麦門冬湯』を処方されました。内服してみると少し甘みを感じました。飲みやすかったです。
今までに漢方薬を服用したことがない方、一度は試してみたいとお考えの方、是非一度診察の際にお声おかけてください。(K.S)
 
 

2015.2.1

カーボカウント概要
カーボカウント(炭水化物を数える)方法についてお話します。

まず、糖尿病の方が指示される食事療法はカロリー制限食だと思います。
しかし、食事ごとにカロリー計算をしても血糖値が下がらないという方がみえると思います。血糖値を上げるのは、カーボ(炭水化物=糖質+食物繊維)でありカロリーではないからです。

 
標準体重の計算方法

 
身長(m)×身長(m)=標準体重

標準体重からの必要摂取エネルギーの計算方法

 活動量 

       :軽労働     25~30kcal
      :中労働     30~35kcal
      :重労働     35~40kcal

 標準体重×活動量=1日の摂取エネルギー
 
1.炭水化物の量は、1日の総摂取カロリーから計算することが多いです。
 1日2000kcalを摂取するとして、その50%の1000kcalを炭水化物か
 ら摂ることとします。
 
2.炭水化物は1gあたり4kcalなので
 1000kcal÷4kcal/g=250gとなります。
 1カーボは炭水化物10~15gですが計算しやすい10gとします。
 
分かりやすいように例題を出しておきます。
<例>36歳の看護師Aさんの場合
 身長161cmで体重48kgです。標準体重は57㎏。活動量は中労働で30。
1日の摂取エネルギーは57×30=1710kcalです。
このうち55~60%を炭水化物で摂ることが推奨されていますので60%とすると
1710×0.6=1026これを、炭水化物1gが4kcalなので4kcal/gで割ると炭水化物は1日256gになります。
つまり256=250=25カーボになり、25カーボの炭水化物を1日にバランスよく食べれば良いということです。
 
例えば、朝7カーボ・昼6.5カーボ・夜9カーボ・間食2.5カーボというように振り分けます。
血糖値が上がりやすい時間帯に、カーボ量を減らしてみるのも良い場合があります。

☆食事メニュー1710kcalの場合

 

<朝>
    ご飯     150g           5.5カーボ
    玉子焼き   50g            0カーボ
    小松菜と焼き椎茸の胡麻和え         0カーボ
    アスパラ トマトのからし酢みそ       0.5カーボ
    ヨーグルト  100g           1カーボ           
    みそ汁                   0カーボ
 <昼>
    中華めんのあんかけ
    中華めん   150g           4.5カーボ
     (具)豚肉・えび・あさり・白菜・たけのこ
        にら・ごま油・水・片栗粉      0カーボ
    りんご    120g           1.5カーボ
 <夕>
    ご飯     150g           5.5カーボ
    さばのみそ煮                0.5カーボ
    里いもの煮つけ               3カーボ
 <おやつ>
    シュークリーム100g           2.5カーボ

 
 
 
このように食べ物のカーボカウントをして、なるべく食後の血糖値を低くするというのがカーボカウントのやり方です。
カーボカウントは、血糖測定も行います。
 カーボカウントの理想のやり方は、1食あたり30~40gでカーボカウントをしてそれを食べる事です。
そのため初めのうちは、食べる物のカーボカウントをして食前に血糖を測定し、食後2時間の血糖値も測定します。
そしてどのくらい上がったかを理解する必要があります。
2~3ヵ月もすれば、食べ物を見ただけでカーボカウント出来るようになりどのくらい血糖値が上がるかも分かるようになります。
 
以前、「糖質を多く含む食品・糖質を含まない食品一覧」を書きましたが、カーボカウントする時に利用されると大変有効です。(S.T)
 
 
 
 
ページトップへ

2015.1..18

冬も本番、朝晩冷え込む季節になりましたね。
先日、新聞に『寒い季節は入浴時に多発する「ヒートショック」に注意』という記事が載っていましたがみなさんもご覧になりましたか?
「ヒートショック」…実は正式医学用語ではなく主に建設業界などで使われている用語だそうで、一般的な用語として使われ出したのは最近だそうです。
そのため、あまり聞きなれない言葉だと思いますが、みなさんはご存知ですか?
今回は、この、冬の入浴時に多発するといわれている「ヒ-トショック」についてお話しさせていただきます。
 
みなさんはこの季節、暖房の効いた暖かい部屋からトイレやお風呂に行こうと廊下に出たとき、急に“ブルッ”としたことや“ゾクゾクッ”とした、そんな震えるほどの温度変化を感じたことはありませんか?
私たちの身体は“ブルッ”としたり“ゾクゾクッ”とすることで急激な温度変化から体温を調節しようと、筋肉を震わせて熱を作り同時に身体の表面から熱が逃げないようにするため血管が収縮し血圧は上がり脈拍は早くなります。
「ヒ-トショック」はそんな急激な温度変化が身体に影響を及ぼす現象のことを言います。
 
私たちが住んでいる日本のほとんどの住宅ですが、冷え込む寒い冬、リビングなどの【暖かいと感じる場所】と廊下・トイレ・キッチン・お風呂場の脱衣所などの【寒いと感じる場所】との温度差が約6~10℃あると言われています。
家の中に約10℃以上の温度差があると血圧も約10mmHg程度変動すると言われていてヒ-トショックを起こしやすくなる危険性が高くなると言われています。
 
 家の中で急激な温度差があり一番ヒートショックの危険性が高い場所は冬場の浴室といわれていて、冬の入浴は最も注意が必要であると言われています。
では、なぜ冬の入浴が危険なのでしょうか?
ほとんどの方はお風呂に入ろうと寒い脱衣所で衣服を脱ぎ裸になると思います
が、この時、急激に体表面全体の温度が下がってしまいます。すると血管は収縮するため血圧は上がります。血圧が急激に上がると脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などを起こす危険性があります。そして、次に熱いお湯に入ると一気に血管は拡張するため今度は血圧が下がります。この時、めまいや失神といった症状が起こる危険があり、時には意識喪失が原因で溺れてしまう危険性もあります。

 
 このように、急激な温度差によって血圧は大きく変動し、そのたびに血管は大きな負担がかかりダメ-ジを受けてしまいます。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの持病のある方、高齢者の方などはさらに血管が硬くなっていたり脆くなっていると思われるため、ヒ-トショックが起こる事によって脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの危険性がさらに高くなると言われています。
また、肥満気味の人や熱いお風呂を好む人、一番風呂に入ることの多い人、お酒を飲んでからお風呂に入ることの多い人などもヒートショックの影響を受けやすいと言われています。 
このヒートショックが原因で脳出血脳梗塞、心筋梗塞などを発症してしまう方が年間約1万人以上もいるといわれています。
12月~2月は外気温が一番低くなりますのでこの時期は最も注意が必要です。
 
 ヒートショックは家庭の中の少しの工夫で予防することが出来ます。
たとえば…
1 洗面所、脱衣所、トイレなどに暖房器具を置いて部屋ごとの温度差を小さくする
2 お風呂場の冷たい床に直接触れないようマットなどを敷く
3 入浴の前にお湯を溜めた浴槽のふたを開けておいたり、お湯を溜めるときシャワ-を使って溜めるなどをしてお風呂場を温めておく
4 お風呂のお湯の温度を38~40℃程度のぬるま湯にする
5 湯船に入るときは一気に入らず、心臓から遠い手足のあたりからお湯をかけ徐々に体を慣らしてから入る
6 湯船から出るときは急に急に立ち上がらずにゆっくりと立ち上がる
7 食後、飲酒後1時間は入浴を避ける
8 入浴の前後にはコップ1杯程度の水分を補給する

 
などです。
また、ヒ-トショックを防ぐには温度差を約3~5℃以内にするといいそうです。
 
 以上を参考にしていただき冬の入浴時のヒ-トショックによる危険を避け、快適な入浴タイムにしてください。
(K.H)

 

2014.11.21

<水痘> はみずぼうそうとも言われ、冬から春にかけ流行するといわれていま
す。飛沫による経気道感染、接触感染し、伝染力は強いです。
2歳から8歳に好発すると言われています。

3~4日のうちに水疱となりのちに膿疱、痂皮となります。
発疹出現1~2日前から水疱が痂皮化するまでが、伝染力があります。
38度前後の発熱が2~3日続き、40℃を超えることもあり熱性けいれんを合併することがあります。
かゆみを伴うため、水痘部分を引っ掻くなどして、細菌の二次感染を起こして瘢痕が残ることもあり、二次感染から膿痂疹、膿瘍、肺血症を合併することもあります。
健康な小児の場合、一般に軽症な経過をたどりますが、中には重症化し、入院治療が必要となることや、死亡することもあります。
妊娠20週までの妊婦さんが水痘に罹患した場合、リスクは低いですが、先天性水痘症候群(低出生体重、四肢低形成、皮膚瘢痕、局所的な筋委縮、脳炎、皮膚の委縮、小頭症など)として出生することもあります。
 出産前3日から出産後2日までに妊婦さんが発症すると出生した児も水痘を発症し、重症となる場合があると言われています。
加齢・免疫低下により、ウィルスが再活性化し、帯状疱疹を発症することもあります。
免疫があるかどうかなどを知るためには、血液検査を行うこともありますが、どの方法も時間や費用がかかります。

薬物療法を行います。水痘治療のウィルス薬としては、アシクロビル(ゾビラックス)が有効。
アシクロビルやバラシクロビル(バルトレックスなど)の投与により、皮疹数、発熱、掻痒感など症状所見軽減でき、期間短縮できます。水疱出現3日以内に投与しますが、できるだけ早期に投与すれば効果が期待さ
れます。
 
発熱に対しては、解熱剤を使用しますが、アスピリンは禁忌です。
感染症関連急性脳症を引き起こす危険性があり、15歳未満の小児に対して、発熱時アスピリン投与を控えることは大事です。
小児の解熱剤の第一選択 アセトアミノフェン (カロナールなど)があげられます。
 
 
水痘ワクチンが定期接種となったため、接種対象の方は是非接種されてはと思います。
 
 
水痘ワクチンは、今まで任意の予防接種として行っていたため、希望者は医療機関で自費にて接種していました。しかし、平成26年10月1日から定期接種となりました。
 
 対象者は  生後12月(1歳)~生後36月(2歳11か月)の子供
 ワクチンは 乾燥弱毒生水痘ワクチンを使用し、3月以上の間隔をおいて
       合計2回 皮下に注射します。
       接種量は 0.5mL です。

<< 標準的な接種 >>

 生後12月~生後15月(1歳~1歳3か月)に至るまでに1回目接種を行い、6か月~12か月までの間隔をおいて2回接種を行う。

 

 平成26年 10月1日~27年3月31までの間は、
 生後36~生後60月に至るまでの間にある者も対象とし1回接種する。
 ( 3歳~4歳11か月 )
誕生日にて5歳になる子供は対象から外れてしまいます。
今までに水痘にかかった子供も、対象外です。
任意接種として、ワクチンを接種した子の中でも、年齢により定期接種できる場合もあります。
3歳~4歳11か月の子供で、任意接種でワクチン接種した場合は、定期接種できません。
1歳~2歳11か月の子供で、一度も接種してない・・・2回接種出来ます
              任意で1回接種した・・・1回接種出来ます
              任意で2回接種した・・・ワクチン接種する 必要ありません。
平成21年10月2日生まれ(5歳)~平成25年10月31日生まれの子供
は、自宅に市からワクチン接種についてのお便りが配布されています。
問診表は各医療機関にありますので、母子手帳と保険証を忘れず持参して下さい。
 
水痘ワクチンは、生ワクチンであり、接種後違うワクチンを接種される場合は27日以上の間隔をあけて下さい。
当院でも予防接種を行っていますので、気軽にお声かけて下さいね。(J.I)
 
ページトップへ

 

2014.10.10

https://locomo-joa.jp
 メタボリックシンドローム(略してメタボ)という名前は、健康診断でも必ずと言って良いほど聞かれるようになりました。
 “メタボ ”を放置しておくと、動脈硬化・糖尿病・心筋梗塞など・・・病気になるリスクも高まりますから、「あー気をつけなくちゃ」と思われますよね。
それだけ、“メタボ ”という言葉が随分と世の中に浸透してきた、ということです。
 では、病気に対するケアは行っているのに、運動機能の低下については心配にはならないのでしょうか???
 2010年頃より、ロコモティブシンドローム(略してロコモ)という名前が聞かれ始めました。
 “メタボ ”は、内臓脂肪症候群 のことでしたが、これに対し、“ロコモ”は、運動器症候群のことを言います。
 この “ロコモ” の予備軍といわれている人達が、実は全国に4700万人もいると推測されています。厚生労働省が行った調査によると、高齢者が要介護になる原因の1位は『脳卒中』、2位が『認知症』、3位『老衰(高齢による衰弱)』、4位『関節疾患』
5位『骨折や転倒』であり、このうちの4位と5位を合わせると、1位の脳卒中に迫るほどの勢いだそうです。
 今後もますます高齢化社会が加速していく日本。“ロコモ”で悩まされる人も増えること間違いなしです‼
 “ロコモ”と“メタボ ”は必ずしも合併しません。しかし、からだは運動をして健康を保っていますから、どちらかになると、当然もう一方のリスクも高くなります。
“ロコモ”になり、椅子からの立ち上がりや階段の昇り降り、日常生活で出来ていたことが出来なくなる、歩行に障害が出てくる・・・。このような状況にならず、健康で元気な老後を送るためにも、“メタボ ”と同様に予防していきませんか???

☆メタボチェック (-ω-)/☆

①片足立ちで靴下が履けない
 ②家の中でつまずいたり、転んだりする
 ③階段を上がるのに手すりが必要
 ④15分くらい続けて歩けない
 ⑤横断歩道を青信号で渡りきれない
 ⑥2kg程度の荷物(1ℓの牛乳パック2個程度)を持ち帰るのが困難
 ⑦家の中でのやや重い仕事(掃除機の使用や布団の上げ下ろし等)が困難

 
このチェックで、該当する項目が1つでもあれば、何らかの対策が必要とされています。
 加齢とともに衰えやすい、下半身や体幹の筋肉をトレーニングや運動をして保つようにしましょう。下半身の筋肉は、からだを支えるために重要な筋肉です。特に、太もも・腹筋・背筋を鍛えましょう。
 長時間行う必要はありません。TVを見ながら、椅子に座り両足をブラブラさせる・・・
これだけでも効果はあるのです。
 運動が苦手な方でも出来る体操を、ここで紹介したいと思います。
 是非、みなさん頑張っていきましょう(-ω-)/ (K.S)
 
詳しくはこちら
 
 
ページトップへ

2014.8.30

【はじめに】
 
 体の主要なエネルギー源となる三大栄養素には「炭水化物・蛋白質・脂質」やミネラル・ビタミンがあります。
体に与える影響は、栄養素によって異なりますが食後2時間後の血糖値を上昇させるのは炭水化物における糖質です。
 糖質の必要量は、同じ年齢でも身長・体重・食習慣・1日の行動パターン・運動の有無・
血糖コントロールの状況・血中脂質の状況によって異なるので自分にあった目標量を見つけましょう。
 カーボカウントは、食事の中でも食後すぐに血糖値を上げる作用のある炭水化物に注目し、その量を測る(カウントする)ことです。

☆糖質の多い食品「カーボカウントする食品」

「主食」
   ご飯・パン・麺類・お好み焼き・たこ焼きなどの粉物
食事中心として主要なエネルギーになる供給源になる食べ物
「副菜」
   じゃがいも・里いも・さつまいも・山芋・かぼちゃ・とうもろこし・レンコン
   糖質が多い野菜、イモ類、豆類を用いた主菜につぐおかず
 「蛋白質(肉・魚)」
   ソーセージ・ハム・ウインナーなど加工肉
   かまぼこ・ちくわなど練り製品加工食品
「果物」
   バナナ・アメリカンチェリー・マンゴー・ブドウ
   缶詰(もも・パイナップル・みかんなど)
   ドライフルーツ(レーズン・干し柿・プルーン・ドライマンゴーなど)
 「調味料」
   砂糖・蜂蜜・片栗粉・みりん・ソース・トマトケチャップ・チリソース
「飲料水・アルコール」
   コーラやソーダーなど炭酸飲料・清涼飲料水・ぶどう・りんごジュースなど
   日本酒・ビール・ワインやリキュール類
「お菓子」
   スナック菓子(ポテトチップス・せんべいなど)
   和菓子   (あんこ・大福・団子など)
   洋菓子   (クッキー・ケーキ・パンケーキなど)
   ジャム・飴・グミなど

 

☆糖質を含まない食品「カーボカウントしない食品」

 「主菜」
   食事の中心となるおかずとして蛋白質・脂質・エネルギー・鉄の供給源になる食物
   肉類   (鶏肉・豚肉・牛肉など)
   魚・魚介類(カレイ・サケ・サンマ・エビ・タコ・貝類など)
   卵類   (鶏卵・うずらなど)
   大豆製品 (豆腐・納豆など)
   チーズ
 糖質を含まないので、この食品だけでは血糖を上げません。
 「野菜」
   糖質を含まない野菜・キノコ類・海藻類を用いた野菜につぐおかず
   キノコ類(しめじ・しいたけ・まいたけ・えのきなど)
   海藻類 (わかめ・ひじき・こんぶなど)
   ほうれん草・玉ねぎ・レタス・にんじん・きゅうりなど
 ビタミン・ミネラル・食物繊維の供給源なので毎日摂取しましょう。
 「油脂・種実類」
   油・食物油(バター・マーガリン・ドレッシング・マヨネーズなど)
   種実類  (ピーナッツ・ヘーゼルナッツなどのナッツ類)
 「嗜好品」
   糖分のない飲料(日本茶・無糖飲料など)
   合成甘味料で甘みをつけた飲料
「糖質オフ」「ゼロ」などの表示がある
糖類・糖質を含まないので血糖を上げない。

 

☆アルコール飲料のカーボカウント

カーボカウントによると、炭水化物を含むアルコールは血糖を上げますが含まないものは影響ありません。
ビールや日本酒など、炭水化物を含むものはカーボカウントする必要があります。
逆に炭水化物を含む食事をせずに、アルコールを飲むと血糖値が下がる事があります。
 「アルコール」
   蒸留酒などの糖質を含まないアルコール
一般には、焼酎・ウイスキー・ウォッカなど
 糖質ゼロ表示の醸造酒
蒸留酒自体は血糖を上げないが、甘い酒やジュースなどを加えた場合に注意する。

 
【おわりに】
 同じエネルギーの場合、どちらが血糖値を上げるでしょうか?

  1. 問1「から揚げ」VS「あんぱん」

 ⇒カロリーは同じでも、あんぱん1個には49gの炭水化物が含まれているため、10g程度しか含まれていないから揚げに比べて血糖値の上昇が大きい。

  1. 問2「ざるそば」VS「天ぷら」

 ⇒油を一緒に摂ると炭水化物の吸収が抑えられ、血糖値の上昇が抑えられる。

  1. 問3「すし」VS「ステーキ」

 ⇒すしとステーキでは、ステーキの方が炭水化物の量が少なく血糖値への影響が少ない。
  この時、付け合せのポテトやパンの量を減らすことを忘れずにして下さい。
 
(S.T)
 
 
 
ページトップへ
 
 

2014.8.9

この地方も梅雨が明けたかと思ったら急に猛暑が来ましたね。
毎年、7月~9月頃になるとテレビや新聞で「熱中症」に関するニュースを見聞きします。
 そこで今回は、熱中症の一歩手前ともいわれ、最近テレビ番組でも取り上げられたことのある「かくれ脱水」についておはなしさせていただきます。
 
 はじめに、熱中症とは高温環境下でおこる「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」など、身体に発生するさまざまな健康障害をいいます。
 
 人は体温が上昇すると汗をかきますが、これは汗をかくことで体温を下げようと体内の体温調節機能が働くからです。この機能は、体内の水分を利用して行うため体内の水分量が減ってしまうとうまく働かなくなってしまいます。
水分の補給が行われないままでいると体内の水分がどんどん減り、体温は上昇し続けてしまいます。この体内の水分が失われた状態が続くと脱水症となり、頭痛や吐き気、めまい、倦怠感などの症状があらわれます。
 しかし、脱水症は進行するまでにこれといった症状が出にくい特徴があります。そのため、これらの症状があらわれる前、脱水症になりかかっていることに本人も周囲の人も気づかず十分な対策が行われていない状態を「かくれ脱水」いいます。 また、夏になると疲れやすい、食欲が落ち「夏バテかな?」と思う方もみえると思いますが、夏バテの背景にはかくれ脱水の可能性もあります。
汗をかいたり、食欲が落ちたりして体内の水分が減ると消化管への血流も下がります。すると消化吸収が悪くなり栄養素が取りにくく疲れやすくなってしまいます。消化器の血液量が減ることで食欲も落ち、食物から取れる水分や電解質が不足してしまい体液が減り脱水症状が進んでしまう、という悪循環をおこしてしまいます。このように、夏バテにも脱水は関係しています。
 
「かくれ脱水」はいつでもどこでもおこります。
特に注意していただきたいのは「室内」「夜間」「運転中」です。
(室内だから大丈夫だろう)と暑さを感じていても水分補給が十分でなかったり、節電意識から扇風機やエアコンなどの利用を控える方も増えていますが、マンションなどの気密性の特に高い集合住宅では風通しがあまり良くないといわれていて汗をかいても蒸発されにくくなっています。汗は蒸発するとき、気化熱によって体内の熱を逃がし体温を下げる働きをします。汗が蒸発されないままだと体の中に熱がこもり体温は上昇してしまいます。また、日中の太陽によって外壁のコンクリートは熱を吸収し、この熱を夜間に放熱するため夜間も室内は高温になりがちです。昼間だけでなく夜間も室内の温度と湿度が高くならないように気を付けてください。
 
 室内での熱中症を予防するには、室内の温度を28度以下、湿度を50~60%にすると良いといわれています。扇風機やエアコンなどを上手く利用し室温や湿度に注意してください。
 運転中は、運転に集中してしまい水分を取る回数が減ったり、トイレに行く回数を減らしたいとの理由で水分を制限しがちですが、夏場、車の冷房をつけたとき窓を閉め切りますが、閉め切ってしまうと車内は室内同様、風通しが悪くなり汗は蒸発しにくくなり体温は下がりにくくなるためかくれ脱水のリスクが高くなります。
これから、お盆の帰省や行楽などで長時間車を利用される方もみえると思います。できるだけ水分はこまめに摂るよう心がけてください。
 
 また、お子さんや高齢の方は脱水症や熱中症をおこしやすいといわれています。
お子さんの顔が赤い、たくさんの汗をかいているなど、脱水症や熱中症の症状がみられたときはエアコンなどの効いた部屋や木陰などの涼しい場所へ移動し、冷たいタオルや保冷剤などを利用して脇の下や首筋などを冷やし体温を下げ水分補給をしてください。
 
 高齢の方も注意が必要です。高齢になると皮膚の温度センサーの感度が鈍くなり暑さを感知しにくくなってきます。この温度センサーが鈍くなると体内の体温調節をする機能が遅れがちになります。例えば、脳が「暑い」と判断したとき、汗をかいたり血流量を増やしたりして体温を下げようとします。しかし、この体温調節が鈍くなっているため体に熱がたまりやすくなってしまいます。また、のどが渇きを感じる察知能力も低下するため十分な水分補給がされずに脱水症や熱中症をおこしやすいといわれています。のどの渇きがなくてもこまめに水分は摂るようにしてください。
 
  大量の汗をかいたり集中力が低下してきたと感じたり、めまいや立ちくらみ、手足がしびれ力が入りにくくなってきたりした時はかくれ脱水かもしれません。また、足の色々な場所、例えば右の足、左の足、足の上の方や下の方がつるといった症状がみられる場合もかくれ脱水の可能性があります。
「脱水かな?」と少しでも思ったら水分補給をしましょう。この時の水分補給ですが、汗で体内の塩分も失われているためスポーツドリンクや経口補水液を摂られると水やお茶と比べて身体に吸収されやすいのでより効果的です。
 
今年も猛暑日、熱帯夜の続く厳しい夏が予想されます。
のどの渇きを感じなくても水分補給はこまめに摂り、扇風機やエアコンなどを使って室温調節をして屋外だけでなく室内での脱水症や熱中症にも注意をするようにしてください。
水分補給や体を冷やすなどの対策を行っても体調の改善がみられない場合、無理はなさらず早急に病院を受診してください。
 
 ※前回の「脱水のおはなし」で水分補給についてとても詳しく紹介されていますので是非参考になさってください。(K.H)
 
ページトップへ

 

2014.7.23

私たちの体の中を流れている血液は、とても重要で様々な働きをしています。主なものとしては、
①酸素を肺から組織へ運び、体の中を循環しています。
②腸で吸収された糖質、アミノ酸、脂質などを各組織へ栄養として運びます
③体内で新陳代謝の結果生じた尿素や尿酸などを腎臓へ運び排泄します。
④組織の水分や電解質のバランスを一定に保ち、寒暖に応じて皮膚への血流を増減させて体温調節を行います。
⑤白血球や抗体があり、外部からの細菌や毒素から身体をまもり、血小板や血液凝固に関与しているいろいろなタンパク質が含まれていて、出血した際、血液を凝固させて、出血を防ぐ大切な役割をしています。
 
 血液は、体重のおよそ13分の1をしめていると言われています。
体重50㎏の方では、血液量約4ℓです。60㎏~70㎏の方で、約5ℓです。
 
血液は、血漿( 水・電解質・タンパク質など無形成分)
    血球( 赤血球・白血球・血小板の有形成分) に分けられます。
血漿は淡黄色の無形成分で、タンパク質や脂肪・糖質・電解質などを含んでいます。血漿タンパク質は、アルブミン・グロブリン・フィブリノゲンなどのタンパク質が含まれていて、アルブミンは栄養や浸透圧の維持に大きな役割があり、グロブリンはウィルスや細菌から体を守る働きがあります。
血液凝固に欠かす事のできない物質も含まれていて、重要な役割を果たしています。ちなみに血漿から血液凝固物質を除くと血清になります。
 
血球は、赤血球・白血球・血小板を含んでいて、骨髄でつくられています。
約120日間血液中で機能し、寿命が来ると肝臓または脾臓で壊されますが、
ヘモグロビンに含まれていた鉄分は再び骨髄に返されて、再利用されています。
 
★赤血球は、直径7μm~8μmの円盤状の細胞です。赤血球は呼吸において重要な酸素・二酸化炭素運搬の役割があるヘモグロビン(Hb)があります。
ヘモグロビンは、肺で酸素と結びつき、体内の各組織へ運んで放出し、組織から二酸化炭素を運び、肺で放出するという重要な役割を果たしています。
採血時よく患者様より採血管内に入っている血液をみて、きれいな赤色だと思っていたのが、暗褐色の血液であるため、びっくりされる方がいます。それは、酸素を含んでいる赤血球は、二酸化炭素を含む赤血球よりも明るい色をしているので、動脈血は静脈血よりも鮮明な赤色をしています。
採血をしている血液は、静脈血なので、暗褐色の血液ということです。
 
★白血球は無色で核をもっていて、円形または不整形です。健康な成人の方で、1ml中 約4,000~9,000個存在します。
白血球数は年齢差もあり、新生児や乳幼児での白血球数は成人より高めです。白血球は、体内に病原体(細菌や中毒性物質)などが入ると、生体をまもる重要な働きをします。
 
 体内に細菌が入り感染すると、白血球は、感染を起こしている部位に集まり、細菌を取り込んで(これを貧食(どんしょく)という)細胞中の酵素によって処理をします。このように細菌などを処理した後、死滅した白血球が膿(うみ)となります。感染などが起こると、それを処理するために血液中の白血球が増していきます。白血球はなにかの病気により大量に減ると感染をおこしやすくなり、発熱などの症状があらわれます。
白血球は大きく分けると、顆粒球・単球・リンパ球に分類されます。
 ●顆粒をもつ    顆粒球
 ●顆粒をもたない  単球―単球は白血球の中で最も大きく、不整形のものがあり、組織・血中へ移動して組織球マクロファージになります。
           リンパ球―骨髄系のB細胞(Bリンパ球)
                胸腺系のT細胞(リンパ球)      に分けられます。
 
顆粒球は、骨髄でつくられ、B細胞は骨髄、T細胞は胸腺で作られます。
白血球の破壊は、肝臓や脾臓で行われます。
顆粒球は3つに分類されます。
 顆粒球―好中球
     好酸球
     好塩基球 に分けられます。
好中球は細菌を貧食し、殺菌します。有害物質を貧食します。
好酸球はアレルギー反応において組織の炎症を引き起こします。
好塩基球はアレルギーや炎症においての症状の発現を引き起こします。
 
 
単球は、傷害物質を除去し、傷害組織を修復します。
    組織でマクロファージとなると、老廃物・異物(細菌等)を貧食し、
情報をT細胞に伝えます。
 
リンパ球は、Bリンパ球(B細胞)は血液中の抗体を作り、液性免疫を担う
      Tリンパ球(T細胞)は異物を直接攻撃する。細胞性免疫を担う
リンパ球は、生体の免疫に重要な役割をしています。
正常なリンパ球が作られなくなると免疫の障害がおこり、感染などがおこり
やすくなります。
 
★血小板は、直径約2~3μmの円盤状の細胞で核がありません。
血小板は粘着性があり、止血の際は血管に粘着し、互いにくっつき(凝集)
止血します。
血小板の働きがよすぎると血管内に血栓をつくりやすくなり、血小板が減りやすく、機能が低下すると出血しやすくなります。
血小板は、健康な成人の血液1mL中に約15~35万個/μmあり、血液凝固に重要な役割を果たしています。
血小板も骨髄で作られ、脾臓で壊されます。寿命は、8~11日と言われています。
 
赤血球・白血球・血小板など、結果を数値で見ることはあると思いますが、働きについてはなかなか知る機会はないと思います。
赤血球・白血球・血小板は私たちが生きていく上で、重要な働きをしています。風邪を引いた時など感染した時に熱がでたり、白血球が増えたりするのは、体をまもろうとする機能が働いているからだということも血液の働きを知ると分かります。
会社の検診や市の特定健診などもはじまり、採血をする機会もあると思います。検診の採血の結果などで分からないことやご相談などもいつでも気軽にお声をかけてください。(J.I)
 
ページトップへ
 
 
 

2014.6.11

皆さんが風邪や胃腸風邪、あるいは熱中症、等で病院受診をした時に、主治医の先生から 『脱水をおこしているね』『脱水気味だから水分をたくさん摂ってね』だとか、言われることが多いと思います。また、ニュースや健康番組でも≪脱水≫という言葉を耳にする機会はあります。
 そもそも…この≪脱水≫とはどのような状態なのでしょうか??また、この≪脱水≫は、どのようにしたら治るのでしょうか??
 
 脱水とは、体の水分(細胞内の水、Na・Kなどの電解質)が失われた状態の事を言います。
 
Naに比べ水が多く失われ、細胞外液の浸透圧が上昇する水欠乏性脱水(高張性脱水)
水に比べNaが多く失われ、細胞外液の浸透圧が上昇するNa欠乏性脱水(低張性脱水)
水もNaも同じ割合で失われる混合性脱水(等張性脱水)

 
の3病型に分けられます。
細胞外液は、間質液と血しょう水からなり、脱水ではいずれも等しく減少します。また、間質液が貯留して血しょう水が減少する場合があります。このことを、≪血管内脱水≫といいます。
 
脱水の病型により、皆さんが感じる自覚症状が大きく異なります。

☆水欠乏性脱水(高張性脱水)の場合☆

 軽症(体重の2%前後の脱水 約1-2ℓの水欠乏)・・・口渇
 中等症(体重の6%前後の脱水 約3-5ℓの水欠乏)・・・口渇が著しくなる
 重症(体重の8~14%前後の脱水 約5-10ℓの水欠乏)・・・
           興奮・幻覚・妄想・指南力低下・昏睡などの精神症状を認める 

☆Na欠乏性脱水(低張性脱水)の場合☆

 軽症(NaCl 0.5g/kg以下の欠乏)・・・立ちくらみ 倦怠感 脱力感 鈍い拍動性頭痛
                  口渇感はない 急激の水分摂取や運動で筋肉のケイレン
中等症(NaCl 0.5~0.75g/kg以下の欠乏)・・・眩暈 失神発作 悪心・嘔吐
重症(NaCl 0.75~1.25g/kg以下の欠乏)・・・
無関心 無欲状態となり、傾眠・昏睡などの意識障害をきたす

☆混合性脱水(等張性脱水)の場合☆

 
眩暈 立ちくらみ 脱力感 倦怠感 口渇は軽度あり
 
 
脱水の考え方としては・・・

 
また、水分の摂取不足や摂取不能により起こる混合性脱水は、1番多くみられます。
 
 脱水は、生体に極めて重大な影響を及ぼします。特に高度の脱水は死亡することもあります。
どのような脱水状態においても、体温や脈拍などの測定を行いましょう。ご自宅に血圧計がある方は、血圧測定を行ってください。
 また、『ぐったりしている』などの意識障害が見られる場合は、直ちに病院受診をしてください。
点滴を行い、急速に水分補給を行います。
 病院受診をした際には、水分の摂取状況、嘔吐・下痢・発熱の有無、尿量や出方、発汗の有無などをお話ししていただきたいです。
 糖尿病や腎不全などの、現在かかっている病気や内服薬によっても脱水を引き起こす可能性もあります。必ず主治医に伝えてください。
 

*ORT(経口補水療法)について*

  嘔吐・下痢・発熱などで水分が摂れないことがあります。体力の消耗も激しくなります。そうすると脱水を起こしてしまいます。
 病院での点滴を受けることが出来ると1番良いのですが、子供さんや老人の方など、痛いことが嫌だったり、病院への来所が困難だったり・・・という場合もあります。そこでお勧めするのが、このORTです。
 ORTは、ORS(適切な濃さに調合した糖分・塩分を含んだ飲み物)を使います。
 最近、TVCMでも流れていますが、大塚製薬さんから販売されている≪OS-1:オーエスワン≫という飲み物があります。ポカリヤアクエリアスなどのスポーツ飲料とは異なり、塩分とブドウ糖・水が決まった割合で調合されているため、素早く水・塩分・ブドウ糖が吸収されます。また、点滴治療とほぼ同じ効果があると証明もされています。
この≪OS-1≫は、ゴクゴクと飲むものではありません。少量ずつ、間をおいて何度も飲んでいただきます。1日に500~1000ml(1~2本)を目安とされています。
 私も実際に試していましたが、脱水状態の時に飲用するとものすごく美味しく感じます。1口ずつゆっくり飲んでいました。2~3日目になると、体の水分が補われてきたのか、ものすごく塩気を感じ『まずい』と感じました。そう感じた時が中止する見極めのポイントだそうです。
 ポカリ等と比べて、1本 200円と少し割高ではありますが、これからの時期、熱中症や夏風邪など、利用できると思いますので、是非一度試してみてください。
 また、ORSが手に入らない時には、手作りも可能です。
 
 
 
これから、梅雨が始まり、夏本番となります。外出や運動など、外で過ごす機会も多くなります。
特に運動前には、ORS(ポカリなどでもよい)を500ml 1本飲んでから行うようにしましょう。
熱中症予防にもつながりますよ!!(K・S)
 
ページトップへ

2014.5.27

今年も「特定健診」が6月2日から始まります。この特定健診は2008年4月より始まった健診で、正式には「特定健康診査」といいますが、テレビや新聞では「特定健診」または「メタボ健診」と呼ばれている事の方が多いのでこちらの呼び方で馴染みがあるかと思います。
 
 なぜ「特定健診」は始まったのでしょうか?
 現在、生活習慣病が死亡原因の約6割を占めている状況にあるといわれています。生活習慣病はさまざまな症状、疾患が含まれています。例えば、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧をはじめ、がんや脳卒中、肝臓病などがあります。
 この中で、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧の4つは「サイレントキラ―」(沈黙の殺人者)とも呼ばれていて自覚症状があらわれにくく、放っておくと心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)など、深刻な病気へと進行してしまう恐れがあるといわれています。
 おなかまわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖や高血圧、脂質異常のうち2つ以上をあわせもった状態を「メタボリックシンドロ―ム」(内臓脂肪症候群)といいます。厚生労働省の資料によると、メタボリックシンドロ―ムによって引き起こされる病気の発症の危険性は危険因子の数と大きく関わっていて、危険因子の数が多くなるほど危険度は高くなるといわれています。例えば、心臓病の場合、危険因子がない人の危険度を1とすると、危険因子を1つ持っている場合の危険度は5.1倍、2つ持っている場合は5.8倍、3~4個持っている場合の危険度は急激に上昇し35.8倍にもなるそうです。

 各務原市では、生活習慣病によりこれらの深刻な病気へ発展することや合併症への進行の予防を目的とした「特定健診」が今年も始まります。

 
 今回は、「特定健診」で実施する健診内容についてお話しさせていただきます。 
 
 
 
① 身体測定 (身長、体重、腹囲、BMI) 
 
② 血圧測定
 
③ 血中脂質検査 (中性脂肪、HDL―コレステロ―ル、

LDL―コレステロ―ル)
 
④ 肝機能検査 (AST(GOT)、ALT(GPT)、γ―GTP)
 
⑤ 血糖検査 (空腹時血糖、ヘモグロビンA1c)
 
⑥ 腎機能検査 (血清クレアチニン、尿酸)
 
⑦ 貧血検査 (血色素量、赤血球数、ヘマトクリット値、白血球数、血小板数) 
 
⑧ 尿検査 (糖、蛋白、潜血)
 
⑨ 心電図
 
 
 
① 《腹囲》…おへその位置にメジャ―を合わせおなか周りを測定します。腹囲を測定することで内臓脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」であるかどうかの判定をします。
 
   《BMI》…いわゆる「肥満指数」を計算します。体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)) で算出し、身長に見合った体重であるかを判定します。正常範囲は18.5以上25未満です。例えば、体重45kgで身長が158.5㎝の方の場合、45÷(1.58×1.58)=18.0259 なので約18となります。正常範囲は18.5以上25未満です。
 
 
② 《血圧》…特定健診の血圧の診断基準は、収縮期血圧(最高血圧)130㎜Hg以上、拡張期血圧(最低血圧)85㎜Hg以上を保健指導判定値とされています。高血圧の自覚症状はほとんどないため、健診などを受けて早めに発見しましょう。自覚症状がないからと放置していると血管が硬くなり動脈硬化や心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)などを引き起こすおそれがあります。また、血圧は腎臓とも深い関係があります。腎臓は主に血液中の老廃物などを濾過して取り出し、尿にして体外に出す働きをしています。腎臓はたくさんの毛細血管でできているため、動脈硬化がおこり血液の流れが悪くなると腎機能が低下してしまいさまざまな腎臓病を引き起こしてしまいます。
 
③ 《血中脂質検査》…過度な食事や肥満などによりこれらの数値が高くなると「脂質異常症」となります。主に、LDL―コレステロ―ルが多すぎてしまう脂質異常症を「高コレステロ―ル血症」、中性脂肪が多すぎてしまう脂質異常症を「高中性脂肪血症」といいます。
LDL―コレステロ―ルは、全身の組織に必要な成分としてコレステロ―ルを運ぶ働きをしますが、多すぎると血液中のコレステロ―ルが増え血管壁にコレステロ―ルが蓄積してしまい血液の通り道が細くなり血栓ができやすく動脈硬化を進行させてしまいます。これらからLDL―コレステロ―ルは別名「悪玉コレステロ―ル」とも呼ばれています。
HDL―コレステロ―ルは、血管壁の余分なコレステロ―ルを肝臓まで運ぶ働きをします。動脈硬化の防止につながることから「善玉コレステロ―ル」    とも呼ばれています。どちらも必要なコレステロ―ルであり、この2つのコ     レステロ―ルの割合が大切になります。ひとつの目安としてLDL/HDL比を2.0以下にすると良いと言われています。
 
④ 《肝機能検査》…肝臓や心筋、筋肉などの細胞の異常があるかを調べるこができます。数値が高いと、急性肝炎や慢性肝炎、脂肪肝、アルコ―ル性肝障害、などが疑われます。
 
⑤ 《血糖検査》…空腹時血糖とは食後約10時間以上経ってからの採血をいいます。ヘモグロビンA1cとは過去1~2か月の血糖値の平均がわかります。数値が高いと糖尿病が疑われます。
 
⑥ 《腎機能検査》…血清クレアチニンは数値が高いと腎臓の機能低下が疑われます。尿酸は数値が高いと痛風や腎結石などが疑われます。
 
⑦ 《貧血検査》…血液中の血色素量や赤血球数などを調べることができます。
 
⑧ 《尿検査》…腎臓や泌尿器系の異常があるか調べることができます。
 
⑨ 《心電図》…両手首、足首の4か所と胸に6か所電極を付けそこから心臓で発生する微小な電気を波形にして記録します。主に虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や不整脈などを調べることができます。 
 
今年は若い世代を対象にした「ヤング健診」が新たに開始され、また昨年は医師が必要と判断された方のみ実施していた「心電図」検査や「貧血検査」が  通常の検査項目に加えられ、さらに料金が昨年の1000円から今年は500円となりとても受けやすくなりました。
生活習慣病の予防、早期発見のためにもこれらの健診を受けられてみてはいかがでしょうか。(K.H)
 
ページトップへ
 
 
 
 

2014.5.1

機能性ディスペプシア】と聞いてもあまり耳にしたことがないと思いますが症状を聞くと当てはまるという方はいるかも知れません。 機能性ディスペプシア】とは胃もたれや胃痛等の症状が現れる機能性疾患です。
 
症状としては、胃のもたれ(食べ物がいつまでも胃の中にとどまっている様な不快感)胃のムカムカ、食事をしてすぐにお腹がいっぱいになる(普通の量の食事がとれない)みぞおちの痛み、みぞおちが熱をもっている様な不快な症状を感じたりします。主に心窩部を中心とする不快症状が食事に関連して変化することが多いです。

 
★  胃のもたれ感・早期満腹感が週に3-4回以上(食事してすぐに胃がいっぱいになり、それ以上食べられない)
みぞおちに起こる痛みや灼熱感が食事に関係することなく週1回以上ある。
 
★  症状は数週間~数ヶ月以上にわたって、慢性的に症状があり、その症状があり、その症状を説明できる器質的疾患(胃・十二指腸潰瘍、急性胃炎、胆石症、胃癌、慢性膵炎など)明らかな原因疾患が無い
血液生化学検査、炎症反応チェック、検尿、便潜血、検査の異常が見られないものを機能性ディスペプシアと言います。

 
機能性ディスペプシアでは、嚥下障害、発熱、貧血、黒色便などの症状はないのですが、非びらん性胃食道逆流症(NERD)や過敏性腸症候群(IBS)を合併することで、胸やけ症状や便通異常と下腹部痛を伴うことも伴うこともあり、うつ症状や不安症状を訴えることもあるそうです。

日本人の10~20%は機能性ディスペプシアの症状がみられるという報告があります。

検査をして異常がなければそのまま様子をみている方も多いのではと思います。症状がでたり、でなかったりと長時間繰り返す事もあり、不快な思いをしていても、それが何か分からず困っている方もいると思います。
症状が改善することでもっと食事を楽しみ味わう事ができ快適な生活を送ることができると思います。

 
 
機能性ディスペプシアの原因は、

 
1、 胃運動異常・・・
胃の排出運動の遅れや胃底部の食後の受容体弛緩の働きに障害が生じて症状がおこる。
 
2、 生活習慣・・・
不規則な生活、食事の不摂生          
(脂肪の多い食事、コーヒー、アルコール、タバコなどの 嗜好品)が胃の症状を引き起こす。

 
3、 抑うつ傾向・過度のストレス・・・
ストレスなどにより、胃の運動の低下や、過敏になることにより症状があらわれます。

 
4、 胃酸増加・・・
胃酸が必要以上にでることにより、胃もたれや痛みなど がでます。
 
5、 内臓知覚過敏・・・
胃の粘膜が刺激に対して痛みを感じやすくなってい るため少量の食べ物が胃に入る事で満腹感や痛みを感じます。
 
 
< 検査 >

 
40歳以上でヘリコバクターピロリ陽性で貧血、タール便、意図的でない体重減少、嚥下障害の有無で1つ以上でも当てはまる方
 
50歳以上の患者さんで数年以内に発症された方、長期経過をたどる方、 5年以上内視鏡検査を行っていない方、患者さんの希望、先生の判断にて 内視鏡検査を行ったりします。
 
腹部超音波検査
 
血液生化学検査
 
炎症反応チェック
 
検尿
 
便潜血検査 
 
上記などを行い、器質的疾患の有無がないか確認します。
 
当院では、内視鏡検査を行うことはできませんが、必要な方には、消化器を中心とした医療機関へ紹介しています。 治療を開始して、効果を評価していくのには、約4週間を目安にみていきます。
機能性ディスペプシアの原因は単一でないこともあり治療が有効でない場合は、ほかの治療への変更を行ったりしていきます。

 
毎日の食事をおいしく味わう事で、ストレスが軽減され、毎日の生活を快適に過ごすことができると思います。

症状が落ち着けば、毎日の食事が楽しみとなり、何を食べようかなと楽しみが増えていくと思います。今回あまり耳にしたことのない病名でしたが、同じ様な症状で困っている方もいるのではと思いまとめてみました。何か気になる症状や聞きたい事があればご相談ください。
 
J.I)
 
ページトップへ

2014.4.10

《はじめに》


糖尿病の食事療法には一般的に用いられている食品交換表による食事療法と、最近広まりつつあるカーボカウント療法の二つがあります。
 
 それぞれ、食品交換表による食事療法は食品バランスとカロリー制限の管理に優れ、カーボカウント療法は血糖値に反映されやすい炭水化物をコントロールするための血糖管理に優れているという特徴があります。
 
《「カーボカウント」とは…》
 
食品の中でも食後すぐに血糖値を上げる作用のある「炭水化物(カーボ)に注目し、その量を測る(カウントする)ことで、食事内容に応じて上手く血糖コントロールに役立てようという療法です。

 食事の中でも血糖を上げるのは「炭水化物」

炭水化物はご飯、パン、うどんなどに多く含まれ、消化吸収が早く、他の栄養素と比較しても最も大きく食後2時間の血糖値を上昇させます。

 脂肪や蛋白質の多い食事と血糖への影響

 
一般に蛋白質の約50%、脂肪の約10%が時間をかけてブドウ糖に置き換わると言われています。しかし蛋白質や脂肪のブドウ糖への変化量やそのための時間もまちまちで、血糖への影響を予想することは容易ではありません。

ー蛋白質のおおい食事ー

蛋白質は血糖値を上昇させる作用は少しですが、ゆっくりとブドウ糖に変化され、食後5時間頃に血糖値の上昇が見られます。

ー脂肪の多い食事ー

焼き肉、ピザ、揚げ物等、油を多く使用したメニュー等、脂肪の多い食事の場合、食後2時間の血糖値は急に上がることはありませんが、食後10時間〜翌朝の高血糖の原因になりやすいと言われています。

 
 カーボカウント療法の注意点

蛋白質と脂肪の食直後の血糖値上昇が遅いことから、これらを中心に食べると脂肪が蓄積されやすくなります。体重管理は大切ですから、カーボカウント療法でも全体のエネルギーオーバーには注意が必要です。

ーカーボカウント療法のメリットー

カーボカウント療法は炭水化物以外の計算を厳密にする必要がないので、食品交換表よりも簡単で、メニューの幅が広がり食事の自由度を高くすることができます。

ーカーボカウント療法のデメリットー

カーボ数が同じでも調理方法によって血糖上昇が異なることがあります。また食事内容に応じて血糖管理をしていくという、自己管理能力が必要な療法です。
 
《おわりに》
 
カーボカウント療法はやや血糖が気になりだした境界域の方から、インスリン療法を導入している方まで等しく適応できます。
 次回は糖質はどのような食品に含まれているか等をおはなし痛いと思います。(S.T)
 
ページトップへ
 

2013.12.13

今回は、最近CM等でも流れていてみなさんも一度はお聞きになった事があると思います「肺炎球菌ワクチン」についてお話させていただきます。
 
 みなさんは、現在、肺炎が日本人の死因の第3位であるとご存じでしょうか?
また、肺炎によって亡くなる方の95%以上が65歳以上の方だといわれています。
 肺炎と聞くと、風邪をこじらせてかかる病気、冬に多い病気などといったイメ―ジをお持ちの方も多いと思います。確かに、肺炎の多くは風邪の症状とよく似ています。主な症状は、発熱が続く、痰をともなう咳が続く、息苦しさや胸の痛みなどがあります。
 肺炎は、細菌やウイルスなどがからだに入り込んで起こる肺の炎症です。この、肺炎の原因となる細菌やウイルスはさまざまな種類のものがあります。このなかで、肺炎を起こす最も多い原因菌が「肺炎球菌」です。
 
 肺炎球菌は、多くの健康な人の鼻やのどや気道に、また、日常生活の中にも存在しています。からだの抵抗力(免疫力)が弱まったとき、例えば、風邪をひいてしまった時やインフルエンザにかかってしまった時、糖尿病や呼吸器疾患、心臓疾患がある、加齢により体力が衰えたときなどに感染を起こしやすくなります。また、小さなお子さんは、肺炎球菌に対する抵抗力を持っていないので、細菌が耳で炎症を起こすと中耳炎に、肺で起こすと肺炎に、血液中で起こすと敗血症、脳や脊髄を覆っている髄膜の中で起こすと細菌性髄膜炎を発症してしまいます。
 肺炎の原因菌は季節を問わず存在しています。もちろん、風邪や季節性のインフルエンザがきっかけとなる場合がありますが、基本的に肺炎は季節に関係なくかかる可能性はあります。
 まずは、肺炎の原因菌である細菌やウイルスがからだに入り込まないように日頃から肺炎の予防を習慣化しておくことが大切です。
 
肺炎予防の一環として出来ることがいくつかありますのでぜひ参考にしてください。

一つ目は、毎日の感染予防を心がけてください。

・手荒い、うがいをこまめに行い、外出の時にはマスクを着用しましょう。
・歯磨きなどをして口腔内を清潔にしましょう。
・誤嚥(ごえん)を防ぎましょう。
(誤嚥とは、飲み込む運動がうまくいかなくなり、本来、食道に入るはずの唾液や飲食物などが誤って気管に入ってしまうことです。)

二つ目は、からだの免疫力を高めるようにしてください。

・喫煙をしている方は禁煙をしましょう。
・早寝早起きをし、規則正しい生活をしましょう。
・基礎疾患の治療を受けましょう。

三つ目は、予防接種を受けましょう。

・「肺炎球菌ワクチン」を接種しておくと肺炎の予防になり、もし肺炎にかかっても軽い症状で済む効果が期待されます。
 肺炎球菌ワクチンの特徴は、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、重症化を防ぎます。
 接種してから免疫(抗体)ができるまではおおよそ3週間ほどです。
個人の健康状態によっても異なりますが、1回の接種で5年以上免疫(抗体)は持続するといわれています。副作用もほとんどないワクチンですが、まれに接種した部分が赤く脹れる、痛みが出ることがありますがいずれも通常2~3日で治まってきます。
 
最後に、よくあるご質問を紹介します。

Q 免疫(抗体)はどのぐらいの期間持つの?

A 免疫(抗体)は、5年以上持続するといわれています。

Q 5年を過ぎたら免疫(抗体)は無くなってしまいますか?

A 肺炎球菌ワクチンの効果ですが、接種後後1か月ほどで免疫(抗体)
  価は最高値となり、5年後でも約80%の免疫(抗体)価はあるといわれています。その後、徐々に免疫(抗体)は低下していきます。しかし、
  5年目以降も効果は残っているといわれています。

Q 何回も接種できるの?

A 2009年より2回目以降の接種が可能になりました。
    しかし、5年以内に再接種を受けると注射部位に痛みや脹れなどの副
    反応が強く出る事があり、1回目の接種から十分な間隔をおく必要が
    あります。
    また、再接種を何回受けなければいけないという決まりはありません。
    再接種の必要性やタイミングなどはおひとりおひとりの体調によって
    も異なるのでその際は医師にご相談ください。  
 
 
 各務原市では、平成25年度より高齢者肺炎球菌予防接種の費用を一部助成
しています。
実施期間は、平成25年4月1日~平成26年3月31日までです。
対象は、市内在住の接種時70歳以上の方(過去5年以内に高齢者肺炎球菌予防接種を受けていない方)です。個人負担額は、各務原市の一部助成を受けられる方の場合は4000円です。
 肺炎球菌ワクチンの接種は当クリニックでも実施しています。(70歳未満の方の場合は自費(6300円)となります。) ご希望の方は事前に予約をお願いします。
受診時には、住所、年齢が確認できるもの(保険証など)、健康手帳(お持ちの方)
をご持参してください。
(K.H)
 
 
 
ページトップへ
 
 
 

2008.10〜2013.7

2013.7.25

 
風疹は、春先から初夏にかけて流行するといわれています。昨年は、2392人風疹にかかった方の人数が報告されています。今年、7月までの報告では、12469人との報告があり、このことからも流行とされ、最近話題となっています。
 都道府県別で見ると最も東京都が多く、大阪、神奈川、兵庫、千葉、埼玉県が多いと報告されています。東京都が2987人にたいして岐阜県は7月時点で、18人と低めです。

現在風疹の感染者の方の割合で20代から40代の男性の方が、多いといわれています。1977年8月(現在36歳)より1995年4月(現在18歳)までの間は、女子中学生のみ風疹の予防接種を行っていたため、その年代の男性の感染が多いのではと言われています。風疹は、潜伏期間2〜3週(14日〜21日)、主に発疹(突然全身性の斑状丘疹状発疹)発熱、リンパ節腫脹(耳介後部、後頭部、後頚部)が認められると言われています。風疹ウィルスは、咽頭から排出されて飛沫感染します。発疹の出る2〜3日前から発疹が出た後の5日間くらいまでは感染力があるといわれています。発疹も約3日程度で落ち着くとのことで「3日ばしか」とも呼ばれています。思春期以降での感染では、多関節痛、多関節症を合併することもありますが、女性に多いといわれています。また、血小板減少性紫斑病、脳炎などを合併することがあります。

 妊娠中に風疹に感染すると、生まれてくる赤ちゃんが風疹ウィルスに感染してしまう先天性風疹症候群(CRS)が問題となっています。妊娠週数が早いほど障害の発生率が高くなり、症状も重くなります。妊娠2ヶ月までに感染すると白内障になる可能性が高くなり、3ヶ月までに感染すると心臓の異常、5ヶ月までの感染では、難聴になる可能性が高いと報告されています。生まれてくる赤ちゃんのためにも、今から妊娠を考えている方々には、とても大切なことであると思います。そのため、抗体があるか不明な場合や、いままでのワクチン接種状況が分からない場合など、抗体検査をすることをおすすめしています。血液にて検査することができます。いくつかの検査方法がありますが、HI法では、男性で16倍以上、女性で32倍以上が望ましいといわれています。

ワクチンには、風疹ワクチン単独のワクチンとMRワクチン(麻疹、風疹ワクチン混合ワクチン)があります。現在ワクチンの数より接種を希望される方が多く、ワクチンの供給が追いつかないため接種をすぐに出来ないこともあります。MRワクチンは定期接種として第1期 1歳から2歳の子、第二期 5歳〜7歳(就学前1年間の子)が接種しているワクチンでもあり、ワクチンの数は少なめといわれています。そのため、事前に医療機関にて確認していただく必要があります。

各務原市では、妊娠を希望している方、可能性のある方、妊娠している女性の夫の方は、チェックリストを実施してもらい、該当する方に対しては、公費にて接種することができます。

ワクチンを接種する際、妊娠を希望し接種される方など女性の方は、あらかじめ1ヶ月避妊した後にワクチン接種すること、ワクチン接種後約2ヶ月間は妊娠しないように注意が必要です。

接種当日は、接種部位を清潔に保ち、いつも通りの生活をしていただいて大丈夫です。過度な運動は避けてください。入浴はしていただいていいですが、注射部位をこするのは避けてください。

接種を受けた直後、または数時間たってから、アレルギー症状(発疹、じんましんなど)が出た場合は、すみやかに医療機関へ受診してください。又、高熱やけいれんなど、体調の変化が現れた時も受診してください。接種部位が腫れたり、痛んだりすることもありますが、一過性で通常2−3日で治ります。接種後1−2週後に発熱や発疹の症状が出ることもありますが、一過性で通常1−3日で治ります。少しでも心配なときは、接種を受けた病院へ受診してください。

風疹ワクチン、MRワクチンを受けた方は、次回予防接種を受ける予定のある方は、27日以上あけてください。近日中に予防接種する場合は、今回と反対の腕にうけていただいたほうが良いとおもいます。

ワクチン接種後抗体がつくのに6〜8週間はかかるといわれています。

抗体検査についても迷っている方、ワクチンについて気になる方などいつでもご相談ください。(J.I)
 
ページトップへ
 

2013.7.11

 

“はじめに”
 
 
運動療法は食事療法と並んで、糖尿病の基本となるものです。
肥満の解消だけでなくインスリンの効きを良くした脂質代謝を改善するなど、様々な効果があります。

〜治療に効果的な運動方法〜

① 運動の種類:酸素をたくさん取り入れる運動⇒「有酸素運動」ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車などが効果的。
② 運動の強度:自分自身の限界とされる運動の強度を100%とすると糖尿病の運動療法ではその40~60%が適度。汗がにじみ出る程度が効果的。
③ 継続時間:脂肪を燃やすためには最低でも20分以上継続し、1日2回行うと効果的。
④ 実施時間:運動を行う時間帯は血糖値が上がる食後1~2時間の間に行うことが血糖値を下げるには効果的。
⑤ 運動の頻度:毎回の運動で直接ブドウ糖を消費する事ではなく長時間続ける事でエネルギーの消費を円滑にしていくので、出来れば毎日少なくとも週3回は行う事が大切。

 

〜運動療法の効果〜

 

① ブドウ糖の利用が増え、血糖値が下がる。筋肉でエネルギーが消費されるため、血液中のブドウ糖が筋肉に取り込まれるようになる。
② インスリン受容体が活性化し、インスリンの効きが良くなる。インスリン受容体の数が増え、働きが活性化する事で細胞内でのインスリン作用が高まり、血糖値が下がる。
③ 脂質代謝が改善される事による動脈硬化の予防。脂肪もエネルギー源として使われるため、血液中の中性脂肪が減り、動脈硬化の進行が抑えられる。
④ 筋肉量が増え、基礎代謝が高まる。エネルギー消費する最大の組織が筋肉である。筋肉量が増える事で安静時でも脂肪が燃焼されるようになる。
⑤ 血液循環が良くなり血液循環が良くなり、体力アップ、ストレス解消に効果的。糖尿病治療にとどまらず、健康的な生活を送るための総合的な効果が期待出来る。

 

〜運動療法を行う上での注意〜

 

① 食直後の運動は糖質の消化、吸収を悪くするので避けて下さい。
② 経口血糖降下薬やインスリンを用いている人は、早朝や空腹時の運動は低血糖を起こしやすいので注意が必要です。
③ 暑い時期での運動は、なるべく涼しい時間帯に行うようにし、運動中は水分の補給をこまめに取って下さい。
④ 運動中にめまい、頭痛、吐き気、頭がぼーっとするなどの症状が出た時にはすぐに運動を中止して水分補給し、涼しい場所で安静にして下さい。
⑤ 力むような運動、血圧が上がりやすい運動、無酸素運動は避けて下さい。
⑥ 血糖コントロールが悪い時など体調が悪い時の運動は避けて下さい。
⑦ 夕食後に運動を行うと夜間の血糖値が下がり、翌朝の血糖値も下がりやすい。しかしその分野感に低血糖を起こしやすきなるので注意が必要です。

 
 
おわりに
 
 運動は健康な状態を維持するために行うものです。運動が長く続けられるよう体調を看ながら無理をしないで行いましょう。(S.T)
 
ページトップへ
 
 

2013.1.28

”認知症“という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際どういった症状があるかなどは知らない事が多いと思います。
 現在認知症は、身近な病気だと言われています。1995年126万人認知症の方が見えましたが、2012年度は,305万人と言われています。このことからも年々認知症の方が増えたことが分かります。又、85歳以上の方は4人に一人が認知症であるとも言われています。
 
 年を重ねていくと、誰しも耳が遠くなったり、足腰が弱くなり、目がかすんだり、全身の器官の機能が衰えて病気にかかりやすくなります。脳も同様に能力が衰えていきますが、認知症は脳の障害であって老化とは少し違います。
物忘れがよくあるというのは多くの高齢の方が感じることだと思います。ここでは加齢によるもの忘れと脳の病気によるもの忘れとはどう違うかお話したいと思います。
 
 年をとると、同じ話を繰り返したり、物忘れが多くなり、頑固になったりすることがあります。お昼ごはんに何を食べたか思い出せないなど出来事の一部を忘れてしまう事はあると思いますが、食事したときの状況などなにかヒントがあれば思い出せたりします。例えば、食事をした時、誰と食べたか(家族、友人の名前などを言ってあげる)食べた場所(自宅なのか、お店(場所やお店の様子)、何を食べたか(和食、中華、洋食など食事の種類)を話していくうちに思い出される事だと思います。しかし、認知症の方はそういった経験の記憶(エピソード記憶)が消失しているので、どんなにその時の話をしても全く覚えがないので思い出すことが出来ません。老化に伴う症状は、誰でも起こりますが、すべてが認知症ではないです。
認知症の方は、忘れているという自覚がなく、体験のすべてを忘れてしまっていて、例えば、ご飯を食べたこと自体忘れてしまい、ご飯を食べたすぐに「ご飯を食べてないけど、ご飯はまだかな?」と言ってご飯の催促をしたりします。自分のいる場所が分からなくなり、家に帰れなくなってしまうこともあります。
普段とても穏やかな方が、人格が変わってしまい、怒りやすくなったりすることもあります。ひどくなっていくと、昼と夜の区別がつかなかったり、夏に冬の服装をしたりすることがあり、普段の生活に支障が出できてしまいます。個人差があり、認知症はゆっくりと進行していく病気です。
認知症は、何らかの原因によって、脳の機能が低下し、慢性的に記憶が抜け落ちたりして、徘徊(はいかい)家を一人で出て行き家の帰り方が分からずひたすら歩き遠いところまで行ってしまう事もあったり、幻覚などの症状が現れたり、騒いだり、暴れてしまうこともあり、家族の方や周りの方がどう対応していいのかと困ることも出てくると思います。認知症は、徐々に進行していく病気であり、原因や症状によっては周りの人や対応や治療で、症状の進行を抑え、改善することも期待できます。
 
認知症の原因疾患として

 
認知症は、大きく分類すると

 
認知症は、原因が複雑にからみあって、起こるといわれています。高齢になるほど発症する率も高くなります。
 
[脳血管性認知症]
動脈硬化が進行して、脳の血管がつまり(脳梗塞)、血管が破れること(脳出血)により発症する病気です。頭痛、めまい、しびれなどの症状や方麻痺などの神経所見を伴うことが多いです。男性に多く、脳血管障害の30~40%が認知症を起こすと言われています。
<主な症状>としては
 歩行障害(小刻み歩行)が見られ、頻尿や尿失禁、嚥下障害が起こることもあります。意欲低下もあり、高齢でない人にも起こる病気です。
 人格は比較的末期まで保たれていると言われています。
 
[アルツハイマー型認知症]
 
Bアミロイドとタンパク質がたまり、老人斑が沈着し、周りの神経細胞が死滅してしまい、脳の萎縮がおこり、発症する認知症ですが、その原因は今のところよく分からないと言われています。70歳前後の女性に多いと言われており、年齢を重ねるにつれて増加が見られます。特に記憶を司る海馬という部分が萎縮し大脳皮質全体に萎縮が広がると言われています。徐々に発症、進行していき、初期にうつ状態や被害妄想などが見られることもあります。以前の性格と異なった激しい性格になることがあります。
例えば、日常生活の変化としては、同じ事を繰り返し話したり、物の置き場所が分からなくなり、みつける事が出来ず、人のせいにしたりすることがあります。些細なことでも怒ってしまうこともあり、場所や日時、服を着たりする動作や行動が思いどおり行えない事があります。買い物や料理を(計画して段取りするなど)今までしてきた事が出来なくなってきてしまいます。又、周囲の環境、関わりの中で幻覚、妄想、抑うつ、せん妄など見られたりもします。一人で外出したものの、帰り道が分からなくなり、歩きまわり家に帰れないこともあります。認知症と間違いやすい病気もあります。うつ病などは、認知症と同じような症状が見られることがあります。その他薬の副作用により起こることもあります。老年期のうつ病であれば、治療によって症状が改善されると言われています。認知症は、記憶力や判断力の低下によって、日常生活に様々な問題がおきてきます。認知症の症状が出てきた時、家族の方々は今までとは違うことに驚き、ご本人も今までとちがう事に戸惑っていることもあると思います。
 
介護する家族の方々、まわりの方々が、認知症とはどういった症状なのかという事など、病気により、様々な症状がでているということを知っていただけたら認知症の方々の気持ちやその方らしい生活に近づけるのではないでしょうか。介護される方々も一生懸命介護されていると思います。介護を一人で抱えたりせず、多くの方に協力を得たりすることも大事な事です。
なかなかいい言いづらい事柄もあり、相談したくても迷っている方もあるかと思います。認知症によって失われた記憶や機能を回復させ、完全に治す薬はありませんが、進行を遅らせ、症状を緩和したりすることにより今ある問題行動などをコントロールすることは可能です。認知症は徐々に進行していく病気であり、普段の生活の中で気になることが出てきたら、一度病院で相談してください。
認知症は、精神科や神経内科が専門ではありますが、なかなか行きづらく、ご本人が病気だという自覚がないので、受診を嫌がる場合もあります。普段かかってみえるかかりつけ医の先生であれば、話しやすいでしょう。相談されることで必要な場合は、専門病院に紹介していただけると思います。
ご本人も家族の方も相談することで、今の状況はどういった事からなのかという事も分かり、すっきりされる事もあると思います。
 
認知症は徐々に発症、進行していく病気のため、早期発見、早期治療が大切です。話にくい事柄もあると思いますが、気になる事があれば専門家にぜひ相談されることです。何か困った事など聞きたい事などありましたらいつでもお声をかけてください。(J.I)
 
 
 
ページトップへ

2012.10.30

前回、不整脈の種類についてのお話がありましたので、今回はその中のひとつであります「心房細動」」(しんぼうさいどう)についてお話しさせていただきます。
 心臓は、心筋と呼ばれる筋肉からできていて、一つの心臓は4つの部屋に分かれています。心臓の上の方の2つの部屋を「心房」といい、下の方の2つの部屋を「心室」といいます。心臓はこれらの部屋がタイミングよく収縮、拡張を繰り返すことで血液を効率よく全身に送るポンプとして働いています。心臓はこのポンプの働き(収縮、拡張)を1日約10万回も繰り返しています。
 では、心房細動とはどんな病気なのでしょうか?
簡単に言いますと、電気信号の異常が原因で心房が不規則に細かく動いてしまう不整脈です。
 心房細動は、最も多くみられる不整脈です。また、心房細動そのものは直ちに命を脅かす不整脈ではありません。加齢とともに増加するともいわれており、80歳代の約10%程度の割合でおこるといわれています。しかし、動悸などで日常生活に支障がでることがあるほか、心房内に血のかたまり(血栓)ができ、心臓から全身に飛んでいくことがあります。この血栓は血管の中枢部で詰まりやすく、脳梗塞の原因や心臓機能が低下して心不全をおこすことがあります。
心臓にできた血栓が原因でおこる脳梗塞を「心原性脳塞栓症」(しんげんせいのうそくせんしょう)といいます。心原性脳塞栓症をおこすと、寝たきりや失語症など重篤な後遺症を残す可能性が高いといわれています。
 では、なぜ心房細動がおこってしまうのでしょうか?
心房細動は、心臓に病気のある人だけでなく、ストレスや飲酒、喫煙、過労、睡眠不足などが誘因となり発症することもあるといわれています。また、加齢や他の病気(高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症など)に併発することもあるといわれています。さらに、心臓弁膜症、心筋症、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などの基礎疾患のある方は、心臓に負担がかかり心房細動を併発する可能性が高まるといわれています。
 心房細動では、次のような症状があります。
・動悸(脈のばらばら感)・胸の痛みや不快感・息切れ、呼吸困難・めまい、ふらつき・疲労感などです。しかし、心房細動は無症状のことも多く、また症状に気づかない方も多くみえ、定期健診の心電図検査などで初めてみつかる場合もあります。
 心房細動は、大きく3つの種類に分類されます。
  • 「発作性心房細動」

 心房細動の発作が時々おこるものです。発作は7日以内に治まります。強い動悸を自覚することがしばしばあり、日常生活で支障をきたすことがあります。

  • 「持続性心房細動」

 心房細動の発作が7日以上続き、自然に治まらないもの。心房細動に慣れてしまい、自覚症状を伴わないこともしばしばあります。

  • 「慢性(永続性)心房細動」

 心房細動が治まらず、正常な状態にもどらないもの。
これらの正確な診断にはさまざまな検査があります。基本となる検査は、「心電図検査」「心エコ-検査」などです。
心電図検査とは、両手首両足首の4か所と胸部の6か所に電極をつけて検査をします。心臓に流れる電気信号を波形として記録するものです。心房細動があると波形が不規則になり細かな波があらわれます。この心電図検査は短時間の記録ですので異常が見つかりにくい時もあります。そんな時は、24時間の生活を通して心臓の動きを記録する「ホルタ-型心電図(携帯型の心電図検査用具)」を装着し検査することでさらに詳しく記録することができます。
心エコ-検査とは、超音波を使って身体の外側から心臓の様子を観察する検査です。心臓のかたちや機能、心臓の血液のながれなどの異常がないかを検査します。
(これらの検査は当クリニックで行うことができます。)
 では、心房細動の治療はどんなものがあるのでしょうか?
 心房細動の治療は、心臓の拍動のリズムを正常に戻し合併症(脳梗塞など)の予防がいちばんの目的になります。
 治療は、「抗不整脈薬」による治療、「抗凝固薬」による治療、または「薬を使わない特殊な治療」などがあります。
 抗不整脈薬による治療には、「洞調律維持治療」(どうちょうりついじちりょう)といって、心房で起こっている細動を取り除いて心臓本来の正常心拍にコントロールする(リズムコントロール)治療と、「心拍数調節治療」といって、心房細動が起こったままで心拍数をコントロールする(レートコントロール)治療があります。
 リズムコントロール治療は、薬による治療と電気ショックによる治療があります。
薬による治療は、心臓の拍動を正常な状態に近づけることで自覚症状を軽減し患者さんの日常生活の質を改善します。「Naチャネル遮断薬」(ナトリウムチャネルしゃだんやく)、「Ca拮抗薬」(カルシウムきっこうやく)、「Kチャネル遮断薬」(カリウムチャネルしゃだんやく)などが使われます。
電気ショックによる治療は、電気的除細動器によって電気ショックを心臓に瞬間的に加え正常な拍動リズムを取り戻す治療法です。
レートコントロール治療は、心房細動が起こったままで心拍数をコントロールします。
心拍数を抑え、心臓の負担を軽減し心不全を予防します。心拍数を遅くする薬を服用して心拍数の調節をおこないます。「β遮断薬」(ベータしゃだんやく)、「Ca拮抗薬」、「ジキタリス製剤」などが使われます。
 心房細動が原因で起こる脳梗塞などの合併症を予防するために、「抗凝固薬」を使った治療があります。
心房細動が原因で、心房から心室への血液がスム―ズに流れず血液が固まりやすくなっています。これが固まり血栓をつくり、さらにこの血栓が血液にのって末梢の血管を塞いでしまうことがあります。脳の血管に流れ込むと脳梗塞をおこしてしまいます。そこで、血液が固まりやすくなっている状態を抗凝固薬によって改善します。「ビタミンK拮抗薬」と「直接トロンビン阻害薬」のいずれかを服用し予防します。例えば、ビタミンK拮抗薬ですと「ワーファリン」、直接トロンビン阻害薬ですと「プラザキサ」などの薬が使われます。
どちらも心房細動が原因でおこる脳梗塞の予防に対して有効な薬です。
これらの薬はそれぞれ特徴が異なるため、その特徴をしっかり理解したうえで服用し、継続をすることが大切です。必ず医師に指示された量や回数を守ってください。ご自分の判断で飲むのをやめてしまったり、薬の量や回数を変更したりすると、鼻血や歯茎などからの出血が続いてしまい脳梗塞を予防できないことがあります。(そのほか注意点もいくつかありますので医師や薬剤師の説明を受け、指示に従って服用してください。)
 また、薬を使わない治療に、「カテーテルアブレーション治療」や「心臓ぺースメーカー治療」などがあります。カテーテルアブレーションとは、異常な電気刺激を発生する部位を高周波で焼く治療です。心臓ぺースメーカ-とは、正常な機能を失った心臓に人工的な電気信号を送ることで本来の心臓の拍動を促す医療機器です。一時的な使用を前提とした体外式と、ずっと使用するための体内式(植込み式)のものがあります。(これらの治療のほか、心房細動手術といわれる外科的治療もあります。)
 治療中の生活で気をつけていただきたいことがいくつかあります。
 
お薬は、主治医の先生や薬剤師さんの指示に従って正しく服用し、しっかりと継続してください。
 
定期的な外来通院をお願いします。
 
高血圧や糖尿病などの生活習慣病には気をつけてください。
 
バランスのとれた食事をとってください。
 
ご自分に合った適度な運動をしてください。
 
過度な飲酒、または喫煙は控えめにお願いします。
 
十分な睡眠をとり、疲労をためないようにしてください。
 
心房細動は、きちんと管理、治療を行えば決して怖い病気ではありません。早期に発見し、適切な治療をおこなってください。また、規則正しい生活習慣を心掛けていただき、いつまでも健康で暮らしていただきたいと願っています。
動悸や脈の乱れ、胸部の違和感などの症状でお悩みの方はいつでもお気軽にご相談ください。(K.H)
 
 
 
ページトップへ

2012.6.26

はじめに・・・》
 
食事療法は血糖コントロールだけでなく、体重、血圧,脂質の管理にも役立ちます。食事は生活習慣の中でも中心的なものなので、食習慣を変えるということがストレスになるという方もみえます。
ですが、全ての糖尿病において食事療法は基本です。
 食事療法の実践により、食事を変えるだけで糖尿病を予防することや、病態を改善出来ることもあります。
 
《食事療法の基本、栄養、バランス…》
 
*糖尿病での食事を考える時は

  • 適量をバランス良く
  • 規則正しい食事リズムで
  • 主食+主菜+副菜

 
*主食の栄養素は主に糖質です。
具体的には米、パン,穀類で、重要なエネルギー源となり、新陳代謝を活発にする役割があります。
 
*主菜の栄養素は主にタンパク質です。肉類、魚介類、卵、大豆で、筋肉や血液等、身体を構成します。脂質はエネルギーとなります。
 
*副菜の栄養素は主にビタミン,ミネラルです。
野菜、果物、牛乳、海藻、きのこ、小魚などで、ミネラルは体内で合成出来ない物質で、骨や歯、ホルモンを形成します。ビタミンは糖質、タンパク質、脂質の代謝を補う役割があります。
 
それぞれに意味と役割がありますので、主食だけどか、主菜のみというのはバランスの良い食事にはなりません。テーブルに茶碗やお皿が3つ以上並ぶように心がけて下さい。
 
《食事のポイント》
 
*腹八分目にしましょう。
 
*いもや炭水化物の多い野菜、種実、豆(大豆を除く)を多く食べる時は、主食のご飯やパン等を減らしましょう。
 
*主食を減らしすぎると副食が増加し易いので注意しましょう。
 
*脂質は控えめにし、油の使った料理は1日2品までにしましょう。
揚げ物は少量でもエネルギー量の高い食品なので、取り過ぎに注意しましょう。
(天ぷら、フライなどの揚げ物の衣は多量の油を吸収しているので衣を取り除くなどして食べましょう。
 
*主菜(魚、肉、卵,大豆)などは1食に1皿が良いです。
 
*食物繊維の多い食品を選びましょう。(生野菜なら両手1杯程度、温野菜なら片手に1杯程度)
 
*牛乳,果物は適量を摂りましょう
 
*嗜好品はルールを決めましょう。(毎日摂取しない、摂取する時は量を決める)
 
《終わりに…》

  • 食事療法は、正しい食習慣とともに適正な体重を保ちながら、日常生活に適度な運動、必要な量の食事をし、合併症が起こらないよう良い血糖コントロールを目指しましょう。
  • 果物は糖度が高く、血糖の上昇や血中の中性脂肪が増加してしまうこともあるので、食べ過ぎには注意して下さい。
  • 食物繊維は、血糖コントロールの改善に有効ですので、出来るだけ多くの種類の食品を摂取するよう心がけて下さい。

 
(S.T)
 
ページトップへ

2012.4.9

 

自分では手首の脈をみて不規則であれば不整脈であると言うことは分かります。例えば自分で不整脈を発見した場合、これは様子を見ていて大丈夫なのか?危険な不整脈ではないのか?病名や詳しいことは分からないので不安を感じることはあると思います。
 
 そこで今日は脈拍のはかり方や不整脈の種類のお話をしたいと思います。
 
 脈の数は50〜100回/分が正常値です。50以下を徐脈、100以上を頻脈と言います。運動した後に脈が速くなることは正常で、『洞性頻脈』(とうせいひんみゃく)といいます。運動後に通常に戻るなら心配はないです。
 
 動悸が起きた時にはまず安静にして下さい。それから脈を取ります。1分間に脈が何回打つか数えます。しっかり1分間計って下さい。
 脈と脈の間の間隔(リズム)は正しいかどうか、脈が飛んだりしていないか、脈の強弱はあるか、脈が以上に速かったり、逆に遅かったりしていないかどうかをみます。
 
 不整脈は大きく分けると次の4つのグループになります。
 
① 期外収縮グループ…心室性期外収縮・心房性期外収縮
② 頻脈性不整脈グループ…発作性頻拍症・心房細動・心房粗動
③ 徐脈的不整脈グループ…洞不全症候群・房室ブロック
④ 致命的不整脈グループ…心室頻拍・心室細動
 
 不整脈には発熱や痛みといった分かり易い症状はなく自覚症状は少ないことの方が多いです。ただし、期外収縮や頻脈性不整脈があると動悸を感じることが多くあります。
 発作性頻拍症や心房細動では動悸が続いたり、冷や汗、めまい、たちくらみなどの症状を感じることがあります。
 洞不全症候群・房室ブロックといった徐脈性不整脈では脈拍が減少することにより、有効な心臓の拍動が減少するため全身への血液の流量が減少し、脳への酸素供給が低下することにより、めまいがしたりひどい時には意識を失い倒れることも稀にあります。
 
 どのタイプの不整脈かを診断するのはやはり心電図の検査をしないと分かりません。
 心電図検査で不整脈が出ていたり、症状があれば心臓自体に病気があるかどうかを調べます。胸部のレントゲン検査や心臓の超音波検査が行われます。
 心臓は1日に約10万回収縮と拡張を繰り返しています。心電図はそのうちの8〜12心拍しか記録できないため、短時間の心電図検査ではたとえ不整脈があっても発見できないことがあります。
 診察の結果、不整脈が疑われると24時間心電図を記録する、『ホルター心電図検査』をします。24時間胸に電極を貼付けたままで小型の機械をウエストに取りつけて心電図を記録します。ホルター心電図検査の検査中に入浴は出来ません。それ以外は普段通りの生活をして頂きます。いつどんな状態で何をしている時か。運動している時か、安静にしている時か。どれだけの数の不整脈が出ているのか。不整脈は続いて出ているのか。狭心症は出ていないか。この検査では詳しくどんな不整脈がおこっているのかを知ることができます。
 
 当クリニックでも検査を受けることができますので、気になる方はお気軽にお尋ねくださいね。(Y.M)
ページトップへ

2011.10.25

 

最近、食べた後などに胃がムカムカしたり、胸が焼け付く感じが気になっている方は見えませんか?今回そういった症状が多く見られる逆流性食道炎についてお話したいと思います。
 
 胃酸が何らかの原因で食道へ逆流、また胃酸の食道内での停滞により、様々な症状、食道の炎症が見られます。例えば、次のような症状を訴えられる方が多いです。
・ゲップがよく出る
・食べた後、胃がムカムカする
・のどや口まで、すっぱいものがあがってくる
・胃がもたれる、おなかが張る
・食べるとものがつかえる感じがする
・胸が痛んだり、胃が痛んだりする
 時には、長引く咳、のどの違和感、よく眠れないなどの症状が出ることもあります。
 
 逆流性食道炎はどうして起こるの?と思われる方も見えると思います。
胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋という部分が緩んで食べ物や胃酸が逆流して起こります。
 食道炎の原因として最も多いのは、胃および十二指腸液の逆流による逆流性食道炎です。そのほか、カンジダなどの感染による食道炎異物などの機械的刺激や薬剤などによる食道炎もあります。
逆流性食道炎は、問診や内視鏡検査により診断されます。
 
<治療方針>
 胃・食道逆流の防止として、外科的手術、生活指導があげられます。
わが国では、軽症例が多く、有効な薬剤あることなどから、内科的治療が優先される場合が多いと考えられます。
<生活について>
症状を抑えるためにも、食生活は、調理法などを工夫し、消化の良いものを選んで食べてください。食べすぎにも注意してください。
食べ過ぎることにより胃酸分泌を増加させ、逆流の増加にもつながります。逆流を増加させる要因には、油分が多い食事、カフェイン、コーヒー、アルコール飲酒、喫煙、肥満、前かがみの姿勢があります。
食べる際、よく噛むことが大切で、脳の満腹中枢を刺激し、食欲を抑制し、内臓脂肪の分解を促進する効果もあります。食べすぎることが気になる方は、食事の前にコップ1杯程度の水を飲むことで、満腹感を得て、食べすぎを防止します。
食後にすぐ横になることは、胃酸の逆流を増強する行為なので、思い当る方は気をつけていただくと良いかと思います。
夜間睡眠時の上半身の軽度挙上や右側臥位をとらないことは、効果的な場合があるそうです。
また、日ごろから体を動かすことを心がけてみてください。
<治療>
一般的には、胃酸分泌抑制薬であり、食道内への逆流物の障害性の減弱が目的となります。プロトンポンプ阻害薬 (PPI製剤)の投与が中心となります。最低8週間の投与は必要であり、その後可能であれば、薬剤を減量していきます。減量が困難な場合もあり、比較的長時間使用されることがありますが、症状の経過をみながら、判断されます。
ストレスによって発症する例も多く、薬物療法に加えて根治を目的とした精神科治療を平行する場合もあります。
 
 医療機関にかかられる際は、気になる症状や起きるタイミングなどくわしくお話されるといいと思います。気になることがありましたら、いつでもお声をかけてください。(J.I)
ページトップへ

2008.6.30

 
今回は、「鉄欠乏性貧血」についてお話しさせていただきます。
 貧血には、「鉄欠乏性貧血」の他に、「悪性貧血」「再生不良性貧血」「溶血性貧血」「腎性貧血」など、たくさんの種類があります。この中で最も多くみられるのが「鉄欠乏性貧血」です。
 血液は、赤血球、白血球、血小板の3種類の血球成分と血漿からなっています。この中で、貧血に関係してくるのは赤血球です。赤血球は、ヘモグロビンを含み、その主な成分が鉄です。鉄は、蛋白質と結合して、血中や他の臓器に存在します。
 人の身体の中には、約3〜4gの鉄があり「機能鉄」と「貯蔵鉄」の2種類に分かれて存在しています。通常は鉄の約6割以上を機能鉄として使われていますが、身体の中にある機能鉄を使い切ってしまい身体の中で不足した時は、身体に蓄積された「貯蔵鉄」から供給されるという仕組みがあり、この貯蔵鉄も使い果たしてしまった時に貧血となってしまいます。
 機能鉄は、血液中で「ヘム鉄」として存在していて、貯蔵鉄は肝臓、脾臓、骨髄などに蓄えられています。
 貯蔵鉄が不足し「貧血」と診断されますと一般的に治療は鉄剤の投与がされますが、服用を始めると先ずは血液中の機能鉄の方から先に補給されますので、貯蔵鉄の補給はその後になってしまいます。つまり、機能鉄に比べて貯蔵鉄の補給は時間がかかりますがどれくらいで充分と判断するかは血液検査で血清フェリチンの数値によって決まります。
 赤血球の主な成分であるヘモグロビンは鉄分を含む構造をしているため、鉄の不足によってヘモグロビンがうまくつくれなくなり、ヘモグロビンが減少し全身への酸素の運搬が充分にできなくなるためさまざまな症状があらわれてきます。
 具体的な症状は、動悸、息切れ、頭痛、疲労感、立ちくらみ、顔面蒼白など一般的な症状の他、匙爪(ひづめ)といって、爪の中心がくぼんでスプーンのように反ったり、爪が割れやすくなったり、舌に食物がしみたり、口角炎ができやすくなったり、嚥下困難といって物が飲み込みにくくなってしまったり、瞼の裏が白っぽくなったり…などの症状があらわれます。
 では、なぜ鉄分が体内で欠乏してしまうのでしょうか?
原因には、子宮筋腫や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸がんなどの病気により慢性的に少しずつ出血していたり、女性の方は生理による出血などによって血液を失っている状態であったり、妊娠、出産、授乳中であったり…とさまざまな原因があります。
 鉄欠乏性貧血かどうかは、採血をして血液検査で分かります。
赤血球やヘモグロビン、ヘマトクリットの値や血清フェリチン値、不飽和鉄結合能(UIBC)などを調べます。
 血液検査の結果、ヘモグロビンが男性で14g/dl以下、女性で12g/dl以下、血清鉄の低下、血清不飽和鉄結合能(UIBC)、総鉄結合能(TIBC)の増加、トランスフェリン飽和率(血清鉄/TIBC)の低下(16%未満)などを認めた場合、鉄欠乏性貧血と診断されます。
 治療ですが、まず貧血の原因となる病気が併発していないかの究明が大切です。
鉄欠乏が原因で貧血になってしまっているのであれば、治療は鉄分の補給となります。
鉄分は不足してから補充するのはなかなか難しいので、不足する前から意識的に摂取することが大切です。
人は鉄を食品から摂り、1日に約1mgが十二指腸などで吸収され、殆ど同量を腸管から排泄します。女性の場合、生理時の出血で毎月30〜60mgの鉄を失ってしまうため特に女性は鉄分豊富な食品を知って食生活に取り入れていくことが大切です。
鉄欠乏性貧血のメニューで最も大切なことは、1日3回規則正しい食事を摂ることです。
私たちの身体には、たんぱく質、糖分、脂質、ミネラル、ビタミンが必要です。これらを含む食品を上手に組み合わせましょう。調理上の工夫としては、酸味や香辛料、香味野菜を上手に取り入れるとよいでしょう。酢や香味料は胃の粘膜を刺激するとともに胃酸の分泌をよくし鉄の吸収をよくします。(香味野菜はレバーなどの特有の臭みも消しますので一石二鳥ですね。) また、たんぱく質は身体を造るほか、生命の維持に不可欠なホルモンや酵素の材料として重要な栄養素です。血液中の赤血球の膜やヘモグロビンなどもたんぱく質からできています。身体のたんぱく質は毎日少しずつ作りかえられるので、肉類、魚介類、牛乳、乳製品、大豆、豆製品、卵などから毎日摂ることが大切です。
食物に含まれている鉄には、吸収が悪い緑黄色野菜、穀類、海藻類などに含まれている「非ヘム鉄」と、吸収が5倍もよいレバーなど主に肉類に含まれる「ヘム鉄」の2種類があります。普通、食事中の鉄の90%は非ヘム鉄です。鉄は1日0.5〜1mgほど失われています。成人の1日の鉄の摂取量は、男性では約10mg、女性では12mgくらいですから、貧血状態がよほど進んだ状態の人でない限りバランスのとれたメニューを心掛けていれば必要量は確保されていると思われます。
しかし、女性は先にもお話しましたが、毎月の生理で約30〜60mg出血し、鉄約15〜30mgを失います。ヘム鉄を多く含んだ食品(レバーや煮干し、ひじき豆腐など)を十分に摂り、鉄分だけでなくたんぱく質やビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸、銅など十分に摂り色々なものを偏りなく食べましょう。なお、野菜に含まれる非ヘム鉄は、吸収のよくない鉄分ですが動物性たんぱく質と一緒に摂ると逆に吸収がよくなります。
小松菜と豚肉を炒めたり、ほうれん草のグラタン、高野豆腐の卵とじなどメニューに取り入れてみてください。
 
 一方、食前、食後に緑茶やコーヒーを飲まれる方は多いと思いますが、これらに含まれるタンニンが鉄の吸収を悪くしてしまいます。ほうじ茶やウーロン茶などの方が鉄の吸収に支障はないでしょう。
 鉄欠乏性貧血の場合、食事療法だけでは改善は不十分なため、鉄剤の投与が必要になります。鉄剤には経口用鉄剤と、静注用鉄剤があります。基本的には経口用鉄剤が第一選択となりますが、経口用鉄剤の副作用(吐気、食欲不振など)が強い場合や、急速に貧血を改善しなければいけない場合、消化管病変などによって鉄吸収が障害されている時などは静注用鉄剤が選択されます。
 
 特定健診や健康診断の結果などで気になることがありましたら、いつでもご相談ください。(K.H)
 
ページトップへ

2011.3.6

 
---低血糖の症状には以下の症状を呈すると言われています---
*血糖値が正常範囲を超え急速に降下:発汗、不安、動悸、頻脈、手指振戦、顔面蒼白
*血糖値が50mg/dl程度に降下:頭痛、目のかすみ空腹感、眠気、生あくび
*血糖値が50mg/dl以下に降下:意識レベル低下、異常行動、けいれん、昏睡
 
---低血糖の誘因を知り、注意しましょう---
*薬物の量や種類の誤り
*食事の時間が遅れたり、食事量や炭水化物の摂取量が少ない場合
*入浴、飲酒時、運動中や運動後、長時間運動した日の夜間や早朝
 
---低血糖時の対応---
*経口摂取が可能な場合:ブドウ糖(5?10g)または、ブドウ糖を含む飲料水(150?200ml)摂取して下さい。
*経口摂取が不可能な場合:ブドウ糖や砂糖を口唇と歯肉の間に塗って下さい。
 
---注意事項---
*αーグルコシダーゼ阻害薬を服用中の方は必ずブドウ糖を選択して下さい。
*ブドウ糖以外の糖類では効果発現は遅れる。
*約15分後、なお低血糖が持続するようなら再度同量を摂取して下さい。
 
---シックディについて---
*糖尿病の方が治療中に発熱、下痢、嘔吐をきたし、食欲不振のために食事ができない時を「シックディ」と呼びます。インスリン非依存状態の方で、血糖コントロールが良好な場合でも、著しい高血糖が起こったり、ケトアシドーシスに陥ることがあります。
*シックディの対応
1.十分な水分摂取により脱水を防ぐ
2.食欲のないときには日頃食べ慣れていて口当たりがよく消化の良い食物を摂取
3.インスリン治療中の方は、食事がとれなくても自己判断でインスリン注射を中断しない
4.発熱、消化器症状が強いときは、必ず医療機関を受診する
5.自己血糖測定により血糖値の動きを3〜4時間ごとに測定し、血糖値200mg/dlを超えてさらに上昇の傾向が見られたらその都度速攻型または超速攻型インスリンを2〜4単位追加する
(S.T)
 
ページトップへ

2010.11.6

 今回は、近年世界中で増加の一途をたどっており、今後も増え続けると予測されている「慢性閉塞性肺疾患」についてお話します。 
 
 慢性閉塞性肺疾患とは、英語の「chronic(慢性)obstructive (閉塞性)pulmonary(肺)disease (疾患)」の頭文字をとって一般的な略称で「COPD(シーオーピーディー)」と呼ばれています。
 COPDとはひとつの病気ではなく、慢性気管支炎や肺気腫、びまん性汎細気管支炎など長期にわたり気道が閉塞状態になる病気の総称をいいます。これらの病気は長い時間をかけて気道(空気の通り道)が閉塞(せまくなる、つまる)した状態になることが特徴です。
 具体的には、一回の呼吸で吐き出される空気の量が減少することによって、肺の酸素交換がスムーズにいかなくなってしまいます。そのため、肺活量そのものには変化はないものの普段の呼吸に息苦しさを感じるようになります。
 COPDは進行性の病気といわれています。そのため症状も段階によって異なります。
 初期の症状にみられるのは、咳や痰が出やすくなり、少し身体を動かしただけで息切れを感じます。特に階段を上り下りした時や、坂道を上る時に息切れを感じ始めます。
 さらに進行すると咳や痰が続き、入浴や普段の着替えなどのちょっとした動作でも息切れを感じるようになります。
 しつこく続く咳や痰、風邪をひいた時や運動をした時の喘鳴(ぜいぜいする)などもCOPDの症状といわれています。
 
 COPDの主な原因は喫煙です。
COPD患者さんのおよそ90%は喫煙者といわれています。COPDは別名「タバコ病」や「肺の生活習慣病」とも呼ばれるように、主に喫煙者、喫煙歴のある人に多い病気です。 タバコの煙に含まれる有害な物質(ニコチンやタールなど)を吸い続けると、気管支や肺を傷つけ肺胞が壊れたり気管支に炎症が起きたりします。
タバコの煙には喫煙により直接吸い込まれる「主流煙」と、タバコの火が付いた部分から立ち上る「副流煙」があります。非喫煙者であっても周囲にいる喫煙者のタバコの煙(副流煙)を吸い込んでしまう「受動喫煙」も発症の原因となる可能性が指摘されています。
 その他の原因として、大気汚染があります。
大気汚染はCOPDの発症や呼吸気疾患による死亡率上昇に関係し、肺機能の低下とも関係しているといわれています。その他、炭鉱労働者や金属鉱山労働者、トンネル採掘労働者、紡績工場労働者などの職業性粉塵曝露なども肺に悪影響を与える原因となる可能性もいわれています。
(その他、遺伝子異常や老化、免疫異常、持続感染なども原因として考えられています。)
 
 
 COPDの診断は以下のような検査があります。
COPDが疑われても、早期には胸部X線検査や身体所見では異常を呈さないことが多いため、「スパイロメトリー」という検査が必要となります。スパイロメーターと呼ばれる器械を使い呼吸機能を調べます。肺活量と、息を吐くときの空気の通りやすさを調べます。思い切り息を吸い込んだあとにできるだけ早く吐き出し、吐ききるまでを測定します。
 息を最大限に吸えるだけ吸い、それを思い切り強く吐き出した息の最大量を「努力性肺活量」(FVC)と呼び、最初の1秒間に吐き出せる息の量を「1秒量」(FEV1)と呼びます。この、「1秒量」(FEV1)を「努力性肺活量」(FVC)で割った値を「1秒率」(FEV1%)と呼びます。このFEV1%が70%未満の場合COPDの可能性があると考えられます。
1秒量(FEV1)は、25歳から30歳くらいの頃が一生のうちで一番値が大きく、健康な人でも年をとるにつれゆるやかに低下していくことが分かっています。80歳、90歳になれば30歳の頃と比較すると大きく低下していきますが、その年齢での普通の生活をするには支障はないと考えられます。年をとると誰でも多少の息切れがでてくると思われますが、COPDの患者さんは急速に低下することがわかっています。
肺の様子や横隔膜の状態などを調べるために、胸部X線検査やCT検査も行われます。
COPDの患者さんは、正常な人に比べてはいが大きくなっていたり、横隔膜が平らになっていたりするからです。
 その他、動脈の血液中に酸素がどの程度充足しているかを血液検査で調べたり、呼吸困難と心臓との関係を調べるために心電図検査なども行われます。
 
 COPDの治療は、重症度によって異なりますが、少しでも早い段階で適切な治療を開始することにより病気の進行を遅らせ、息切れなどの自覚症状を軽くし、運動能力を高めて健康状態の悪化を防ぐことができます。
 COPDの治療の第一歩は「禁煙」です。
喫煙習慣を断つことで病気の進行を大幅に遅らせることができ、症状を楽にすることができます。一日一箱より多く吸う場合には、タバコに含まれるニコチンへの依存度が高いと考えられています。ニコチンの依存から離脱するには、やはり最初はつらくてもタバコの本数を徐々に減らすより一気に断つのが効果的といわれています。(タバコに対する依存性の強い人には、禁煙外来にて専門医の指導のもとニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチン代替療法といった治療方法もあります。)
次に、薬を使った治療ですが、先にも述べましたがCOPDは重症度に合わせて薬も違ってきます。まず、基本となる薬は気管支を広げて呼吸を楽にする「気管支拡張薬」です。これは吸入器を使って口から吸入するタイプの薬(吸入薬)が多いです。薬を吸入することで飲み薬と比べて少ない分量で気管支に高濃度でゆきわたり、直接気管支に到着するため効果も早く現れます。また、全身の副作用も飲み薬よりも少ないといわれています。
その他、痰をとりやすくする「去痰薬」や咳をおさえる「鎮咳薬」、感染を防ぐ「抗生物質」などもつかわれます。増悪を繰り返す場合には「吸入ステロイド薬」を使う場合もあります。
COPDの患者さんは風邪やインフルエンザなどに感染したりすることで急激に症状が悪化してしまう(急性増悪)場合があります。増悪を防ぐためにもインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が重要です。また、風邪をひかないよう人混みは避け、帰宅したら手荒いうがいを忘れずに行って下さい。また、十分な睡眠をとり栄養のあるバランスのとれた食事をとりましょう。
 
禁煙、薬物療法の他に、酸素療法、呼吸理学療法もあります。
酸素療法とは、肺機能の低下が進むと普通の呼吸では十分に酸素が取り込みにくくなり、血液中の酸素が低下してしまい、低酸素血症を起こし呼吸不全という症状に陥ってしまいます。家庭で持続的に酸素を吸入する「在宅酸素療法」を行うことで、脳、心臓、肝臓などの各臓器に酸素が満ち足りて臓器を正常に働くようにする療法です。
呼吸理学療法とは、専門医の指導ものと、「口すぼめ呼吸」と呼ばれる呼吸方法や腹式呼吸を行い、息切れや呼吸困難などの症状をやわらげます。
COPDの治療の中心は内科的治療ですが、さまざまな内科的治療を行っても症状が改善しない場合、外科的な治療が行われることがあります。
 
COPDの患者さんにとって、風邪は大敵です。冬が近づいたらインフルエンザワクチンを接種しましょう。
 
最後に、COPDは、患者さんの呼吸機能と呼吸器に関する症状の程度を併せて全体的に病態を把握した上で治療が行われます。COPDについてよく知り医師とともに積極的に治療に取り組みましょう。(K.H)
ページトップへ

2010.10.1

インフルエンザは通常初冬から春先にかけて毎年流行します。
昨年度は新型インフルエンザが世界的大流行となり、心配された方々も数多くいたのではと思います。
新型インフルエンザとは、これまで流行していたウイルスとは別の抗原性をもつ動物のインフルエンザが、人の体内で増殖できる様に変化し、人から人へ感染を起こすことを言います。
2009年度世界中でパンデミックとなった新型インフルエンザはブタから人へ感染したウイルスであるため、発生当初はブタインフルエンザと呼ばれていました。
 感染者は若い年齢層が多かったと報告されており、主に10代後半〜20歳代に多く、高齢者では患者が少なかったと言われています。通常ほとんどの患者さんは、自然回復できるといわれています。しかし、慢性疾患(糖尿病、心臓疾患、呼吸器疾患、人工透析患者、免疫抑制状態、妊婦さん)では、重症化傾向になると言われていました。合併症を引き起こすことにより、大きな被害や生命の危険を引き起こすことになります。
 
 インフルエンザ発症後早期に抗インフルエンザウイルス薬を投与することによって、有熱期間が短縮すると言われています。
ワクチン接種を行うことにより、罹患しても症状の重症化を抑えることができ、合併症を併発し、死亡する危険性を抑えられます。
 昨年度は、優先接種者、接種スケジュールに沿ってのワクチン接種でしたが、今年は接種ご希望の方に提供させていただくことができます。昨年度は、季節性インフルエンザと新型インフルエンザワクチン接種をそれぞれ接種していただきました。
今年度は、1つのワクチンの中に従来の季節性ワクチンと新型ワクチンが入っていますので、同時に接種することができます。
 
 《今年の株》 3つの株が混合された3価ワクチンです。
       A型/H3N2
       B型 
       A型/H1N1
 
 《インフルエンザワクチンの接種量と接種回数》
             接種量      回数
1歳未満        0.1ml     2回
1歳以上〜6歳未満   0.2ml     2回
6歳以上〜13歳未満  0.3ml     2回
13歳以上       0.5ml     1回
 
2回接種される場合、接種間隔は、1〜4週間
免疫効果を考慮すると、4週おくことが望ましいと言われています。
 
さて、10月よりワクチンの流通が始まりました。
現在ワクチンは十分に製造されているということですが、ワクチン確保のため、予約をしていただいております。ご希望の方は気軽にご相談ください。
 
生後6ヶ月〜中3まで    1回2,400円 
高3に該当する年齢〜64歳 1回3,000円
市内在住の65歳以上の方  1回1,500円
(J.I)
ページトップへ

2010.06.05
 

日本の高血圧患者は現在4000万人と言われています。
メタボリックシンドロームや糖尿病の増加、慢性腎臓病の増加などが問題となっていて、それらの病気も考慮した高血圧治療が重要になってきています。
 以前は血圧レベルの分類を軽症、中等症、重症としていましたが、軽症であっても高リスク高血圧である場合があるため、高血圧治療ガイドライン2009年版(JSH2009)では、軽度をⅠ度、中等症をⅡ度、重症をⅢ度と置き換えられました。
 
《高血圧の基準値》   140/90mmHg 以上
《降圧目標》  
若年者・中年者の場合 130/85mmHg未満
糖尿病、慢性腎臓病、心筋梗塞後 130/80mmHg未満
脳血管障害、高齢者の場合 140/90mmHg未満
 
高血圧の治療目的は、脳梗塞、心筋梗塞の予防と言っても良いでしょう。
降圧治療は生活習慣の改善と降圧薬で行います。現在ではすぐれた降圧剤があり、比較的容易に血圧のコントロールが出来ますが、薬物療法のみでは十分な降圧が出来ないため、食事や運動、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣は、高血圧のみならず脂質異常症や肥満など、ほかの動脈硬化の危険因子にも大きく影響するので、生活習慣の見直しが必要です。
 
《生活習慣の改善》
 
☆食塩の制限…………
食塩が身体の中に多く入ると、その塩分を薄めるために水も増えてしまい、血液の量と脈拍数が増え血圧が上昇してしまいます。
 現在日本人の平均食塩摂取量は10~12gと言われています。ですが高血圧の方はこれを1日6g以下にする必要があります。味付けを薄味にしたり、加工食品、インスタント食品を控えるなどの注意が必要です。
 
☆カリウムの多い野菜や果物を摂る…………
カリウムには腎臓でナトリウムの排泄を促す作用があるので、カリウムを積極的に摂取すると良いです。カリウムは新鮮な野菜や果物に多く含まれています。ただし重篤な腎障害を伴う人は高カリウム血症を来す場合があるので、野菜や果物の積極的摂取は控えて下さい。
また糖分が多い果物の過剰摂取は控えましょう。
 
☆禁煙…………
煙草を吸うと一時的に血圧が上がります。煙草自体が動脈硬化の危険因子です。
また、心筋梗塞や狭心症の発作の引き金になりますので、禁煙することをお勧めします。
 
☆節酒…………
アルコールを飲めば飲むほど血圧が上がります。
適量…ビール  大瓶1本
   日本酒  Ⅰ合
   ウイスキー ダブル1杯
   ウオッカ  ダブル1杯
   ワイン   グラス2杯
   カクテル  グラス1杯
 
☆適正体重の維持…………
肥満は高血圧の重要な危険因子です。肥満を解消すると血圧も下がってきます。
BMI [体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)] が25を超えないようにしましょう。[BMI=Body Mass Index]
内臓脂肪が多い人ほど血圧が高いので
腹囲が、男性=85cm未満、女性=90cm未満を目標に減量して下さい。
 
☆運動…………
適度な運動で血圧が下がります。身体がリラックスし自律神経のバランスが良くなるからです)
心血管病のない人が対象で、運動はウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を1日30分ほど行うと効果的です。
時間のない人は1日1時間の運動を週2回でも行って下さい。
 
☆その他…………
規則正しい生活を送り、休憩や睡眠を十分に取りましょう。
寒さに気をつけましょう。浴室や脱衣場をあらかじめ暖めておくなどの工夫をしましょう。
便通に気をつけましょう。排便時のいきみは血圧を下げます)
入浴は38~41度ほどのぬるめの湯温にしましょう。
 
 
 ご両親、ご兄弟に高血圧の方がみえる方、糖尿病、肥満、脂質異常症などのある方、健診で時々血圧が高いと言われている方などは、知らない間に普段の血圧も高くなっていることがあります。
 まず、生活習慣を改善し、降圧が困難であれば一度、病院に受診することをお勧めします。(S.T)
ページトップへ

2008.4.2

 
腎疾患は自覚症状に乏しく、発見が遅れてしまい、腎機能が低下してしまうことが多くあります。微量の蛋白尿が出現し始める早期の主な治療は、生活習慣の見直しです。その中で最も重要なのが食生活の改善となります。
 今回はCKD患者さんの食事についてお話します。
 
1.塩分を控えるための工夫をしましょう
 元々私たち日本人は塩分を取りすぎていると言われています。
 CKDの患者さんは特に血圧によらず1日6?7g以下の塩分制限が必要です。何故塩分制限をするのかと言うと、高血圧やむくみの対策のためです。
 腎臓には血圧を上げたり下げたりするホルモンを産生する働きがあり、腎機能が進行するにつれて高血圧を引き起こします。
 また腎臓では尿も作られており、塩分をたくさん摂取することで水分を摂りすぎる原因にもなり、腎臓にさらに負担をかけることになります。そのため塩分を控える必要があるのです。
 
 まずはよく食べている食品に何gの塩分が含まれているか調べましょう。
例えば…
食品100g中→みそ汁だと2.2g 塩鮭1.8g ラーメン3~5.4g  うどん3.7g  カレーライス1.4g たくあん3切れには1.3g と知らないうちに塩分を摂っています。
 調味料の工夫や、既製品の食品であればパッケージ裏の栄養成分表のナトリウムや塩分の含有量を確認する癖をつけ、塩分の多い食品を避けましょう。
 
《塩分コントロールのコツ》
・醤油やソースなどの調味料は、料理にかけずに小皿に入れて少量ずつつけて食べる
・そば、ラーメンなどの汁は飲まないようにする
・レモン、酢、香辛料を加えてみる
・だしやキノコのうまみをきかせる(市販のだしの素には塩が含まれているものがあるので注意する)
・調味料は目分量ではなく計量して使用する
・全ての料理を薄味にするのではなく、ややしっかりしたものと極力抑えるものとで、味付けにメリハリを付ける
 
2.低タンパク、高エネルギーを保ちましょう
 タンパク質の摂取制限は0.8~0.6g/kg/日
 エネルギー量は30~35kcal/kg/日 です。
 従って標準体重50kgの人はタンパク質は1日40g、エネルギーは1日1750kcalとなります。
タンパク質摂取を抑える理由はその消化の仕方にあります。タンパク質は体内で骨や筋肉を作ったり、エネルギー源となり、最終的には二酸化炭素と水と老廃物になって腎臓で濾過されます。ですからタンパク質をたくさん摂取すると腎臓に負担がかかってしまうのです。
 しかし、エネルギー源となるタンパク質を制限すると、どうしてもエネルギー不足となりがちです。そのため、高エネルギー食が必要なのです。
 高エネルギー食とは、エネルギー不足となる炭水化物や脂質、糖質を中心とした食事です。炭水化物や脂質は体内で消化吸収され、エネルギー源となり、最終的には二酸化炭素と水になって排出されるので腎臓に負担をかけません。以上のことから、低タンパク、高エネルギーを保つ必要があるのです。
 
3.糖尿病とCKDの食事療法の違いを知りましょう。
 糖尿病は患者さんの適正エネルギーを決め、その範囲内で栄養素をバランスよくとるようにします。エネルギー量は一般的な摂取量よりも低めで、特に血糖値が上昇し易い炭水化物や糖質、エネルギー量が増えてしまう脂質を抑えた食事が中心となります。
 一方、CKDは上で述べたように塩分とタンパク質を制限した食事です。さらに総エネルギー量を維持するために脂質と炭水化物で補うようにします。
 このことからCKDと糖尿病では正反対の食生活になることが分かります。そのため糖尿病性腎症の患者さんは、食事療法を移行していくのに戸惑いがあったり、 血糖を気にしてついついエネルギー量を押さえてしまい、低栄養となって腎症がさらに悪化してしまうという方もいるようです。
 
 あれもこれもダメだと考えずに、何をどうするのか、どこまでならOKかというように前向きに捉え、モチベーションを保っていけるようにしましょう。(H.Y)
ページトップへ

2010.3.4

CKDとは慢性に経過する様々な腎疾患を総称したもので、chronic(慢性)kidney(腎臓) disease(疾患)の頭文字をとって略称されています。近年我が国においても「新たな国民病」として増加傾向にもあり注目されてきています。
 腎臓の主な働きは血液を濾過して不要なものを尿中に捨てることで、血液を綺麗な状態に保つことが出k知るいわばフィルターのような役目をしています。その他、ナトリウムやカリウムなどの電解質の調節や、血液の酸性、アルカリ性の調節、ホルモンの生産などもしています。
 
CKDの診断としては、蛋白尿の出ている状態、腎臓の老廃物を排出する能力(GFR)の低下などを基準としています。
 
 CKDの治療に当たってはまず、生活習慣病の改善、(禁煙、減塩、肥満の改善)に努めることが大切です。その上で、糖尿病、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどの危険因子があれば、積極的に治療していく必要があります。
 食事療法として、タンパク質、塩分、カリウム、飲酒、エネルギー量などをそれぞれ制限し、水分の過剰摂取、極端な制限は控えるようにします。
 加えて、血圧のコントロール、血糖、脂質を正常値に管理していきます。その他、貧血や高尿酸血症の治療、骨、ミネラル代謝異常に対する注意なども必要になってきます。
 
 先に触れたように、現在日本では腎臓を患う方が増えてきており、20歳以上の8人に1人(約1300万人)がCKDであると考えられています。そのままCKDを放置すると徐々に腎機能が悪化し、腎不全となり、透析や腎移植を要したり、合併症として心筋梗塞、脳卒中などのリスクも高くなっていきます。透析導入に移行する患者は年間約3万6000人であり、全体では27万人を超え、500人に1人が透析を受けている現状だそうです。
 
 このようにCKDと言うと怖い病気のように思えますが、一方で早期発見、早期治療により、進行を抑え重症化を予防出来る病気でもあります。血液検査や尿検査で比較的簡単に見つけることも可能です。もちろん当院でも行っておりますので、是非一度チェックされることをお勧めします。
わからないこと、不安に感じられることがあればお気軽にお尋ねください。(M.M) 
 
ページトップへ

2009.8.25

 
 当クリニックは内科、その中でも循環器、呼吸器を主に専門に診察しており、胸痛や胸の違和感などを訴えられる方の受診があります。今回はそういった胸の症状を伴うことが多い狭心症という病気についてお話したいと思います。
 
 人の体は、酸素と栄養を運ぶ血液の循環によって維持されています。その上で、心臓は、全身に血液を送り出すポンプとして重要な役割を果たしています。1分間に平均60〜70回くらい規則正しく脈をうち、血液を全身に送り出していますが、その心臓自体も十分な酸素が心臓の筋肉に供給されないと「胸をしめつけられる」、「胸が圧迫される」といった症状がでます。症状の程度は、冷汗伴う痛みの強いものから、違和感程度の軽いものもあります。これが狭心発作と言われるものです。その狭心発作は、数分〜数十分続くことがあり、患者さんによっては、胸の痛みは乏しく背中の痛み、左肩から腕にかけてのしびれや痛み、歯の浮くような感じや痛み、また、みぞおちが痛むといった一見、胃が悪いと勘違いする症状を訴えられることがあります。胸の痛みがあり、病院に受診される際は、発作の特徴及び持続時間を先生にお話されるといいと思います。
 
・どのあたりが痛むか、どのくらいの時間痛みや違和感が続いたのか  
・何をしていた時に痛みがあったのか
・痛みはどのような痛みなのか(例、さすような痛み、焼けつくような感じ)
 一般に狭心症かもしれないと思って受診され、診察の結果、筋肉痛、肋間神経痛、不整脈、胃や食道の病気、不安によるものもあります。
 
 狭心症は、発作の起こり方、原因などにより分類されます。
 
①労作性狭心症
 歩行、階段昇降など身体的な労作、精神的な興奮、ストレスが誘因となり、発作が起こります。
安静にすることにより多くは、数分で長くても15分以内で症状が改善します。心臓に必要な酸素は冠動脈から心臓の筋肉(心筋)に届けられます。運動したり、興奮したりすると、より多くの酸素が必要になるため、心臓の拍動(動き)が速く、力強くなります。動脈硬化により、血管が狭くなることにより、心臓の筋肉に十分な血流を送り出すことができなくなります。よって、必要な酸素が届けられず、心筋が酸素不足になり、また、動脈硬化が進むことにより症状が現れます。
 
②安静狭心症
 何も動作していない安静時に発作が起こります。明け方の睡眠中や早朝に多いと言われています。心臓には、全身に血液を送り出すためにある冠状動脈があります。その冠動脈が「けいれん」を起こすことがあります。冠動脈と呼ばれる心臓の筋肉に血液を供給している血管が狭くなることにより、流れる血液の量が減ってしまいます。このような状態によりけいれんがおこります。
安静狭心症は上記に述べたようなけいれんが原因とも言われています。
 
③安定型狭心症
 発作の起こり方が一定している狭心症で労作性狭心症の大部分がこれに属します。
 
④不安定狭心症
 安定狭心症に比べて冠動脈に血栓(血の固まり)などによって詰まり、血液の流れが途絶える為、心筋梗塞へと進展する可能性が高いとも言われています。症状の現れ方としては、
1、何も症状がなかった人に狭心症の発作が現れた時
2、今まであった胸の痛みが強くなった時
3、回数が増えた時
4、特に原因がないのにいつもより強い発作が10分以上続いた場合がこれにあたります。
 
<発作が起きたとき>
胸痛などの症状が現れ、労作、ストレスが取り除かれたあと数分で発作がおさまる時は、数日以内に受診された方が良いでしょう。心臓の負担になるような運動は避け、なるべく安静にします。
サウナや熱い湯のお風呂は心臓の負担をかけるばかりではなく、脱水により、血液がドロドロとした固まりやすい状態になるため危険です。喫煙は、血管を収縮させるため、禁煙がベストです。
 
 発作がすぐにおさまらない時、発作が5分以上続く時、1日に何回も繰り返し、発作の頻度が増えてきて、今までより強い症状が現れ冷汗を伴うような強い痛みを感じた時は、早急の受診が必要と思われます。
 
 病院に受診された際、必要な検査を行い、診断します。
心電図検査
運動負荷試験・・運動によって症状や心電図の変化がでるかを見ます
ホルター心電図・・心電図の小さな測定機を24時間つけて日常生活における心電図変化を見ます。
運動負荷心筋シンチグラム・・運動を行い、症状や心電図の変化と心臓へ注射したタリウムなど特殊な物質(放射性同位元素)の集まりを見て心臓の筋肉を流れる血液の分布を調べます。
冠動脈造影検査・・太ももの付け根や腕の動脈からカテーテルという細い管を冠動脈の付け根までいれ、血管の状態をよくみるための造影剤を入れ、その流れを映像にします。最終的な診断(確定診断)をつけるために行われます。
 
 当院でも診察を行い、胸部レントゲン、心電図、24時間ホルター心電図を行います。症状によっては、心エコーや採血を行うこともあります。
 少しでも心配な事があれば気軽にお話ください。(J.I)
 
ページトップへ

2009.7.7

 今回は、7月6日現在に、世界中で計94,512人(WHO発表)、日本国内で計1,852人(厚生労働省7月7日発表)が感染した『新型インフルエンザ(H1N1型)』についてお話します。
 
 ーーー「新型インフルエンザ」とは?ーーー
 インフルエンザの中のA型のウイルスは人だけでなく鳥や豚、馬など他の動物にも感染します。通常は人から人へ、というように同種間で感染し、人が他の動物のインフルエンザウイルスにかかることはほとんどありませんでした。しかし、インフルエンザウイルスの遺伝子情報が子のウイルスにコピーされる時に、この遺伝子情報が変更され、性質が変わることがあります。(変異といいます)この変異によってこれまで人に感染しなかったインフルエンザウイルスが人へ感染するようになり、さらに人から人へ感染するウイルスが現れる場合があります。これを『新型インフルエンザ』といいます。
 
ーーー感染経路ーーー
 新型インフルエンザは、多くの人が免疫を持っていないため、季節性のインフルエンザに比べると感染が拡大しやすいといわれます。感染経路は咳やくしゃみとともに放出されたウイルスを周囲の人が吸い込むことによって起こる「飛沫感染」と、感染した人が咳やくしゃみを手で押さえた後や鼻水を手で拭った後に、机やドアノブ、電車のつり革等に触ったことでそれらにウイルスが付着し、その付着したウイルスに他人が触れ、その後目や鼻、口などに再び触れるとその粘膜などを通して感染する「接触感染」があります。
 
ーーーインフルエンザにかかったかな?と思ったときはーーー
 診断の重要ポイントとして、7日以内に新型インフルエンザが蔓延している国や地域に滞在、もしくは旅行をした、または、既に感染した人と2メートル以内に接近したなどの情報は診断の参考となります。
 具体的な症状としては、突然の発熱(38°以上)、悪寒、咳、咽頭痛、倦怠感、鼻水、鼻閉、頭痛、関節痛など、季節性のインフルエンザに類似しています。
 以上のような症状が思い当たる時には医療機関を受診されることと思います。そのときの受診方法ですが、近くの医療機関に直接受診するのではなく、保健所などに設置された『発熱センター』にまずは電話で問い合わせて下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
各務原市蘇原、那加地区の発熱相談センター岐阜保健所
午前9時〜午後5時 (土日・祝日含む)
058-380-3004
−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こちらで指定された医療機関を受診して下さい。
 
 受診する時にはマスク着用など、周囲に感染させないように配慮してください。問診や症状などから新型インフルエンザを医師が疑う場合は、簡易検査を経て、PCR(遺伝子検査)等によって確定診断をすることが可能です。
 
ーーー治療と予防ーーー
 検査の結果、新型インフルエンザと診断された場合の主な治療法は抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)が有効と言われていて、それらが処方されることがあります。
 現在のところ新型インフルエンザを予防するためのワクチンは存在しません。しかし新型インフルエンザに効くワクチンを早期に実用化するために世界中で研究が行われています。また、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)の備蓄を国や一部の自治体では行っています。
 
 現在は感染を拡大させないためにも予防がとても大切です。帰宅後のうがい、手洗いをしっかりと行って下さい。(手洗いは外出後だけでなく可能な限り頻繁に行って下さい。石けんを使って最低15秒以上行い、清潔なタオルなどで水を拭き取って下さい)
 
 現時点ではウイルスの感染力やウイルスのもたらす病原性などについて未解明な部分がありますが、新型インフルエンザについては感染力が強いものの多くの方が継承のまま回復しているとされています。しかし、糖尿病の型や気管支喘息などの基礎疾患のある方など、重症化する例が報告されています。また高齢者や小さなお子さんもインフルエンザ脳症を始め様々な合併症や重症化を招く恐れがありますので慎重に対応して下さい。
 
ーーー最後に、インフルエンザは予防が大切です。栄養と休養を充分にとり、手洗いうがいなどをしっかり行いましょうーーー(K.H)
ページトップへ

2009.4.10

 予防接種は何のために受けるのかご存知ですか?
 
 予防接種は様々な感染症を未然に予防する目的があります。原因となるウイルスや細菌からワクチンを作り、それを接種することで身体に免疫(抗体)が出来、病気に対する抵抗力をつけます。発病を予防したりかかっても症状が軽く済みます。
 
 予防接種には以下の種類があります
 
※定期の接種(国で定められたもの)…DPT(3種混合)、BCG、ポリオ、MR(麻疹、風疹)
 定められている年齢の期間内であれば公費の補助を受けることが出来ます。
 
※任意の接種(定期接種以外で希望者のみ)…おたふくかぜ、水痘(水ぼうそう)、インフルエンザ、B型肝炎その他・・・ などが対象で費用は自己負担となります。
 
 今回はDPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)について詳しく触れてみたいと思います。このワクチンは三種混合ワクチンと言って3つの感染症を予防することが出来ます。
 
D=ジフテリア…ジフテリア菌の感染により高熱、喉の痛み、咳、嘔吐などが起こり、鼻血や呼吸困難も見られます。また発病から2〜3週間後には菌の出す毒素によって心筋炎や神経麻痺を併発することもあります。
 
P=百日咳…百日咳菌の感染によって普通の風邪のような症状で始まり、この咳症状がひどく長期間続きます。笛を吹くような音が出るのが特徴で高熱は出ません。呼吸困難になることも多く、肺炎や脳炎などの重い症状を併発することもあります。
 
T=破傷風…土中に存在する破傷風菌が傷口から感染して起こります。発症すると菌の出す毒素のため、けいれんや口が開かないなどの症状が起こり処置が遅れると生命に関わる危険性もあります。
 
【接種スケジュール】
ー−1期初回接種ーー生後3〜90ヶ月未満
 生後3ヶ月〜1歳までに3〜8週間間隔で3回
ー−1期追加接種ーー生後3〜90ヶ月未満
 初回接種(3回終了)後、1〜1年半の間に1回
ー−2期接種ーー11歳に達した時〜12歳に達するまでの間
 DTワクチンを小学6年生時期に1回
 
【ほかの予防接種との接種間隔】
  DPT接種後6日以上
 
【副反応について】
 熱が出ることはほとんどありませんが注射部位が赤くなったり腫れたり、しこりが出来たりすることがあります。これは免疫が作られたために起こる現象です。軽いものなら3〜4日で自然に消えます。稀に上腕全体に及ぶことがありますが広範囲に熱を持っている時などは冷湿布をすると楽になります。気になる時は受診してご相談ください。
 
 DPTワクチンの接種は回数が多くて大変ですが、初回3回、追加1回を接種することによって免疫を確実につけ効果が発揮されます。またDPTワクチンをきちんと受けていないと学童期に受ける2期のDTワクチンの効果が充分に発揮されません。
 
 接種スケジュールを把握し接種漏れの無いように注意しましょう。
 
 当クリニックでも実施しておりますので、予約を入れ、体調を整え、ご都合の良い時にお越し下さい。またわからない点、気になる点があればいつでもお尋ねください。(M.M)
 
ページトップへ

2009.1.25

「新型インフルエンザ」は毎年流行を繰り返すインフルエンザウイルスとは全く異なるタイプで、およそ10年から40年の周期で発生しています。人間界にとっては未知のウイルスでほとんどの人は免疫を持っていないため、容易に人から人へ感染して広がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性があります。
 
 最近人には感染することの無かった鳥インフルエンザウイルスがどんどん人型に近づいており、専門家は新型インフルエンザのパンデミックが起こるのは時間の問題だと言っています。
 
  国立感染症研究所では、1人の日本人が新型インフルエンザに感染すると、14日後には全国の感染者が35万8千人に急増すると試算しています。このパンデミックがおこると、日本で17万〜64万人が死亡するとも推定されています。
 また国内での発生後に人々が外出を自粛すると、患者数を大幅に押さえることが出来るとのシミュレーションを行いました。
 
 パンデミックは日本だけのものではなく、海外でも同時に発生するので、海外で大流行すれば輸入の減少や停止などによって、種々の生活必需品も不足し、手に入らなくなることも予想されます。パンデミックになると、このように生活に影響が出ることも予測され、また感染を防ぐために不要不急の外出をしないと言うことが原則であることから、災害時と同様に外出しなくても良いだけの最低でも2週間分程度の食料や日用品などの準備をしておく必要があります。
 
 パンデミックが起こった場合の感染を拡大させないためにどうしたら良いのかを考え、行動計画を立てておくことは大切だと思います。もちろん個人、企業、自治体、国などでの情報の共有や連携は必須です。
普段からの意識的な準備が被害を小さくする唯一の方法ではないでしょうか。
 
 以下、備蓄品のチェックリストを掲載しました。状況に応じて準備しておきましょう。
 
【感染防止用品】
 体温計・マスク(1人につき50枚以上)・うがい薬・ゴム手袋・ゴーグル(目からの感染防止)・消毒薬・ビニール袋(使用済みのティッシュやマスクを密閉して捨てる)
【家庭内治療用品】
 解熱剤(アセトアミノフェン)・冷却剤・スポーツ飲料
【食料】
 主食・菓子類・レトルト、インスタント食品・缶詰・スープ・冷凍食品・チーズ、スキムミルク
【日用品】
 ティッシュ、トイレットペーパー・生理用品・洗剤・石鹸
【一般常備薬】
 胃薬・傷薬・整腸剤・その他持病の処方薬(血圧の薬など…)
【その他】
 飲料水(1日あたり1人2リットル)・懐中電灯・乾電池・携帯充電器・ラジオ・手回し発電機・カセットコンロ・多少の現金
 
 『新型インフルエンザ』はいつか必ず起こります。予防や対策について正しい知識を持つことが、自分や家族の命を守ることに繋がります。
 参考までに、情報収集にお役立てください。(S.H)
 
<a href="http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/"target="_blank">厚生労働省</a>,
<a href="http://www.anzen.mofa.go.jp/" target="_blank">外務省 海外安全ホームページ</a>,
<a href="http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html" target="_blank">国立感染症研究所</a>,
<a href="http://blog.moura.jp/influenza/" target="_blank">パンデミック・フルー</a>,
<a href="http://www.lettuceclub.net/influenza/" target="_blank">新型インフルエンザH5N1</a>
 
ページトップへ

2008.12.1

今年、4月より40歳以上75歳未満の方に対してメタボリックシンドローム(メタボ)を意識した内容の特定健診が始まりました。
皆さん、結果はどうでしたか?
ドクターからも説明があったと思いますが改めてもう1度メタボリックシンドロームの診断基準をお話します。
 
〈おへその周囲径〉男性85㎝以上、女性 90㎝以上が認められ、かつ、
血中脂質 中性脂肪150㎎/㎗以上 または HDL(善玉コレステロール)40㎎/㎗未満
血圧 最高血圧130mmHg以上 または 最低血圧85mmHg以上
血糖 空腹時血糖110㎎/㎗以上
 
 ①、②、③のうち 2つ以上該当。となっています。
 
  では、なぜメタボリックシンドロームがこれほど問題になるかというと内臓脂肪がたまり過ぎると善玉コレステロール(HDLコレステロール)は減って悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が増えバランスが崩れることでメタボリックシンドロームを引き起こし更には、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧のリスクが高まり、進行すると動脈硬化などが進み脳梗塞や心筋梗塞などの恐ろしい病気のリスクを高めるためです。
  厚生労働省では毎年2月1日から7日を「生活習慣病予防週間」としているなど予防は社会的な動きになっています。
  そこで今回はメタボリックシンドロームの対策として、運動と食生活に注目してみたいと思います。
 
  まず〈運動〉ですが、運動不足を自覚していても実行できない人は少なくないのでしょうか?
“スポーツをしないのが運動不足”とは限りません。会社のデスクに座りっぱなし、買い物などでマイカーを利用する。といった“動かない生活”も運動不足といえます。
 しかし、「毎日、ジョギングをする!」と意気込んでも続けるのはなかなか難しいものですよね。日常生活で少しの運動で無理なく継続することが大切です。
  例えば、通勤や外出時など同じ歩くにも、ゆっくり歩くより早歩きをすることをおすすめします。早歩きをするとゆっくり歩くより2倍のエネルギーが消費されるからです。
  駅にエスカレーターがある時は、階段を使いましょう。階段の上り下りも普通に歩く2倍のエネルギーを消費します。電車やバスなどでは、座るのではなく立ちましょう。これらの事を毎日続けるだけでも違います。そして体を動かすことが軽く感じられるようになったらウォーキングやジョギング、エアロビクスや水泳などの有酸素運動なども始めてみてはいかがでしょうか?
 
 次は〈食生活〉です。実は内臓脂肪には“つきやすく落ちやすい”という特徴があります。  
食べ過ぎなどで過剰摂取したカロリーが内臓脂肪としてため込まれ、必要なときにエネルギーとしてまず使われます。カロリーが過剰になり蓄積させないためにも食生活を見直してみませんか?
 まず、消費カロリーを増やすと同時に摂取カロリーが上回らないことが大切です。そのためには、和食中心の食事にするのがおすすめです。
 揚げ物や炒め物など洋食には油を使うメニューが多く、またマヨネーズやケチャップ、ソースなど調味料にも脂肪分や糖分が多く含まれます。
一方、和食は焼き魚や煮物など、魚や野菜、大豆製品を使うため低カロリーでヘルシーです。 外食をする時は、丼ものよりも主菜や副菜、小鉢料理、汁物のついた定食をおすすめします。料理の品数が豊富で様々な食材をバランスよく食べることができます。
 (丼ものは、ご飯にしみ込んだ汁で塩分の摂り過ぎになるのでなるべく控えましょう)
 ご家族で揚げ物を作る時、衣のパン粉は細かいものをおすすめします。粗いパン粉ほど油を多く吸収します。フライや天ぷらの場合、食材を細かく切るほど衣をつける表面積が大きくなるので大きめに切りましょう。逆に素揚げや唐揚げでは食材は小さく切って下さい。火が早く通るので油の吸収が少なくて済みます。
 お肉はササミなどの脂肪の少ない部位を選びましょう。また皮や脂身を取り除くと脂肪分カットになります。下準備でお肉を茹でてから調理すればお湯に溶け出した脂肪分をカットできます。
 同じ食材でも、茹でる、蒸す、あぶるなど、油を使わない調理法に変えるだけで余分な脂肪分を取り除き脂肪の摂り過ぎを減らすことが出来るのです。
 最後に人気の麺類といえばラーメンですがとんこつラーメンなどこってり系のものは脂肪分が多く、高カロリーなのであっさり系のしょうゆ味やしお味のほうがおすすめです。またスープを残すことで、スープの油分だけカロリーが節約できます。
 ちょっとした工夫をするだけでもカロリーを節約できます。栄養のバランスを考えておいしく食事を楽しみながら、無理なくカロリーコントロール生活を始めてみてはいかがでしょうか?またご自分の食事、運動、体重の記録をつけてみると、生活習慣を見直すことができておすすめです。
 
 年末年始のこの時期は、忘年会や新年会など夜の外食の機会が増えて、楽しみな半面、食生活や栄養のバランスが乱れがちです。
 外食が続くときは、カロリーコントロールと栄養バランスに注意してメニューを選びましょう。そして、食事はゆっくりよく噛んで食べ「腹八分目」を心がけて下さい。(K.H)
 
ページトップへ

2008.10.1

 
 今年もインフルエンザの予防接種の時期が近づいてきました。インフルエンザは初冬(12月)から春先(4月)にかけて、毎年流行します。
インフルエンザにかかると、悪寒、発熱(突然の38℃以上の熱)、頭痛、関節痛、腰痛、倦怠感など全身症状が出現し、呼吸器症状や鼻症状など人によって症状の違いがあります。強い症状は3〜4日続き、薬の内服、安静、保温、栄養補給により日々回復します。しかしまれではありますが、肺炎、気管支炎、脳症、心筋炎、中耳炎などの合併症を引き起こすこともあり、生命の危険性を高めてしまう恐れがあります。
 ワクチンの接種によって、インフルエンザにかかりにくくなると言われています。たとえインフルエンザにかかったとしても症状の重症化を抑えることができますので、高齢者の方、小児、基礎疾患(気管支喘息等の呼吸器疾患、慢性心不全、先天性心疾患の循環器疾患、糖尿病、腎不全)の方、家族、介助する方に対して接種がすすめられています。
 毎年ワクチンは、流行状況などから予測しワクチン株を決めています。今年のインフルエンザワクチン株は過去10年間1度も使用されていないという新しい株なので、毎年続けて接種されている方も接種されたことのない方も、今年はワクチン接種を行い、抗体をつけた方が良いと言われています。
 
●予防接種の回数について
 
・13歳未満の方はーーーーー2回の接種。
・13歳〜65歳の方ーーーー接種を受ける人のワクチン歴、罹患歴をみながら医師の決定によりますが、一般的には1回の接種が十分であるとされています。1回の接種よりも2回の接種の方がより十分な免疫が得られると考えられる為、毎年2回接種されている方もいます。
・65歳以上の方ーーーーーー1回の接種で十分効果があるという報告から1回接種でも良いとされています。
 
●インフルエンザワクチンの副反応、注意すること
 
局所の発赤、腫脹、疼痛などがおもな副反応です。通常4〜5日以内に治ってきます。まれに30分以内に息苦しさ、じんましん、せきなどのアレルギー、24時間以内に、発熱、頭痛、けいれんなどがあらわれることがあります。接種してから1日は、体調に注意しましょう。
体調に変化がある際は、医師の診察を受けてください。
 接種した日は、いつも通りの生活をしていただいても構いません。激しい運動や大量の飲酒は避けてください。
 接種した日に入浴しても問題ありません。ただし、注射部位をこすらないでください。
 
●ワクチン接種の効果的な時期について
 
 インフルエンザが流行するのが通常12月〜3月頃ですので12月中旬までに接種が終了するように計画されるのが、1番良いのではと思います。当クリニックでも去年は10月の中旬から接種される方が見えました。
 (例)  10月終わりに1回目、11月に2回目接種 
      11月1回目、12月に2回目接種 
 
●インフルエンザワクチン接種後の免疫の持続は?
 
 インフルエンザ接種後、1〜2週後の抗体が上昇し始め、接種後1ヶ月までにピークに達し、3〜4ヶ月後には徐々に低下傾向を示します。ワクチンの予防効果が期待できるのは接種後2週から5ヶ月程度と考えられます。
2回の予防接種をする場合、1週の間隔で接種ができるようになっていますが、より免疫効果を高めるためには、3〜4週間隔で接種することが最適です。
 
 インフルエンザの予防接種を受けた方でもインフルエンザにかかることはあります。予防接種を受けた事により高熱を抑え、肺炎などの合併を防ぐなどインフルエンザの症状を軽くすることが知られています。感染してしまったとしてもまったく効果がなかったということではありません。
 インフルエンザは飛沫感染です。咳やくしゃみによりウィルスが鼻や口から侵入しておこります。およそ1?2m程度の距離にいる人に感染します。
 インフルエンザが流行してきたら、人が混雑したところに行く際はマスクを着け、疲れている時は、人混みを避けて休養をとるなど、外出先から帰宅したらうがい、手洗いを心がけていただくことにより、予防できます。
 
●インフルエンザの診断
 
当院でもインフルエンザの疑いのある方には、迅速診断キットにより咽頭ぬぐい液又は、鼻汁などを検体として約15分でインフルエンザかどうかを診断することができます。
 
●インフルエンザの治療薬について
 
去年もインフルエンザ治療薬「タミフル」についての質問が多く聞かれました。「タミフル」と異常行動について様々な報道がなされていましたが、両者の関連は現在も不明となっています。
 厚生労働省より「タミフル」の使用について「10代の患者には、原則として使用を差し控えること」と警告がありました。
 
 タミフルは発症から48時間以内であれば、インフルエンザウィルスの増殖を抑える効果があります。当院では、成人の方々には、タミフル、リレンザ(吸入タイプ)の投与について十分に説明の上、ご希望の方のみ処方しております。
少しでも不安にある方は控えた方が良いと考えられ、通常の解熱剤などの使用をしております。ご不明な点は気軽に声をかけてください。
 
当院では、インフルエンザの予防接種は10月2日より可能です。ご予約も受け付けておりますのでどうぞご連絡ください。(J.I)
 
ページトップへ

2007.4〜2008.7

2008.07.31

ーみなさんは、おたふくかぜにもうかかりましたか?ー
 
 【おたふくかぜってなに?】 
 正式には“流行性耳下腺炎”といいますが、ムンプスウイルスに感染することで発症する“急性伝染性疾患”です。左右両方の耳下腺が腫れると“おたふく”の様な顔になるため、一般的には“おたふくかぜ”と呼ばれています。 
 
 【なぜ、おたふくかぜに罹るのかな?】 
 原因は、ムンプスウイルスと呼ばれるウイルスに、飛沫感染、接触感染することで発病します。具体的にいいますと、ムンプスウイルスに感染している人と話しをしていて、飛んできた唾液を吸い込み感染したり、感染している人がくしゃみや咳をした時にウイルスが空気中に飛び散ることで感染します。
 感染する年齢は、3〜10歳の小児に最も多く、そのため保育園や幼稚園、小学校などの集団生活の場所で流行する傾向があります。
 潜伏期間は約14〜24日ですが、感染から約17〜18日程で発病することが多いようです。
 
 【どんな症状なのかな?】
 おたふくかぜの症状は、発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振などを感じ始め、片側もしくは両側の耳下腺が腫れてくるようになります。(左右同時に腫れることはあまりないようです)
 腫れた部分は、押したり、食事をするときに痛むようになります。(特にすっぱいものを食べたときに痛むことが多いといわれています)
 発熱は、耳下腺部の腫れとほぼ同時におこります。小児ではあまり高くはならないようですが、年齢の高い子どもほど発熱しやすく、小学校高学年程度に成長した子どもでは、40度程の高熱を出すこともあるようです。
発熱は2〜3日程で、高熱を出した場合でも、4〜5日で治まってきます。耳下腺部の腫れも、1週間〜10日程で徐々にひいていきます。
 
 【どんな治療をするのかな?】
 原因となるムンプスウイルスに対する特効薬はなく、対症療法で対応します。
発熱、頭痛、耳下腺の痛みなどがある場合には、解熱鎮痛剤を使ったり、耳下腺部の腫れや痛みには湿布を使ったりします。症状のある間はなるべく安静にし、脱水症状を予防するためにも水分をたっぷりとるようにしましょう。
 
 【おたふくかぜは何度も罹るのか?】
 ムンプスウイルスに感染すると、体の中に抗体ができるためその後はおたふくかぜを発症することはないといわれています。しかし、何度も耳下腺部が腫れる、反復性耳下腺炎という病気や、おたふくかぜと同じように感染することで耳下腺部が腫れる、コクサッキーウイルスやサイトメガウイルスなどもあり症状だけではおたふくとの判別が難しい場合もあります。また、おたふくに罹ったことがないと思われている場合でも、不顕性感染といいって、感染しても症状が出なかっただけで、実際は感染した経験のある方も少なくはありません。
 おたふくかぜに罹ったことがあるかどうかは血液検査をし、ムンプス抗体を測定することで確認できます。不安な方は一度ご相談ください。(この検査は、耳下腺部の腫れや発熱など、おたふくかぜが強く疑われる症状がある場合のみ保険適用となります。)
 
 【合併症はあるのかな?】
 おたふくかぜから合併する病気がいくつかあります。その合併症の中で最も多いといわれているのが、ウイルス性(無菌性)髄膜炎です。ムンプスウイルスが原因のウイルス性髄膜炎は、髄膜炎のなかでも症状が軽いといわれていますが、ウイルス性か細菌性かは髄液検査をしないと判別できないため、頭痛や嘔吐が激しい時は早めに検査を受けるようにして下さい。その他、思春期以降の発病で、精巣や卵巣の合併症があるといわれています。精巣が急激に赤く腫れ激しく痛む、精巣炎や副精巣炎。骨盤内が痛む、卵巣炎などです。
 
 【おたふくかぜに罹ると不妊症になるの?】
 時々、ご心配でこんなご質問がありますが、精巣炎、副精巣炎の約70%は片側だけで、両方の精巣が腫れるのは約30%程度といわれています。また、約30〜40%に精巣の萎縮がみられますが、不妊になることは少なく、精子ができない程の後遺症が残るのは、発症したうちの約13%程度といわれています。卵巣炎も、不妊になることはほとんどないといわれています。
 その他の合併症は、膵炎や腎炎などがあります。
 重篤な合併症として、難聴があります。1万5千人に1人の割合とあまり高くはありませんが、成人が感染すると症状は通常重くなるといわれているので注意が必要です。
 
 【最後に…】
 おたふくかぜの流行を防止するには、手洗いやうがいをこまめにして下さい。そして、生ワクチンの接種をおすすめします。(ワクチンは1歳から接種可能です。)このワクチンは任意接種のため自費扱いとなりますが、1回の接種により約90%以上の割合で免疫を獲得できるといわれているので、是非、おすすめします。(予約が必要です) (H.K)

2008.06.20

!ーーー熱中症の対処ーーー!
<自分でも出来る応急処置>
・涼しい日陰やクーラーの効いた室内に移動する。
・衣類をゆるめて休む。
・氷や冷たい水で濡らしたタオルを、ワキの下・首・股など動脈が集中する部分に当てて体を冷やす。氷や水がない場合はタオルやうちわ、衣類などを使ってあおぎ風を送って冷やす。
・水分を補給する。塩分も補給する必要があるので、スポーツドリンクを少しずつ何回にも分けて補給する。
<重症者の応急処置>
・筋肉がけいれんしている場合、けいれん部位のマッサージを行う。
・皮膚が青白く体温が正常なら、心臓より足を高くしてあおむけに寝かせる。スポーツドリンクを補給する。
・皮膚が赤く熱をもっているなら、上半身を高くして座っているのに近い状態で寝かせる。意識がはっきりしない場合はすぐに救急車を呼び、同時に応急処置をする。動脈が集中する部位を集中的にとにかく冷やす。意識がない場合は水分を与えると詰まらせるので厳禁。また、吐いた場合にのどを詰まらせないように横向きに寝かせる。
 
症状が回復しても、体内に影響が残っていたり再発の恐れもあります。自分で大丈夫だと思っていても必ず病院で診てもらいましょう。
 
 !ーーー熱中症の予防ーーー!
〈1〉体調を整える
 睡眠不足や風邪気味など体調の悪いときは、暑い日中の外出や運動は控えましょう。特に下痢や発熱などで脱水傾向にある人は、熱中症の状態になりやすいです。
〈2〉服装に注意
 通気性の良い洋服を着て、外出時には帽子や日傘で暑さを防ぎましょう。
〈3〉こまめに水分補給
「のどが渇いた」と感じたときには、すでにかなりの水分不足になっていることが多いです。定期的に少しずつ水分を補給しましょう。夏は汗と一緒に塩分も失われるので、スポーツドリンクを飲むのが良いです。
〈4〉年齢も考慮に入れて
 体内の機能が発育途中の子供や、体力が衰え始めた高齢者は熱中症になりやすいです。年齢を意識して予防を心がけましょう。
 
 熱中症は夏だけの病気ではありません。激しいスポーツや重労働の場合は季節を問わず、いつでも起こり得る病気です。例えば、冬に暖房のよく効いた室内で厚着をしている場合に起こることもあります。また、炎天下ばかりでなく室内で静かに過ごしていても起こり得ます。熱中症が危険なのは、自分では「ちょっと体調が悪い」「少し気持ちが悪い」程度と思っている間に症状が進んでしまうケースが多いからです。自分で気をつけるのはもちろん、周囲の人同士で気をつけて症状を悪化させるのを防いでいきましょう。〈W.N〉

2008.06.20

 去年に引き続き、今年も異常な暑さが予想されます。この季節に起こりやすい事故のひとつとして、熱中症が挙げられます。熱中症とは、日射病や熱射病の総称で、「高温下での運動や労働のため、発汗機構や循環系に異常をきたして起こる病気。体温上昇・発汗停止と共にけいれん・精神錯乱・昏睡などを起こし、生命の危険を伴うこともある。」とされています。熱中症は急に暑くなった時に多く発生しています。梅雨の合間に突然気温が上昇した日や、梅雨明けの蒸し暑い日は要注意です。熱中症の症状は一様ではなく、症状が重くなると生命へ危険が及ぶこともあり、実際熱中症による死亡数は年々増加しています。しかし、適切な予防法を知っていれば熱中症を防ぐことができます。熱中症について・予防・対策についておはなししたいと思います。
 
 【熱中症のメカニズム】
 熱中症を引き起こすそもそもの根底には、ヒトの体温を調節するメカニズムにあります。
〈1〉皮膚の表面から空気中へ熱を放出する。
〈2〉汗をかき、その汗が蒸発するときに熱を奪うはたらきを利用する。
ヒトはこのメカニズムで自分の体温を調節しています。体温よりも気温が低ければ皮膚から空気中へ熱が移りやすく、体温の上昇を抑えることができます。また、湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、体温を上手にコントロールすることができます。しかし、気温が体温より高くなると空気中への熱の放出が難しくなるため、体温調節は発汗だけに頼ることになります。ところが、真夏日によくあるように気温が高いばかりでなく、湿度も75%以上になると汗をかいても流れ落ちるばかりでほとんど蒸発しなくなります。そのため、発汗による体温調節すらできなくなってしまうのです。また、体温が37℃を超えると皮膚の血管が拡張し熱を放出しようとする機能がはたらくが、このときもっと体温が上昇し発汗などによって体の水分が極端に減ると、今度は心臓や脳を守るために血管が収縮し始めます。つまり、熱がさらに放出できなくなってしまいます。熱中症は、こうして体温を調節する機能がコントロールを失い、体温がグングン上昇してしまう機能障害なのです。
 
 【熱中症の分類】
〈1〉熱失神:高温や直射日光によって血管が拡張し血圧が下がることによっておこる。症状は、めまいや失神。
〈2〉熱けいれん:汗をかくと水分と一緒に塩分も失われるが、血液中の塩分が低くなりすぎて起こる症状。水分を補給しないで活動を続けた時はもちろん、水分だけを補給した時にも発生しやすい。症状は、痛みを伴った筋肉のけいれん。足や腹部の筋肉に発生しやすい。皮膚は温かく湿っており、体温は正常。脈が速くなり、血圧が低下するが他に比べ軽症。
〈3〉熱疲労:体内の水分や塩分不足。いわゆる脱水症状。死に至ることもある熱射病の前段階であり、この段階での対処が重要。症状はたくさんの汗をかき、皮膚は青白く体温は高い。めまい・頭痛・吐き気・倦怠感を伴うことが多い。
〈4〉熱射病:水分や塩分の不足から体温調節機構が異常をきたした状態。そのままでは死に至ることもある。極めて緊急に対処し救急車を手配する必要がある。症状は汗をかいておらず皮膚は乾燥し赤く熱っぽい。体温は39℃を超えることが多い。めまい・吐き気・頭痛のほか、意識障害・錯乱・全身けいれんなどを伴うこともある。〈W.N〉

2008.05.20

 よく寝ている時に、いびきがひどく、呼吸がとまっていると家族の方に言われて心配になったと相談される方がみえます。無呼吸症候群とは、10秒以上の無呼吸が1時間に5回以上あり、いろいろな症状を伴った事をいいます。男性に多く、年齢や体重の増加で出現頻度が増えます。
 睡眠時無呼吸には「閉塞型」「中枢型」「混合型」に分類されます。この中でも最も多くの合併症を起こしやすいのが「閉塞型」です。その原因は、上気道の閉塞により起こりますが、主たる原因は肥満です。その他、扁桃肥大、下顎発育不全(小顎症)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、末端肥大症、糖尿病)、変性疾患(脊髄小脳変性症、筋緊張性ジストロフィ症)でみられます。その症状の特徴は、大きないびきです。10秒以上、ときには60秒から100秒のいびきの消失がみられ、その後に再度激しいいびきの繰り返しがみられます。いびきが消失している間は無呼吸です。いびきというのは、睡眠中のことで本人はまったく気がつきません。そのため、まわりにいる家族や友達などからの指摘により、はじめて知りますし、協力が必要です。無呼吸のために眠りが中断されるので熟睡できず、昼間ひどい眠気に襲われます。眠気により、仕事に支障をきたしたり、車の運転中の事故を引き起こす事にもなります。また、体の中に炭酸ガスがたまることで、頭痛、人格変化(イライラ、興奮しやすい、うつ状態)を引き起こします。さらに無呼吸になると酸素が体に行き渡らないために低酸素血症になります。それが原因で、突然死、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、肺高血圧、更には心不全といった病気を引きおこす事にもなりかねません。
 無呼吸の心配、疑いがある方には、携帯用の無呼吸モニターを貸し出し、睡眠中の無呼吸の回数や血液中の酸素の状態を測定します。機械の重さも100グラムサイズで装着していることが負担にならない重さです。使用するセンサーは、SPO2(酸素の取り込みを爪からみます)、鼻カニューレの2つです。検査を行うことにより、無呼吸のタイプや症状が診断され、治療方針がたてられます。
 治療には下記のものがあげられます。
・食事、運動療法による体重減量
・経鼻的持続陽圧呼吸療法(睡眠の際、上気道に空気を送り込むためのマスクを着けて睡眠する治療です。
・その他 内服治療・歯科装具装着・外科的療法
 
当院でもご相談のうえ、検査を実施することができます。
 
よろしければ、睡眠時無呼吸チェックリストをためしてみてください。

  • 毎晩、大きな激しいいびきをかきますか?
  • 睡眠中に、「呼吸が苦しそうだ」あるいは、「呼吸がとまっている」と指摘されたことがありますか?
  • 朝、起きたとき、疲れが残り頭がスッキリしないことがありますか?
  • 朝起きたとき頭痛がしますか?
  • 昼間、我慢できないほど眠くなることがありますか?
  • 肥満の傾向はありますか?

 
6つのチェックリストのうち、1の項目に該当してかつ、その他に1つでも該当するようなら無呼吸症候群の可能性があるため、1度ご相談ください。どんなことでもお気軽にご相談ください。(I.J)

2008.04.13

 昨年度より10〜20台の高校生や大学生などの若者を中心に流行していて度々TVや新聞などでも報じられている「麻疹」(はしか)についてお話させて頂きます。
 この「麻疹」ですが、パラミクソウイルス科に属する麻疹ウイルスの感染によって起こる熱性発疹性疾患です。感染力は強く、空気感染します。
 熱性発疹性疾患と名付けられるように、症状は約10日間の潜伏期の後、38度以上の発熱が認められます。熱の他に「カタル症状」と呼ばれる鼻水、咳、目やに、結膜充血なども症状として認められます。
 発症後2〜3日目に、口腔頬粘膜に「コプリック斑」と呼ばれる、周りが赤く中心が白い粘膜疹が現れてきます。
 発症後3〜4日目にいったん熱は下がりますが、再び発熱し、同時に斑状丘疹性発疹(赤い発疹)が耳後部、頸部から出現し、全身へと広がっていきます。この熱は2〜3日続き、急速に解熱します。発疹も次第に消退していきます。
 予後は良好ですが、約10%程に合併症がみられます。
 主なものとして、細菌の二次感染による肺炎、中耳炎、下痢、脳炎などです。
 麻疹にかかった場合の治療法ですが、特に治療法はなく、安静にして栄養と水分を十分に取り、高熱について解熱薬投与などの対症療法が中心になります。
 麻疹にかかる人に多いのは、予防接種を受けていなかった、或いは1回は受けたものの免疫が出来なかったという人です。
 一度御自身、或いはお子様の予防接種歴を見直してみて下さい。(予防接種を受けた人のほとんどが抗体を獲得しますが、数%の人は抗体を獲得することが出来ず、流行時に感染してしまうこともあります)
 当院では麻疹ウイルス抗体検査による確認、ワクチン接種を実施しています。ぜひご相談ください。(H.K)
 
 

2008.02.15

花粉症の季節がやって来ました。今年は例年よりも早い時期に来るようです。しかも、2008年スギ花粉飛散量は、去年の夏の猛暑の影響を受け東海から東日本にかけて前年の1.5~3倍以上だそうです。花粉症の方にとっては非常に恐ろしいですね。
 花粉症とは、花粉飛散期に花粉暴露を受けると、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・眼や鼻のかゆみ・咽頭違和感・咳・咽頭痛などが出現する症状をいいます。
花粉症はなぜ起こるのでしょうか?花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こす異物反応です。体の免疫反応が花粉に過剰に反応し、花粉を外に出そうとするために、くしゃみで吹き飛ばしたり、鼻水や涙で花粉を洗い流そうとしているのです。そのため、このような花粉症の症状が出ます。
 花粉症は季節的にも風邪の流行する時期に重なります。症状も似ているので、花粉症なのか風邪なのか区別がつきにくいという人も多いのではないでしょうか?風邪は通常1週間程度で治りますが、花粉症は原因となる花粉が飛んでいる間ずっと続きます。また、風邪の場合は数日でねっとりとした鼻汁になりますが、花粉症はさらさらしたいわゆる「水っぱな」のままです。その他、眼のかゆみがあれば花粉症、実際に熱が出ていれば風邪の疑いが強いという見分け方もできます。それでも見分けがつかない場合は、検査をします。また、花粉症というとスギによるものが有名ですが、花粉症の原因となる植物は何十種類にも上ります。自分の症状の原因となっている花粉を突き止め、対策をとることが重要です。検査の内容は次のようなものです。
 
 <花粉症の診断>
①血液検査(抗原特異的IgE抗体検査)
・血液を採取してどの花粉に対する反応がどの程度出やすいかを調べます。
②皮膚テスト
・皮膚に専用の針でごくわずかな傷を付け、低濃度の花粉のエキスを滴下し、数十分後に皮膚の反応をみます。皮膚の赤みや腫れで、抗体をもつ花粉の種類を特定します。
③鼻汁好酸球検査
・アレルギーを起こすと、鼻汁に白血球の一種「好酸球」が増えます。顕微鏡で好酸球の増加が確認できれば、アレルギーがあると診断されます。ただしこの検査では、原因となる花粉の特定は出来ません。
 
《◎当クリニックでは、①の検査が行えます》
 
<花粉の飛散時期>
花粉の飛散時期は、植物の種類によって異なり1年を通してさまざまな花粉が飛んでいます。どの花粉がいつごろ飛ぶのかを知って花粉症に備えましょう。
2月~4月末 スギ
3月~5月中旬 ヒノキ
5月~7月 カモガヤ
8月~10月 ブタクサ・ヨモギなど
 
後編は花粉症の治療方法と予防方法についてです。(W.N)

2008.03.10

<花粉症の治療>
①薬物療法
 例年強い花粉症状が現れる患者さんには初期療法が勧められます。初期療法とは、花粉が飛び始める2週間前から薬を服用し花粉シーズン中のアレルギー症状を軽減する治療法です。初期療法のメリットは、花粉が飛び始めても症状の出る時期が遅くなり、花粉シーズン中の症状も軽くなります。また、そのことで飲み薬を服用する回数や量を減らすことができます。
 薬の種類には,化学伝達物質受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬)が使用されます。鼻の中に吸い込まれた花粉などの抗原は、抗体と反応するとヒスタミンやロイコトリエンという化学伝達物質を放出します。ヒスタミンは鼻粘膜を刺激し、くしゃみや鼻水を起こしロイコトリエンは鼻づまりを起こします。この化学伝達物質の反応をシャットアウトする薬が、抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬です。鼻水によく効く抗ヒスタミン薬の中には、クラリチン・アレロック・アレグラ・ジルテックなどがあげられます。これらは副作用に眠気が強く出る薬もありますので、患者さんの症状・生活に合わせて、薬を選択します。鼻づまりによく効く抗ロイコトリエン薬の中にはオノンがあげられます。オノンは眠気がほとんど出ません。
 花粉飛散量の増加とともに症状の増悪が見られる場合には、点眼薬との併用や2剤の併用、必要に応じてステロイド剤を使用せざるを得ないこともあります。
 
 ②免疫療法(減感作療法)
 減感作療法とは、医師が診察して原因となる花粉(抗原)を突きとめ、その花粉の成分を注射することによって人為的に抗原に慣らしてしまおうという、いわば「予防接種」のようなもので、現在根治が期待できる唯一の治療法です。しかし、効果が現れるまでに通常3?4年もかかる上、完全に治る人の割合はおおむね6割以下にとどまっており、まだまだ改良の余地があるようです。
 減感作療法の弱点は、長期間の通院・毎回の注射による苦痛があげられます。しかし、それを改善した「舌下減感作療法」というのが近年話題になっています。現在欧米ではすでに行われていますが、日本ではまだ臨床実験段階のようです。内容は舌下から花粉(抗原)エキスを吸収させる治療法です。これなら、患者の身体的苦痛は比較的減少されます。週に1回は通院しなければならない減感作療法と比べると、通院は1ヶ月に1回になります。2年間続けますが、3週間程度で効果が現れてきます。毎年ひどい花粉症で悩まされている方々にとって、非常に取り組みやすい治療法になるので早く普及されることが望まれますね。
 
 ③手術療法
 ☆下甲介切除術
 アレルギー反応で腫れた下甲介という部分の肉を切除して空気の通り道を作ります。この手術をすると1週間か2週間ぐらいで段々正常な状態に近づき、鼻が通るようになってきます。
 ☆レーザー手術
 レーザーで鼻の粘膜を焼きます。利点は、短期入院や外来でも手術が可能なこと。また、手術中の痛みや出血が少なく手術時間も短いため、比較的安全に手術できます。
 
◎当クリニックでは、①の薬物療法を実施しています。②・③の治療法は、耳鼻科の方へお問い合わせ下さい。
 
 
<花粉症の予防方法>
①家の中に花粉を持ち込まない。
帰宅後はすぐにうがい・手洗い・目をよく洗うことを習慣に。衣類はすぐに着替え、洗濯もこまめにしましょう。布団や洗濯物はこの時期だけでも、乾燥機を使用したほうが良いです。洗濯物を屋外に干して付着した花粉は、乾燥後に手ではたいても花粉は82%も残っていることが実験で検証されています。布団については花粉をカットする布団干しカバーがあります。外から帰って来る時には、玄関でパッパと上着の花粉を払い落とす癖をつけましょう。上着の素材にも注意です。ウール素材は繊維表面に花粉が付着しやすいので表面がつるつるした素材を選んで下さい。
 
②外出に便利なグッズを利用する。
天気のいい日や風の強い日、または雨の日の翌日などは花粉がよく飛びます。そのような時には花粉症専用のマスク・メガネがあるとかなり違います。マスクにはいいものと悪いものがあります。いいものは、花粉を95%以上カットできます。織り目が細かいほどいいと考えがちですが、目の細かさはあまり重要ではありません。細かすぎると通気性が悪くなり顔との隙間から流入する空気量が多くなり、進入する花粉がかえって多くなります。顔にフィットし、息がしやすいもの。衛生面からは使い捨てのものが良いです。メガネは顔との隙間が少ないもの、防御カバーのついたメガネをつけると効果的です。メガネにより、目に入る花粉量を約3分の1に抑制できます。
 
③室内環境に気を使う。
天気の良い日は、ついつい窓を開けたくなりますがこれは厳禁です。空気の入れ替えが必要な場合は空気清浄機を使用するのがおすすめです。お掃除もこまめにして、できるだけ花粉を室内に入れない・ためないように心がけましょう。
 
④食生活を改善する。
花粉症はアレルギーの一種です。本来無害な花粉に、アレルギー体質の人はそれが危険物質であると勘違いして過剰反応をしてしまいます。アレルギーを予防・改善するには、スナック菓子・ファーストフードは控え、ミネラル・ビタミンを積極的に摂ることが大切です。お酒や香辛料も控え目に。花粉症の不快感を解消できる入浴剤やアロマなどで、ストレスを解消しましょう。
 
まだまだつらい花粉の季節は続きますが、これらの対策を参考に乗り切っていきましょうね。(W.N)

2008.01.16

 11月の終わりから今もなお胃腸風邪にて当院を受診される方は多いです。症状は、消化管の運動機能の低下による吐き気、嘔吐、下痢です。また微熱、頭痛などの風邪症状も伴って見られることもありますが、個々によって症状も経過も違います。皆さんも聞いたことがあると思いますが、ノロウィルスが11月から3月にかけて多くみられます。ノロウィルスは、かきなどの貝類による食中毒様胃腸炎です。潜伏期間は、24時間から48時間です。咳などにより感染しますし、嘔吐や糞便物などを処理した際や、その際の消毒が不十分であれば、その場所が乾燥し空気中にウィルスが広がり感染してしまいます。
 家族の中に一人感染してしまうと、家族全員が順番に感染してしまうということも少なくありません。どうすれば予防できるかは、手洗い、うがいを外出先から帰ってからももちろんですが、こまめに行うことは大切なことです。家族で胃腸風邪の症状がある際は皆さん一人ずつタオルをかえて使用することも大事です。
 とくにトイレを使用した後、調理の前、食事の前には、石鹸と流水で30秒以上爪の先や指との間などよく洗ってください。タオルは清潔のものを使用し他人との共用は避けてください。
 調理器具の加熱消毒も大切です。ふきんなども洗剤で洗うだけでなく、熱湯や漂白剤で消毒し十分乾燥させてから使用していただいたほうがいいです。
 ウィルスは乾燥していると感染を広げてしまいます。湿度の調節、部屋の換気なども積極的に行ってください。嘔吐物などを処理するときは、ビニール手袋、マスクを使いましょう。嘔吐物や糞便で汚れた衣類などはほかの衣類とはわけて洗いましょう。普通の洗剤では、ウィルスは死滅しないといわれています。次亜塩素系ナトリウム(漂白剤)を使用して、床をふいたり、洗濯物をつけておいたりして十分な消毒をおこなってください。
 胃腸症状により食事も十分にとれず、水分もとれないというと脱水が進んでしまいます。食事を取れなくても水分補給を少しずつでもよろしいのでとってください。お茶でもいいですが、嘔吐、下痢により電解質も失われるので一番いいのはスポーツドリンクです。体を温かくしてお休みください。食事に関しては食べたいものをたべていただいてよろしいです。
 寒い日が続きますので、風邪には気をつけてお過ごしください。又、インフルエンザも流行してきますので、うがい、手洗いを十分にして予防してください。

2007.11.12

 長年喘息とおつきあいをされている患者様の中では『自分は喘息のコントロールがきちんと出来ている』と思われているようです。しかし『発作が出た時には病院に受診をして点滴をしてもらうから大丈夫』『発作の出る回数が以前よりも随分と少なくなったから大丈夫』など…、実際にはコントロールが出来ていない場合が多いようです。また、『軽度の症状ならばあって当たり前』と諦めている患者様もみえます。
 喘息の恐ろしいところは、発作で死に至ることがあるということです。喘息で亡くなられる方は昔に比べて減少傾向にありますが、2006年では、およそ2700人の方が亡くなられており、岐阜県内でもおよそ20名います。
 そもそも、喘息とはどんな病気なのでしょうか???
 喘息とは、卵・牛乳・小麦・大豆・そばなどの食物、花粉、ホコリ・ダニ・ハウスダスト・動物の毛などのアレルゲンや、風邪、疲労、ストレス、たばこの煙など原因はさまざまですが、これらが気道を刺激することにより炎症を起こし、空気の通りを狭くしてしまう病気です。
 基本的な症状として…
咳が出る 胸部圧迫感・息切れ 呼吸困難 喉がイガイガする 息を吐くときに喉がゼーゼー・ヒューヒュー鳴る 呼吸機能が低下する など… があります。
 軽いものから重いものまでありますが、重症の場合は顔色が悪くなり脈拍が落ち、意識がもうろうとしてきます。
 呼吸の発作が出やすいのは、呼吸機能が低下してくる明け方が多く、症状も悪化しやすいです。また、季節の変わり目に発作が出やすいのも特徴で、梅雨の時期や9〜10月頃に多いです。
 患者様の中では、これらの症状が少し良くなり落ち着いてくると、自己判断で治療を中止してしまう方もいます。しかし、気道の中ではまだ炎症が落ち着いている訳ではなく、発作を起こさなくても慢性的に続いているのです。
 これまでは、発作が起きた時に症状を抑える治療が重要視されていました。最新の喘息治療では、症状が無い時でも治療を継続するという《発作を起こさない》という方向へと変わりました。
 喘息の治療薬を毎日規則正しく継続していくことで、夜間の発作の心配もなく症状もなくなり趣味やスポーツを楽しむことができます。健康な方と変わらないイキイキとした生活を送るためにも是非治療を続けていきましょう。
 
 生活上の注意としては…
[発作時]
●発作が治まりにくい時には病院へ早めに受診をする。
●息苦しさを感じたら、即効型の吸入気管支拡張薬(メプチンエアー・サルタノール・ベロテックエアゾルなど)を早めに使用する。
[長期管理]
●吸入ステロイド薬(フルタイド・キュバール・パルミコート)や、気管支拡張剤+ステロイド薬の混合薬(アドエア)を毎日正しく使用する。内服薬もきちんと継続する。
●自己判断で薬の中断・減量はしない
●薬の効果と副作用について、主治医としっかり話をして理解をすること
[日常管理]
●発作の原因となるダニ・ホコリ・カビなどを減らすためにも、こまめに部屋の掃除を行い生活環境を整える
●風邪の誘因となる冷えや疲労を避ける
●帰宅後には必ずうがい・手洗いをする
●朝のうちに走ったり、急激な運動はしない
●禁煙する
●ストレスをこまめに解消し、明るく過ごす
(S.K)

2007.12.19

 喘息患者様の中でも、よく質問されること…『吸入薬はどうやって使うの?』『どんなときに使うの?』『大人も子供も使えるの?』など、吸入薬についてお話をします。
 喘息治療には、内服もありますが、吸入薬をよく使います。
 吸入薬には、ステロイド薬・気管支拡張薬・抗アレルギー薬・抗コリン薬などがあり、タイプとしては、自分の吸気力を活用して薬剤を吸入する《ドライパウダー吸入器》と加圧ガスにより吸入するエアゾール式の《定量噴霧式吸入器》の2タイプがあります。ドライパウダー式の吸入器は、薬剤を吸い込む時にタイミングを合わせる必要がなく普通の呼吸と同様に使用ができます。エアゾール式の吸入器は、上手く粉末を吸い込めない乳幼児でも補助器具を使用することで楽に吸入ができます。
 また、吸入薬には、毎日規則的に使用するコントローラー(長期管理薬)と発作が起きた時に症状を和らげてくれるリリーバー(発作治療薬)があります。
 コントローラーには、吸入ステロイド薬と長時間作用型吸入気管支拡張薬があり、気道の炎症を抑える、あるいは気管支を長時間広げることで発作のない状態を維持するという目的があるのです。
 
★吸入ステロイド薬 フルタイドディスカス・フルタイドロタディスク・フルタイドエアー・キュバール・パルミコート … など
 ○喘息の本態である気道の炎症を鎮めるコントローラー。
 ○すぐに効果が現れる薬剤ではありません。発作時には使用しないこと。
 ○毎日規則正しく吸入しましょう。
 ○ドライパウダーとエアゾールがあり。
 
★長時間作用型吸入気管支拡張薬 セレベントディスカス・セレベントロタディスクなど
 ○気道を広げる効果が長時間続き、喘息の症状が出にくくするコントローラー
 ○吸入直後に効果が現れる即効性の吸入気管支拡張薬に比べてゆっくり効果が現れる。発作時には使用しないこと。
 ○毎日規則正しく吸入しましょう
 ○剤形はドライパウダー。
 
★ステロイド+気管支拡張薬の混合薬 アドエアなど
 ○吸入直後より効果が現れる。発作時には使用しないこと。
 ○喘息コントロールが簡単に行える。
 ○剤形はドライパウダー。
 
★即効性の吸入気管支拡張薬 メプチンエアー・サルタノール … など
 ○発作を速やかに鎮めるためのリリーバー。
 ○発作の始まりや発作がひどくなる前に吸入すると効果的。
 ○1回の吸入量を守りましょう。
 ○発作時の乱用は危険。医師からあらかじめ指示された回数を吸入しても効果が見られない場合は、速やかに医師の治療を受けましょう。
 ○剤形はエアゾール。
 
★その他内服薬は…
 抗ロイコトリエン薬…ロイコトリエンという物質の作用を抑えることで、気道の炎症を抑えて気道も拡げてくれる薬。
 テオフィリン薬…気道を拡げる薬。炎症を抑える作用もあり。
 
 吸入薬の使い始めは、『難しいなあ?』『面倒だなあ?』とお思いになることでしょう。しかし毎日使用することで、発作は随分と防ぐことができます。また、これからの時期には、インフルエンザや風邪が流行しますが、治療をきちんと行うことで、軽い風邪症状で抑えられます。発作を起こさないためにも、毎日忘れずに使いましょう。
 
 最近、咳の症状が強く現れる≪咳喘息≫が多く見られます。喘息の前段階と考えられていますが、気道の炎症も起きており、過敏になっています。夜間や明け方に多いため、眠れない方もいます。
 これからの時期は、気温の較差が激しいため、部屋を暖めすぎないように注意しましょう。また、口腔内の乾燥もよくありません。適度な湿り気を保つように、マスクを着用して寝ることも良いでしょう。
 
 インフルエンザもそろそろ出始めました。喘息患者様は特にワクチンを注射するように勧めています。症状が落ち着いているときに、早めに受けましょう(S・K)
 

2007.12.08

【インフルエンザってどんな病気?】
 インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症です。症状としては急な発熱(38℃以上)、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感など(これらの症状は強く、通常5日間ほど続きます)に加えて咽頭痛、鼻水、咳などの症状も見られます。また気管支炎や肺炎、脳症を併発しやすく、重症化することが多いので乳幼児や高齢者、呼吸器、心臓などに慢性の病気を持つ人は十分注意する必要があります。
【インフルエンザの診断方法】
 インフルエンザの診断補助として、発症初期にインフルエンザ抗原を検出するための「迅速診断キット」を用いての診断があります。10〜15分で結果を判定することが出来るので、外来での診断が可能です。(当院ではA型、B型の同時判定が出来ます)
【インフルエンザの予防】
インフルエンザの予防の基本は予防接種です。インフルエンザにかかった場合の重症化防止に有効と言われています。
ご家庭での予防としては
●外出後の手洗いとうがいの励行ーーーインフルエンザはインフルエンザにかかった人の咳やくしゃみ、つばなどの飛沫とともに放出されたウイルスを鼻腔や気管などに吸入することによって感染します。
●栄養と休養は十分にとりましょうーーー体力をつけて抵抗力を高め、感染しにくい身体を作ることが大事です。
●人混みは避けましょうーーー多数の人の居るところはウイルスに接触する危険度が高いです。
●外出時はマスクを着用しましょうーーーウイルスは空気の乾燥や低温を好みます。マスクはウイルスの防御だけでなく乾燥によるのどの粘膜の防御機能の低下を防ぐ効果があります。
●室内では湿度を50〜60%に保ちましょう
 
インフルエンザと風邪は症状に類似性があるものの疾病としては違います。単なる風邪だと考えず、早めに医療機関を受診して医師に相談しましょう。またインフルエンザにかかった時、高熱を下げようと解熱剤を使われる方も見えると思いますが、解熱剤の中にはインフルエンザにかかっている時には使用を避けなければならないものがあります。(代表的なものがアスピリンなどのサリチル酸解熱鎮痛薬です)市販の解熱鎮痛薬の一部にもこの成分を含んだものがありますので自己判断せず医師によく相談して下さい。(H.K)

2007.10.11

 最近、咳やくしゃみをした際、重いものを持った時に尿もれが気になる、あるいは仕事(会議中、接客中)、旅行などでトイレに行けないことで不安をかかえて見える方はいませんか?
 40歳以上の7人に1人が排尿の症状で悩んでいると言われています。
 普段私達は、膀胱に200〜400mlの尿がたまると尿意を感じます。自分の意思でトイレにいくまでしばらく「がまんする」又は、準備が整いしだい「排泄する」という行動は、脳からの命令により、膀胱の伸縮と尿道の筋肉の開閉で調節されています。膀胱が自分の意思に反して収縮してしまう病気として過活動膀胱があります。
 又、排尿トラブルには、下記の病気が関連していることもあります。
【脳から膀胱までの連絡経路に障害が起こった場合】
★脳障害 (脳梗塞、脳出血、パーキンソン病など)
★脊髄障害 (脊髄損傷、多発性硬化症など)
 
【膀胱や尿道自体に障害が起こった場合】
★細菌感染症(膀胱炎、尿道炎など)
★膀胱結石、膀胱結核、膀胱癌、間質性膀胱炎
 
【その他】
★糖尿病
★精神的なもの(ストレス)
★年齢による筋力の低下
 
 排尿についての症状も年のせいだとお思いの方が多いですが、いくつもの症状が重なることや、病気を伴っていることによりひき起こることがあります。
 女性は男性よりも尿道が短いことや、出産や加齢によって骨盤内の臓器を支えている筋肉が緩むということもあり、尿失禁のリスクは高くなるといわれています。男性に比べて咳やくしゃみをしたときに尿がもれるという腹圧性尿失禁の患者さんも多いと言われています。
 なかなか困っていても、人に相談しにくいこともあるかもしれません。病院に行ったとしても、話だしにくいということもあると思います。
 当院のトイレに(心あたりカード)が置いてあります。言い出しにくかったりしたら、そっとカードを出してみてください。
 どんなことでもご気軽にご相談ください。(I.J)
 
 

2007.06.01

血液検査をした際、尿酸値が高いといわれた方はいませんか?
会社の健康診断や、痛風が気になって血液検査をされる方もいらっしゃると思います。
 尿酸値が7.0mg/dlを超えた状態を「高尿酸血症」といいます。尿酸値が高い状態が長く続くことにより、急性関節症状(痛風発作)が起こります。
 当クリニックでは、尿酸値がおよそ8.0mg/dl以上の方を治療の対象としております。
 
 痛風にはタイプが3つあります。
1、尿酸が排泄されにくいタイプ(排泄低下型)
2、尿酸が作り出されやすいタイプ(産生亢進型)
3、 両方を合わせもつタイプ(混合型)
 痛風発作の起こりやすい部分は、足の親指の付け根で左右どちらか片方に起きます。又、肘、膝、手指、アキレス腱などにも生じることもあります。
 
 痛風は、男性に多く、女性はホルモンが減る更年期以降に起こりやすいそうです。女性が男性より好発しないのは、ホルモンに関係しているからといわれています。
 
尿酸という言葉は、耳にすることはありますが、どういうものなのかはあまりお聞きになったことはないと思います。
尿酸とは、新陳代謝によって細胞が分解され、「プリン体」と言う化学物質が生じこのプリン体が酵素によって、分解されたものを言います。又、尿酸の原料は食物にも含まれており、これらを食べることによっても体内で尿酸が作られることになります。
尿酸の高い方は、プリン体の含んだ食品のとりすぎを避けることなど食事に注意することは大切です。
プリン体の多い食品の中には、レバー、イクラ、スジコ、えびなどがよく言われています。魚の場合、白身より赤身の方が多いとも言われています。野菜の中では、ほうれん草、カリフラワー、きのこ類が少し高いといわれています。
食事は、偏りがないようにバランスよく摂りましょう。また、アルコールは尿酸の産生を高め、尿からの排泄を抑制しますので飲みすぎには注意しましょう。ビールには、最もプリン体が含まれているので注意が必要です。
 一日のお酒の適量は、ビール(大1本)、日本酒(1合)、焼酎(2/3)合、
ワイン ボトル(1/3)、ウィスキーダブル(1.5杯)
 プリン体の入っていないビールもあるので選んで飲んでみるのもいいですよ。
食事をする際、気をつけることは、食べすぎ、飲みすぎないことです。
総カロリー量に注意して、体重を標準体重近くにコントロールすることも大事ですよ。一度計算してみてください。
 
標準体重= 身長(m)×身長(m)×22
170cmの方なら 1.7×1.7×22=63.58 なので標準体重は約63.6kgになります。
 
少しずつ普段の生活のなかで気をつけて少しずつ改善していくと成果が出てくると思います。
 もし足の指の付け根に痛みを感じている方、心配な方などご不明な事がありましたらご気軽にご相談ください。(I.J)

 2007.05.10

 塩分をどのようにして控えていけばいいのか、ここではおいしく減塩できるポイントをいくつかご紹介します。まずは、一つずつ試していってみてください。
 
『塩味の代わりに、出汁をしっかりととる』
みそ汁、煮物、そば・うどんなどは、味付けを塩や味噌に頼るのではなく、出汁を濃厚に取ることで、そのぶん塩分を減らすことができます。ただし、市販の出汁の素は塩分が入っていることもあるので、成分を確認するか、自分で出汁を取る必要があります。
 
『味付けは、直前にするのが減塩のポイント』
塩や醤油などは、最後に加えるのがポイントです。煮物などの場合、味の基本は出汁で、醤油は表面だけに、味と香りづけをする位におさえましょう。
 
『塩の代わりになるものを上手に活用する』
酢、レモンなどの柑橘類の酸味、ヨーグルトの酸味、カレーや胡椒、わさびなどの香辛料は、いずれも塩分(ナトリウム)は含んでいません。あっさりしがちな所に、辛みや酸味でメリハリをつけることで、食べたときの満足度が違ってきます。
 
『汁物は、具だくさんにして汁を減らす』
みそ汁は具をたくさん入れることで、塩分の高い汁の量が減らせます。そばやラーメンなどの汁は、全部飲まないように心がけましょう。(H.S)

2007.05.07

 ここ1〜2年くらいの間で流行語となっているこの言葉。皆さんも耳にしたことがありませんか?しかし詳しい内容までは知らないわ・・・という方が多いと思います。
 先日各務原市の広報にてメタボリックシンドロームについて紹介されていました。今回ここでもお話したいと思います。
 
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積により内臓肥満や高血圧・糖尿病・高脂血症などの異常を2種類以上併せて持っている状態をいいます。偏食・運動不足・喫煙・飲酒・仕事や家庭での精神的なストレス等が原因になることが多いと言われていますが、自覚症状がないことがほとんどです。
 この状態を放っておくと、動脈硬化・心臓病・脳卒中等の生命に関わる重大な病気を引き起こす危険性が大きくなります。
 
 肥満のタイプは二つあります。
●内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)中年以降の男性に多く、お腹周囲の臓器に脂肪がついた状態。
●皮下脂肪型肥満(洋なし型肥満)主に女性に多く、皮下組織に脂肪がつき下半身が太くなる状態。メタボリックの心配は少ないが、心臓への負担が大きくなりやすい。
 
 現在、メタボリックシンドロームの割合を見ると、20歳以上の男性45.6%、女性16.7%が「メタボリックシンドローム予備軍」「メタボリックシンドロームを強く疑われる人」となっています。また40〜74歳の男性のおよそ2人に1人、女性のおよそ5人に1人が「メタボリックシンドローム予備軍」にあてはまると考えられています。
 メタボリックシンドロームにならないように、日頃から注意をしていきたいものです。
 
★生活習慣をチェックしてみよう★
○毎日、朝食を食べている
○1日平均7〜8時間は睡眠をとっている
○栄養摂取バランスを考えて食事をしている
○煙草は吸わない
○運動や定期的なスポーツをしている
○多量のお酒は飲まない。日本酒なら2合未満、ビールなら大瓶2本未満
○労働時間は1日9時間未満である
○自覚的なストレスはそんなに多くない
【該当7〜8個=良好、該当5〜6個=中等、該当0〜4個=不良】
 
★ウエストを測ってみよう★
足を肩幅くらい(25〜30cm)開いて立ち、体重が両足に均等にかかるようにします。おへその位置にメジャーを巻き.息を軽く吐いて測定します。
【基準値  男性85cm以内 女性90cm以内】
 
 あと、健康診断を受けている方や医療機関で採血をしている方で、
●中性脂肪(TG)が150mg/dl以上である。または善玉(HDL)コレステロールが40mg/dl以下である。
●最高血圧が130mmHg、最低血圧が85mmHg以上である。
●空腹時の血糖値が110mg/dl以上、HbA1Cが5.5mg/dl以上である。
 
・・・のうち2項目以上ある方は、メタボリックシンドロームと診断されます。
 
 当クリニックでも、各務原市の健康診断を行っております。今まで健診を受けたことがない方も今年はぜひ受けてみませんか?自分の健康に関心を持つきっかけになると良いと思います。(S.K)

2007.04.16

「尿に糖が出るから糖尿病なの?」
と聞かれる方が多いですが、健康な人は血液中のブドウ糖が腎臓できちんと処理が出来るので、尿に出ることはありません。しかし、血糖値が高くなるとブドウ糖を腎臓では処理しきれなくなり、尿へと流れていきます。
 これが「糖尿病」の病名の由来ですが、尿糖が出るのは病気の症状の一つに過ぎません。
 糖尿病は尿に糖が出る病気ではなく、上手くブドウ糖を身体に取り入れられない病気だから尿に糖が出るのです。(高齢者の方は血糖値が高めなのにも関わらず尿糖が出にくくなることもあります)
 ブドウ糖を血液中に一定に保つために、必要なだけ筋肉や脂肪細胞に取り入れるようにコントロールしているのが、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。そのインスリンがすい臓から分泌されない、あるいはその量が不足している、逆に必要以上に分泌されているのに十分に作用しない(インスリン抵抗性)など、いろいろな原因で慢性的に高血糖になるのが「糖尿病」です。
 
 ところで、皆さんは糖尿病患者が全国に何人みえるかご存知ですか?
 2003年糖尿病実態調査(厚生労働省)によると、「糖尿病が強く疑われる人」は740万人、「可能性が否定できない人」は880万人いると推定されています。これはせいじんの約6人に1人の割合だそうです。さらに2010年には糖尿病患者は1080万人を超えると予想されています。
 
 ご心配な方は一度クリニックの方へご相談ください。(H.K)
 

2007.09.04

糖尿病の症状は気づきにくく、初期には自覚症状の無い人がほとんどです。徐々に糖尿病が進行し、血糖値が高くなってくると、喉が渇く、トイレの回数が多くなる、全身がだるく疲れやすい、食べても痩せる、性欲減退・・・といった症状が現れてきます。
 『自覚症状が無いから・・・』と糖尿病を治療せず放置していると、全身の血管や神経に障害が起きて様々な合併症を起こします。
 そこで、この『合併症』についてお話をしたいと思います。
 『糖尿病性神経障害』ーーー合併症の中で発症の頻度が一番高いと言われているのがこの神経障害で、全身に多彩な症状をもたらします。異常感覚(しびれ感、ジンジン感、冷感など)、こむら返り、発汗異常、便通異常(便秘、下痢)、インポテンツなどの症状や、膀胱障害による尿路感染症、起立性低血圧を誘因とする重篤な不整脈、無痛性心筋梗塞、壊疽の感染などを引き起こします。
 次に『糖尿病性網膜症』ーーー眼底にある網膜という部分の血管が悪くなり、視力が弱まります.網膜症はたとえ血糖コントロールが良好であっても、糖尿病に罹患している限り、発症および進展する可能性があります.失明原因の第一位が糖尿病性網膜症であるといわれています。 
 そして『糖尿病性腎症』ーーー血糖値が高い状態が続くと、腎臓の糸球体という部分の毛細血管が冒され、血管からタンパク質が漏れ出て、老廃物を濾過する機能が衰えてきます。症状は、無症状、無徴候の時期が長いのが特徴です。初期には蛋白尿が陰性で、次第に間歇性蛋白尿がみられるようになり、発症後10年以上経過すると、ある時期から急速に腎機能が低下し始め、蛋白尿が増加します。乏尿や浮腫、貧血などの症状が現れてきます。さらに腎機能低下が進行すると、腎不全の徴候が増強し、尿毒症に至ってしまいます。(現在人工透析が必要になる人の原因の第一位がこの糖尿病性腎症です)
 これらの合併症は、糖尿病特有の合併症で、『3大合併症』と言われています。 
 また、高血糖により大きな血管が細くなり、動脈硬化を促進し、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞が起こる率が高まります。
 足の血管に動脈硬化が生じると、血行が悪くなり、酸素や栄養が行き届かなくなって組織が破壊され、血管の閉塞や壊疽により足を切断しなくてはならなくなることもあります。
 症状が無くても糖尿病は徐々に進行し、これらの合併症を引き起こすため、定期的な検診が重要なのです。。。(H.K)
 

2007.04.05

生活習慣病の中の一つに、高血圧があります。誰もが血圧の事は気になっており心配されている方も多いでしょう。そこで、今回は、血圧についてお話をしたいと思います。
 
 心臓が拡張したり、収縮したりする時に血液が流れます。その血液を流す時の圧力を血圧といいます。血圧は、最大血圧(心臓が収縮して血液を送り出すときの値)と最小血圧(心臓がゆるんでいる時の値)とで表すことができます。
 
血圧の正常値は 130/85mmHg未満です。
 
 当クリニックでも、毎日、高血圧で受診される方がいますが、「家で測定すると正常なのに、病院で測定するといつも高いわー」、「病院にくると緊張するからかしら?」と言われます。
 
血圧は、1日の中でも変動します。例えば、測定する時間だったりその日の体調だったり、精神状態だったりと・・・・。リラックスしている時と、そうでない時では血圧も20〜30mmHgも変わります。
 
 病院と家庭での血圧値が60や80mmHgも誤差がある時は、血圧の測り方が間違っている事もありますのでもう一度見直してみましょう。
 
ここで、正しい家庭での血圧の測り方を教えます。市販で売っている血圧計は、上腕(二の腕)で測るタイプの物が正確で、おすすめです。
 
 座位で測定するときは、机の上において、測定部が心臓と同じ高さになる様に枕などで調節します。臥床で測定するときは、血圧計をベットサイドに置きます。
 
 朝は、起きてから、1時間以内で、運動や散歩、食事をする前に測ります。一息ついてから測るとよいでしょう。また、トイレを我慢していると、緊張している時と同じ状態になりますから、必ず排尿、排便をすませてからにします。
 
 夜は、寝る少し前にリラックスした状態で測ります。適温(40℃前後)に入浴した時は、血管を広げるため血圧も下がりますが、熱い風呂に長時間入浴することは、逆に血圧を上げてしまうので、注意しましょう。また、適度の飲酒も血管を広げるため血圧はさがります。タバコはニコチン作用により血管を収縮させるため、血圧が上がります。
 
 このような事に注意して一度血圧を測ってみましょう。 (S.K)

2007.07.17

クリニックに受診される患者様に、「血圧が高いと言われたことがあるけれど、治療はしないといけないかなあ?」と質問されます。
 高血圧の方の多くは自覚症状がありません。頭痛・めまい・吐き気・耳鳴りなどの症状が出る方は稀です。高血圧をそのまま放置しておくのは、ものすごく危険なことです。一番怖いのが、脳の血管の障害により脳梗塞・脳出血などを引き起こすことや、心臓への負担が大きくなることで心筋梗塞・狭心症、さらには心不全へと進展してしまうことなのです。高血圧は別名「サイレントキラー(静かな暗殺者)」とも呼ばれています。怖いですね!
 
「血圧の薬を内服し始めると、一生飲まなくてはいけないんでしょ?」という質問も多いですが、必ずしも内服をしなければいけないという訳ではありません。高血圧の種類によっては、生活習慣の見直しや、食事療法(減塩)・禁煙・肥満解消などの努力で、血圧を下げることが出来、徐々に薬を減量または中止することができます。薬の副作用を心配される方もおみえになりますが、治療を中断してしまうことよりも、高血圧を放置することで引き起こす合併症の方がとても重大なことになるため、治療を勝手にやめてしまうようなことはせず、主治医と相談をして今後の治療につなげていきましょう。
 
 前回は、血圧の測り方についてお話をしました。皆さんも、一度は試していただけたでしょうか???クリニックでは、高血圧と診断をされた方で、今まで内服治療をしたことが無い方や、自宅にて血圧測定を行っていない方に対し、常日頃より自分の血圧に関心を持っていただくために、血圧手帳をお渡ししています。
 また、今回初めて内服治療(ディオバン)が開始になった方を対象に、ノバルティスファーマさんがサポートしてくださる『デュオプログラム』という血圧管理手帳をお渡ししています。1年間を通して、血圧の食事に関することや運動の必要性などを定期的に郵送して管理をしてくれる、なんともうれしいサポートサービスです!!
 
 今まで、血圧の治療をしたことが無い方は、ぜひ当院に受診してみませんか?また一度断念をしてしまった方も、快くお待ちしておりますよ(^0^)
 
 最近、子供のメタボリックシンドロームが注目されています。昔は、『成人病』と言われていましたが、子供の頃からの日常生活に関連してきていることが分かったため、現在では『生活習慣病』と言われるようになりました。つまり、30〜40歳代になってから注意するイメージから、子供も含めて一生にわたって健康的な生活を心がけ、病気になることを予防していく…という意味も含まれているのです。
 
 子供のメタボリックシンドロームの定義はまだ確立されつつありますが、
6〜15歳までのお子さんを対象とし、
*腹囲 80cm 以上  
*血圧 125/70mmHg 以上
*空腹時血糖 100mg/dl 以上
高脂血症  TG(中性脂肪)120mg/dl 以上
   HDLコレステロール 40mg/dl 以下 
の3項目のうち2項目以上が当てはまる者が危険信号とされています。
大人と同様、偏食などの食生活や、運動不足、外的ストレスなど…原因はさまざまです。ハンバーガー・カレーライス・スパゲッティーなどのファーストフードなどは、大人も子供も好きな食事の一つです。しかし、これらは高カロリー・高脂肪食(特に動物性脂肪)の代表で、肥満をうながすだけでなく、高脂血症や糖尿病などを発症しやすく、また、動脈硬化から心臓病へと引き起こす原因にもなります。単品で食べるのではなく、サラダなどの野菜も一緒に摂取する、量を加減するなど工夫も大切です。
 クラブや、部活動などで運動をしているお子さんもいますが、最近は家庭で過ごすお子さんも多いようです。天気の良い時には外出をし、体を動かすことも大切です。気分転換にもなりますし、家族のコミュニケーションにもなります。
 お子さんの健康も、大人同様に考えていく必要がありそうですね。(S.K)
 
 

2007.04.05

コレステロールが高いといれてもそんなに食べてないのにどうして多いのだろうと思いの方はいませんか?
 
 普段何気なくとっている食事を一度見直してみると意外にコレステロールの多い食品が入っていることがあります。コレステロールという言葉を聞いたことがあると思いますが、コレステロールには悪玉(LDLコレステロール)と善玉(HDLコレステロール)があります。悪玉のコレステロールは、肝臓からコレステロールを運んで各組織の細胞に届ける働きをします。反対に善玉コレステロールは、体の中の末梢血管から余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。このことからも悪玉コレステロールの量が増えすぎることにより、血管内にたまり動脈硬化の原因になってしまいます。血液中に脂質が異常に多くなることを高脂血症といいます。高脂血症を放っていると動脈硬化が進み、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすくなります。そういった合併症を起こさないためにも気をつけることは大切です。
 
 動物性脂肪をたくさん取っていないですか?肉類、油脂類、糖分の取りすぎ、肉でも油分が多い部分を好んで食べてないですか?
 バターやサラダにかけるドレッシングやマヨネーズなど調味料をたくさん使ってないですか?
 
 食事はバランスよく主食とともに野菜、食物繊維の多い食品をたくさんとり、高カロリー食品はなるべく避け、週に3〜4日は魚メニューを選ばれるといいです。魚が食べられない方などは肉の種類や調理の仕方で、蒸したり、ゆでたりしたほうが余分な油をカットできます。
 
 コレステロールが高いとよく言われる食品に卵や魚肉類(内臓)の脂肪があげられます。これらを好んで食べられる方は量を減らしてみるといいと思います。
 
 コレステロールが気になる方など気軽にご相談ください。 (I.J)

HOME | おはなし | 病気のおはなし